紙の本
絶望から這い上がる執念
2015/09/28 16:30
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
二年前の天覧飛翔会で翼を失った元貴族のフリージア・ギガンジュームは、再び天覧飛翔会に参加するため、現代の名工と称される義翼職人のガレット・マーカスを訪ねていた。意外に若いその人物は、彼女が天覧飛翔会に参加するための義翼が欲しいというと、にべもなく断ってしまう。
だが諦めることなどハナから選択肢にないフリージアは、熱意と根性でガレットを承諾させ、不足の代金分は隣接する定食屋で働いて返すことにして、義翼を作ってもらえることとなった。
フリージアの憧れの飛翔士であるオスカー・ウィングバレットから義翼での飛行を習ったという少年クローバー・テクトラムのアドバイスを受けながら、フリージアは急速に飛行技術を取り戻していく。 ところが皇帝マリア・ウィンダールの勅命で、一度は許された天覧飛翔会への参加が取り消されてしまった。
かつてのライバルであるグロリア・ゴールドマリーからの侮辱を取り消させるためにも、死を覚悟した直訴を行うために帝城へ向かったフリージアだが、それはあっけなく失敗してしまう。しかし…。
家が没落してから一人で歯を食いしばって、再び幸せを取り戻そうと努力して、だがそれは一度は夢破れてしまい、もう一度挑戦するための翼を手に入れようとする。そしてその執念が、彼女に求めていたのとは少し違う形で幸せをもたらす。
筋立てに難しいところはなく、お約束のキャッキャウフフ要素も満載ではあるのだが、せっかく飛べる人を主役に据えたのなら、陰謀まみれの大会ではなく、純粋に飛ぶことを競うところも見てみたかった気はする。一度翼を失った人が再び飛べれば、一度も飛んだことのない人よりも感慨は深かろう。
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翼を持つ人々が住む世界で、事故で翼を失った『飛翔士』の少女フリージアと『義翼』職人ガレットとの努力と信念の物語。
少女は再起を目指して飛翔士達の最高峰の舞台『天覧飛翔会』を目指す。
イラストと文章でこの舞台の世界観がホントにキレイに描かれていて、人と風景がそこに生きているような感覚になる。
文句のつけようがない。
が、どうしても松山剛さん×ヒラサトさんというコンビだとどうしても前作『雨の日のアイリス』と比べてしまって…
もう少しフリージアの過去に触れてほしかったとか、1冊にまとめようとして物語の前半部があっさりしすぎに感じてしまったりとなにかとハードルが上がってしまった気がする。
1巻完結なんでアニメ化はないと思うけど、この世界観を映像やキャンバスで表現してほしい。
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すごくシンプルな王道作品。
「雨の日のアイリス」で評判だった松山氏の新作ですが、
個人的にはこちらの方が好きですね。
というか「雨の日のアイリス」が周りほど高くないですが。
妻によく空物好きだよねと、言われていて、
その辺も理由の一つかもしれませんが、
どちらかと言うとロマンスがあるってことの方が大きいでしょう。
ロマンスってほど大層な恋愛があるわけじゃないですが、
王道には欠かせないですよね。
ただまあ、前作同様物語の展開重視のためか
ご都合的だったり強引なとこはありますが、
そこそこ名作な感じだと思います。
にしても、フリージアは髪伸びるの早すぎですねww
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作者の前作「雨の日のアイリス」ほどの感動はないけど、それ以上の熱さがある。
一度は怪我により選手生命を絶たれた少女が、仮の翼を手にし、女王として君臨するライバルを破りレースでの優勝を目指す物語。
主人公のフリージアもライバルのグロリアも素敵なキャラです。
特にグロリアのゴール前で見せたプライドにはゾクゾクしました。
その反面、もう一人の主人公のガレットがあまり好きになれなかった。
彼が絡んだシーンはどうも安っぽく見えちゃって…まぁここら辺は好みの問題でしょう。
みんなにオススメできる、いい作品です。
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飛ぶことが怖くなることはなかったのか
あるいはレースが怖くなったりとか
その辺が薄かったのはちょっと残念かなぁ
でも全体としてはよくまとまってて楽しい作品だった
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「アイリス」は未読だけどそちらの評判がよいようなので読んでみた。フリージアのガレットへの想いとレースへの情熱の葛藤が何ともいじらしい。最後は落ち着くところに落ち着いたかなと。過去も含めて黒幕がグロリアだと思っててごめんなさい。ブッフォンさん(馬)が最もイケメン。「アイリス」も読んでみようかなぁ。
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2012 9/23読了。WonderGooで購入。
『雨の日のアイリス』の松山さんの電撃文庫新刊。
背に羽を持つ人びとの暮らす王国で、飛翔レース優勝目前で事故(?)により翼を失ったヒロインが、義足ならぬ義翼を使って再び優勝を目指す再起の物語。
焦らされる部分があっても、読み終わったときにスカッとしていられるのは前作同様。
今作は前作に比べるとより安心感があった・・・分、結末の意外性はなかったかも?
