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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.7
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/139p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-215638-7
紙の本
あの子の考えることは変
著者 本谷 有希子 (著)
汚くって可愛い前代未聞の青春エンタ!芥川賞ノミネート作品。【「BOOK」データベースの商品解説】症候群の潜在的悪さについての話なんだけど、本当はもう一個あるんだ。性欲。私...
あの子の考えることは変
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商品説明
汚くって可愛い前代未聞の青春エンタ!芥川賞ノミネート作品。【「BOOK」データベースの商品解説】
症候群の潜在的悪さについての話なんだけど、本当はもう一個あるんだ。性欲。私の性欲がすごい勢いで強くなってるんだ…。大胆な性描写が破天荒に面白い、前代未聞の青春エンターテインメント。『群像』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
本谷 有希子
- 略歴
- 〈本谷有希子〉1979年石川県生まれ。「劇団、本谷有希子」主宰。作・演出を手掛ける。小説家としても活動。「幸せ最高ありがとうマジで!」で第53回岸田國士戯曲賞を受賞。著書に「江利子と絶対」など。
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紙の本
どっちが変なのか
2009/08/28 08:25
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回の芥川賞は劇作家や外国人といった「異文化」からの書き手の登場で随分話題をよんだ。
結果、商社マンの磯崎憲一郎氏の『終の住処』が受賞したが、案外「異文化」という点ではもっとも「異文化」からの誕生だったといえるかもしれない。
選考委員の山田詠美氏は「芥川賞は一定レベルの文学作品を選ぶ賞」であり、「異ジャンルの書き手ということは評価する上で話題にもならなかった」としている。
昔よくいわれたような、作家になろうと苦節何十年ということ自体が、むしろ現代の感覚でいえば、「異文化」そのものではないだろうか。そのあたりの感覚から抜け出さないと出版社として、新しい書き手をすくいだせないような気がする。
女性二人の奇妙な同居生活を描いた本作は、劇作家本谷有希子氏の芥川賞候補作である。
二人の位置関係をスピード感のある会話で描いた導入部分はあざやかというしかない。
中学生時代からの同級生だった日田と巡谷。同じ上京組としてたまに連絡を取り合う程度の仲であったが、いつの間にか高井戸の清掃工場のでかい煙突が見える巡谷のアパートに転がりこんだ日田は、煙突から吐き出されるダイオキシンを吸い込んで棲息しているかのようであり、巡谷にいわせると「絶対素手では触りたくない、ちり紙みたい」な女性である。
この日田の、破天荒な人物像がこの物語に不思議な魅力を与えていて、まさに「あの子の考えることは変」なのだが、あの子のいる世界そのものが変ともいえるような感覚を読む側に与える。
そんな日田にひきづられるようにして、巡谷もまた、セックスフレンドの襲撃という奇妙な行動にはまっていく。
この二人を追い込んでいくのは、こちら側のぬべっとした世界だ。
「私、孤独じゃないってのがどんな感じなのか一瞬でいいから知りたいだけなんだ・・・!」と叫ぶ日田こそ、まっとうな世界の住人であり、日田や巡谷のような人間を取り除こうとするこちら側の世界こそ「変」なのかもしれないと、いつの間にか立場が逆転している。
それは、本谷有希子の、確信犯的な問題提起である。
クライマックの清掃工場のでかい煙突を二人で駆けあがる場面はいささか安っぽい映画ような仕掛けなのがいささか惜しまれるが、新しい書き手の魅力を堪能できる作品である。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でご覧いただけます。
紙の本
変か、変じゃないか。
2009/12/22 00:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつも自分とだれかを比べて、
変か変じゃないかと気にしてしまう。
それを突き詰めたら、
きっとこの本みたいになるし、
いいや、突き詰めなくても、
誰もが本谷有希子の創作物の主人公になりうるのだとおもう。
日田は体臭を気にし、
巡谷はときおりグルーヴ先輩になってしまう。
ずうっと、
日田は変、巡谷も変、
他の登場人物も変、
と考えながら読み、
その間、
じゃあ自分は?
という問いが追っかけてくる。
最後までものすごいエネルギーを感じます。
紙の本
東京の片隅に女子ふたり
2021/12/16 21:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
都内にしては家賃が相場よりも安いという高井戸と、何となく上京した女の子ふたりの組み合わせが絶妙です。ダイオキシンと人間の悪の関係を理解するのは難しいですが、桜並木のシーンが見事でした。