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商品説明
「人生とは何か」「人生の意味は」と問いつづけ、人間を鋭く描いたモーム。その作品を、翻訳を手掛けた著者が読み解きながら、書簡も自伝も残されていない謎に満ちた作家の生涯と人生観に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
行方 昭夫
- 略歴
- 〈行方昭夫〉1931年東京生まれ。東京大学教養学部イギリス科卒業。同大学名誉教授。東洋学園大学名誉教授。著書に「モーム語録」「英文快読術」「英語のセンスを磨く」など。
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紙の本
世界を豊かにしてくれる1冊
2010/08/25 13:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうか - この投稿者のレビュー一覧を見る
サマセット・モームは、自らについて語ることの少ない作家
だった。哲学、宗教、歴史に通じ、仏独伊西露語を知り、医学、
音楽、絵画に造詣深い。
しかし彼は、紋切り型の「立派な人」ではなくて、母を早くに亡くし、
学校ではいじめにあい、自分の思いの強さをうまくコントロールできずに、
愛する者に愛されない、またわざとそれを強がって見せたりする、
豊かな感情の持ち主であり、自分も含めた人間の弱さを良く知る人でもあった。
お金を稼ぐことが好きだといい、作家の自己満足ではなくて、読者を
楽しませることも視野に入れて創作し(もちろん全作品がそうだというわけではない)しっかりベストセラー作家になったりもしている。
幅広い教養と、紋切り型でない独特の人間観察に基づいたモームの作品は、読むたびごとに読者にさまざまなものを与える、再読に耐え値する
「古典」である。
「人間の絆」をモームのベストと位置づけ、多くのモーム作品を翻訳
されている、著者の行方氏が、岩波市民セミナーで行ったレクチャーに
基づく本書は、そのまま読んでも面白いモームの世界を、さらに深く、
広くしてくれる。作品としては「人間の絆」のほか、「月と六ペンス」 「サミング・アップ」「かみそりの刃」「赤毛」「大佐の奥方」が取り上げられている。
著者のモームについての尽きぬ興味、愛情と、学者としての知的誠実さが伺われる内容・文体で、「どう思いますか?」と、話しかけられているような気持ちになる。
モームを知る人にも、知らない人にもおすすめできる1冊。座右にぜひ。