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紙の本
イスラーム教「異端」と「正統」の思想史 (講談社選書メチエ)
著者 菊地 達也 (著)
イスラーム教形成のプロセスを根源から考察し、ムハンマドが創始した新たなる宗教がスンナ派、シーア派に分かれ、我々の知る「イスラーム教」になるプロセスを読み直す、スリリングな...
イスラーム教「異端」と「正統」の思想史 (講談社選書メチエ)
イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史
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商品説明
イスラーム教形成のプロセスを根源から考察し、ムハンマドが創始した新たなる宗教がスンナ派、シーア派に分かれ、我々の知る「イスラーム教」になるプロセスを読み直す、スリリングな思想史。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
菊地 達也
- 略歴
- 〈菊地達也〉1969年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。神田外語大学准教授。専門はイスラーム思想史。著書に「イスマーイール派の神話と哲学」がある。
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紙の本
「異端」が「正統」を生み出すというパースペクティブ
2009/09/19 04:54
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書において展開されているのは、イスラム教における二大宗派であるシーア派とスンニ派の成立過程。この成立過程の要点は、「異端」たるシーア派の教義の固定化が時間的には先行し、「正統」たるスンニ派の教義は、そのシーア派の教義に触発される形で整備されていったものだという点だ。
第3代カリフ・ウスマーンの就任から、第4代・アリー、そしてウマイヤ朝の成立、そしてアッバース革命(アッバース朝の成立)という政治変動の中で、後代のシーア派にとっての「カリフ」である代々のアリーの血統者とその支持者の政治的行動の変遷とともに、アリーの血統の指導性を神学的に強調していく宗派形成の過程がつづられていく。一方、スンニ派は、アリーの血統の指導性(聖性)に対抗するべく、神学的には預言者の始原性を強調するようになっていく。
多くの場合、「正統派」=多数派宗派というのは現状肯定的な色合いを持つもののだろう。しかるに、現在のいわゆるイスラム復古主義的思想運動の多くは、「正統」スンニ派に分類されるものと思われる。
正統派=多数派たるスンニ派において、現状破壊的な「異端的」運動が生じるという一見矛盾する現象は、スンニ派教義成立過程で刻印された「預言者の始原性」の強調に端を発するものということができるのではなかろうか。
いずれにせよ、この「異端」が「正統」を生み出したという史実展開は、単に「アリーの血統を尊重するシーア派」と「預言者ムハンマドの言行(スンニ)を尊重するスンニ派」という事典の説明的理解が腑に落ちない異教徒(本書の中で、著者自身及び読者層を差してこの言葉を使用している)にとっては、この両宗派をより一層知る上で、とてもワクワクさせてくれる視野なのではないだろうか。
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シーア派の歴史
2020/12/29 09:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
シーア派を中心にイスラームの歴史を12世紀ごろまで語った本。教義の限界・矛盾から(信徒にとってはそんなものないのだろうが)次々と分派していく様がわかった