それにしても、まーたシリーズ化しにくそうなのを・・・(汗)
松山さんのその路線は大好きなのだけど、ライトノベルでその路線のままでやっていけるのか不安に思ったりもする。
でもシリーズ物でこの感じ出せるのかなあ・・・うーむ・・・
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『雨の日のアイリス』と同じ作者と知って購入しました。
『雨の日のアイリス』は逆イラスト詐欺でしたけど、今回はイラストと内容が合致していたように感じました。
羽で飛ぶという優雅な情景の裏に、血を流し、必死に苦しみに耐えながら競い合う飛翔士達の姿があり、物語に重みを与えているように感じます。
少々展開に焦りを感じますが、流石はあの作者だと関心する内容でした(^_^)
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非常に読みやすい作品でした!
物語は翼をなくした少女が最速を競う大会に出場し、優勝するために義翼としてもう一度空を飛ぶ話しです。
翼を失って空が飛べないという絶望的な状況にも関わらず自分の夢のために諦めないでもう一度空を飛ぶために努力する少女の姿が事細かに表現されています。
彼女を取り巻く人間関係も面白く、久々に時間を気にせず作品の世界に入っていました。
松山先生もあとがきでおっしゃってましたがこの作品は「再起」の物語であり「再会」の物語でもあります。
1巻完結なので非常にスッキリと読み終えることができました!
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面白かった!良かった!一人称で男女それぞれ語られる形はどうなんだろうと最初思ったが、心配はいらなかった。
挫折した少女の再起の物語。あとがきにあるように、コンセプトが明確。読み物として面白い。イラストとの相性も非常に良い。ある意味王道ながら、楽しませてもらった。著者はこの路線で進んでいって欲しいなぁ。
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前作『雨の日のアイリス』とセットで読むべき、と思い読破ー。なのでついハードルを上げて読みがちだけどこれはこれで。
1冊にまとめようとしたせいか消化不良の感があるのがもったいない。1巻完結なのはいいけどもう少し長めのシリーズを見てみたいかな。
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あぁ~,翼の折れたエンジェル~♪
というわけで読んだよ.
前回はロボットで今回は有翼人ですね.
レース中の墜落によって飛べなくなった少女が
義翼職人の元を訪れて,再び空を目指す.
お約束満載ですね.
図太いアイツが憧れのあのお方で…,とか.
ライバルはお金持ちでちょっと嫌味を言ってきたり,とか.
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翼を失い飛べなくなったフリージアが再び大空を目指す話。
気の強いフリージアと無愛想なガレットの組み合わせは面白いし、細かく練られた世界観の設定も好き。
確かにむかつくと思った人が尊敬する人だったら、どう接していいか分からなくなる。
ただ、フリージアの飛翔士としての目的や、レースに仕組まれた陰謀など、ストーリーの大事な部分についてあまり触れられていないのが薄っぺらい印象になってしまい残念。
飛翔士の女の子がみんな巨乳なのは分かるが、人間の腕の部分と鳥の翼の部分が同じなのだから、骨格的に彼女たちの腕と翼がどうなっているのだろうか、というのは疑問。
それにしても天才飛翔士として活躍したのち、転職しても天才的な義翼職人として活躍しているガレットの多才さが羨ましい。
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羽の折れた選手がふたたび空を目指す。聞こえはありきたりだが、丁寧に切なく描かれており自然と涙がこぼれた。まとまりがあるストーリーと心地好い読後感、素晴らしい作品であるかと。
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1巻完結。
フリージアの闘志に感動。彼女が義翼を作って貰うために義翼士の家を訪ねたシーンで、雪の中に道が出来ていて、それが彼女が這って来た跡と知った時言い知れぬものが込み上げた。
『雨の日のアイリス』とは話しの繋がりは無いけど強いたげられた者が必死に生きる姿を描いているのは同じ。
とても大切な作品です。