紙の本
オウム真理教事件
2023/01/23 20:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コンドル街道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オウム真理教の一連のテロ事件を題材にしたドキュメンタリー風小説。実によくまとめられていると思うが、余計な記述も多々あるし、これだけ調べ上げて何故そのように考えるのか不可解な記述もある。事件の全容を知るにはちょうど良い。
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2021/04/18予約 20
ちょうど予約から4ヶ月後に読了。
とにかく医療系、法律系に疎い自分には、読み進めるのがとても難解だった。
自分が20歳ごろの事件で、関連事件がこんなにもあったのは、全く知らなかった。
松本智津夫の、学歴に対するコンプレックス、だから教団幹部には、驚くほどの高学歴の人ばかりが集っていた。
そして、これは今も昔も、よく言われると思うが、警察内部での風通しの悪さにより、犯罪は捜査が後手後手にまわり、もっと早く対処していたら、ということばかりであった。そしてそれが今も改善されていないことも問題だろう。
そして人はこんなにも簡単に騙され洗脳され、何千万もお布施をするものだということ。
更に驚くことに、オウムはアレフと改称され、これを上祐が分派して、アレフ内の対立により第3の集団まで生まれているということ。
これらの集団は正体を明らかにしない。ヨガや占いなどのイベントを通して接点を作り、入会を促す。
オウム真理教は、無くなることはないのだと、思った。
それにしても、帚木蓬生氏はよくここまでまとめたものだと思う。
たくさんあるパーツを分類してまとめ、順を追い小説に仕上げる。
これはドクターである、彼にしか書けない小説というかドキュメンタリーだろう。
過去に見たことのないくらいの参考文献だった。
ずっと、帚木蓬生氏のファンです。
これからも応援しています。
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オウム真理教松本智津夫からの洗脳によるテロ犯罪の数々。サリンテロにより現在までも後遺症で苦しまわれている被害者。過去の事件ではない。また起こる可能性がある。洗脳による怖さを肌に感じる物語。サリンテロから始まった犯行の全貌を読み解く。オウム真理教の実態に迫った物語。
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オウム事件を思い出しながら読んだ。
事件の経過経緯やオウムの内側というよりも、サリン被害の症状や治療についての記述が多い。毒ガスの歴史の一端がわかり、興味深かった。
小説ではないのでしょうか。知り得た事実から逸脱しない様に書かれているということでしょうか。昭和生まれの身には同時代の出来事が題材なので、なんか消化不良な感じも残った。
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医療関係者を中心にオウム真理教の事件を、洗い直している。面白いんだが、医学的な専門用語がなかなか入って来ない。後半の裁判の部分の方が、個人的には興味を惹かれた。
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小説というより「記録」ですね。
ですが、この作業は誰かがやらねばならない仕事だったのかもしれない。帚木さん、お疲れ様でした。
そういえば、この中にも紹介されている731部隊。これをテーマにした森村誠一著「悪魔の飽食」は壮絶だったなあ。
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一人の神経内科医の眼を通してオウム真理教による前代未聞な犯罪を、今この時代に、改めて展望するドキュメントである。地下鉄サリンを知らない人にも伝えたいという作家の想いが伝わる力作。
敢えて帚木蓬生が、自分の医師として作家としての所見を、モデルとなる医師の研究(巻末の参考文献リストが圧巻!)に重ね合わせ、現代史に黒い爪痕を残したオウム真理教の様々な事件を纏めたものである。
全体に記録としての執筆の意図か感じられるため、小説というエンターテインメント性からは遠のいたイメージで、かつ医学者・科学者としての分析が加えられたページは普通の小説読者としては腰が引ける。難解な記述は飛ばし読みしても構わないと思う。他に、当時の新聞報道や、裁判記録などにも触れる部分など、今、改めて全貌を多角的に振り返る興味が読者を駆り立てることで、意外に本作はスピーディに読み進んでしまう。
およそ四半世紀前、日本ばかりか世界をも騒然とさせた地下鉄サリン事件。まるで全容の見えなかった松本サリンと併せて、あの事件は、当時を知る者の個人史にすら影を落とすようなショッキングな出来事であったと思う。未解決の国松警察庁長官狙撃事件を含め、ほとんどの教団関係者の死刑を急いでしまったことで、事件の一部が意図的に闇に葬られた疑いも強く残る。政治や日本の構図に現在も眠る闇、という地点にまで繋がる何ものかにすら、今、この時、このコロナ禍の時代にも、疑心を懐かざるを得なくなる。
実は松本&地下鉄サリン事件対策に、ぼくは実は仕事で関わったことがある。本書は改めて当時の世情や危機管理状況を振り返る良い機会となったため、夢中になって読んだ次第。
地下鉄サリン事件を扱った本としては、村上春樹の『アンダーグラウンド』と『アフター・ダーク』が忘れ難い。二冊とも、事件に巻き込まれた多数の人たちのインタビューで構成された本だったが、今回の帚木蓬生作品は、あくまで医学者としての眼で全体を俯瞰し、総体的・歴史的にオウム真理教がやったことの全体像を見直す形で、本書を綴っている。この事件は、関わった人の数や時間だけでも相当なボリュームを持つゆえに、両作家にとってのどの作品も相当の集中力と準備時間を窺わせる苦心の作となっているように思う。
村上春樹が人間のもたらした闇を、帚木蓬生は化学テロという歴史の汚点の解明者として、またどちらも最後には人間の命、という一点に焦点を絞っているからこそ、犠牲者たちの上に連ねられた文章の重みがあまりに痛々しく、そして凄まじい。この事件を知らない世代にも、語り継がれるべき「時代の記録」として、本書もまた重要な意味合いを、今後長年月に渡り、持してゆくことになるだろう。
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オウム真理教の悪行。
こんなにも多くの犯罪に手を染めていたのか。
P228
〈教団が目をつけるのは、あくまで広い意味での社会逃避者である〉
また、高学歴の者たちが簡単に洗脳されてしまったのはどうしてだろう。
悪の道から脱却するには「死」しかなかったのか。
第十六章「逃げる教祖」は〈弟子たちが検察側証人として出廷する〉
元幹部たちの証言を読み虚しくて悲しくて辛かった。
当時の報道が蘇ってくる。
帚木さんが後期で〈幸い、物語を織る材料になる糸はふんだんにあった〉と書かれている。
丁寧に織られた本書を読むことができて良かった。
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読み応えがあった。忘れかけていたサリン事件のおぞまさに驚いた。忘れちゃいけない事件だとつくづく思う。
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久々に「読んだぁー!」という量。
オウム真理教がのおこした数々の犯罪をほぼ時系列的に、神経内科教授が記録していくフィクション。
といってもほぼノンフィクションと私は捉える。
精神科医でもある筆者は後書によると「全貌を明らかにしなければならない」という筆者ならでは、の義務感に囚われたのではないか。
たくさんの参考文献をもとに、よくぞここまでまとめてくれたものだ。
警察の体たらくの反面、医療従事者の奮闘ぶりは、もっとメディアに出てもよかろうに。
完全に原因を追及することなく、死刑執行されたのは、違和感があったが、東京五輪や天皇即位が絡んでいたとは思いもよらなかった。
被害者たちも歯がゆかったことだろう。
いやー、帚木蓬生先生!ご苦労様でした!と心から賛辞を送りたい。
ありがとうございました!
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膨大な資料から、わかりやすくまとめられています。大変な作業だったと思います。
地下鉄サリン事件、当時、東京駅から、地下鉄を使い半蔵門まで、通っていました。たまたま、出張で大分県日田市に来ており、テレビで事件を知りました。その後、新聞や週刊誌でオウムの記事を読んでいましたが、真摯にまとめられたこの本以上の物はないと思います。
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TBSの犯した不祥事を無視するのはいただけない。
オウム真理教の始まりから終わりまで、順序立てて非常に詳細に描かれている。この点だけでもかなりの高評価、素晴らしい著作なのだが著者がTBS出身ということでTBSビデオ問題についてほとんど触れられていない。これこそがマスメディアの犯した世紀の愚行であったのにさらりと数文字書かれているだけ。この点が本当に残念でなりません。
そしてTBSということで毎日新聞の登場シーンがやたらと多い。朝日新聞はそれに次ぐ。
それと生物兵器の歴史も書き連ねた点は良かったが、旧日本軍の731部隊に関する記述が多すぎる。酷いことをしていたのは間違いないがオウムから離れて何十ページも割いて批判を繰り広げるのはこの本の趣旨からするとかなり脱線している印象を受けた。
全体を俯瞰すると☆5にしたいところだが上記事項がやはり難点。☆4です。
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医師でもある作者が、地下鉄サリン事件から25年目を迎えるまでにとまとめ上げたオウム真理教による犯行の全貌。
表紙のカナリヤを手にした重装備の捜査員に、当時ニュースで見た強制捜査の映像が蘇る。
薬物中毒の監修等で実際に活躍した九州大学の衛生学研究室教授をモデルとし、史実に基づき構成されたフィクションは、医師ならではの知見が十分に発揮された深みのある作品になっている。
詳細な毒物の作用機序や第一次世界大戦の毒ガス攻撃の歴史など詳細にすぎる面もあるが、それでも最後まで読むのをやめられなかったのは、私自身あと数分の差で地下鉄サリン事件に遭っていてもおかしくなかったからかもしれない。
人生の明暗を分けたあの日、現場ではこれほどの惨事が起こっていたのかとニュースでは知り得なかった事実にさまざまな思いが胸を重くする。
作者は言う「人はいとも簡単に洗脳される」。
「オウム真理教の実態は、洗脳に対する教訓をまたとない形で示してくれる。その意味でも、私たちは絶対に、オウム真理教という現象を忘れてはならないのだ」と。
「貧者の核」と言われる化学兵器は、核兵器と違っていつでもどこでも使用が可能であるということ、人の孤独な魂につけ入り、洗脳し、テロを仕掛ける輩がいつ現れてもおかしくないことなどを鑑みると、私たちはこの過去の大事件を決して忘れずに語り継いでいかなければならないと強く心に刻みました。
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オウムの本を読むと、犯した罪の償いはやはり心の底からの悔やみしかないんだと思い知らされる。
そして人間の心の弱さ
麻原以外はほとんどが私利私欲はなかったはずなのに
犠牲になった人たちの無念さが辛い
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146久々に渾身のルポタージュを読んだ。高学歴の人たちがなんでコンプレックスのかたまりのおとこに惹かれていったのか?真相を追求しようとする信念を感じました。しょうむない授業するくらいなら、これを教科書に半年くらいかけて子供に教えないとあかんと思う。とにかく心労を尽くしての執筆ご苦労様でした。ありがとうございました