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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2010.5
  • 出版社: 新潮社
  • サイズ:20cm/423p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-590083-0

紙の本

サラの鍵 (CREST BOOKS)

著者 タチアナ・ド・ロネ (著),高見 浩 (訳)

パリで平穏に暮らす45歳のアメリカ人記者ジュリアは戦時中にこの街で起きたユダヤ人迫害事件を取材することに。しかしその事件が彼女の、そして家族の人生を深く、大きくゆさぶりは...

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サラの鍵 (CREST BOOKS)

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商品説明

パリで平穏に暮らす45歳のアメリカ人記者ジュリアは戦時中にこの街で起きたユダヤ人迫害事件を取材することに。しかしその事件が彼女の、そして家族の人生を深く、大きくゆさぶりはじめる…。【「BOOK」データベースの商品解説】

60年前、ナチスに連れ去られた少女サラが私の人生を変えていく…。パリで暮らす米国人記者ジュリアは戦時中に起きたユダヤ人迫害事件を取材することに。しかしその事件が彼女の、そして家族の人生を大きくゆさぶりはじめる。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

タチアナ・ド・ロネ

略歴
〈タチアナ・ド・ロネ〉1961年パリ生まれ。イギリスのイースト・アングリア大学で英文学を学ぶ。雑誌『ヴァニティ・フェア』のパリ特派員等を経て作家に。

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書店員レビュー

MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店

ホロコーストへ送られ...

MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店さん

ホロコーストへ送られた少女の足跡をたどる
女性ジャーナリスト。

取材を進めるうちに家族で引っ越す予定の
家が60年前の事件に深くかかわっていると知る。

真相を突き詰めるごとに家族との溝が広がりやがて…

キャリアウーマン、妻、母。
女性の生き方を考えさせられる1冊。

文芸担当:三上

みんなのレビュー121件

みんなの評価4.4

評価内訳

紙の本

封印されかけていた、フランス警察によるユダヤ人迫害

2011/02/10 10:52

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ナチス占領下のパリで、ユダヤ人の少女サラは、両親とともにフランス警察に連れ去られます。
すぐに帰ってこられることを疑わず、小さな弟を秘密の場所(納戸)に避難させ鍵をかけた少女には、
その後アウシュビッツに送られるという運命が待ちかまえていました。

辛くも生き残った少女のことを知ってしまった、現代のパリ在住ジャーナリスト、ジュリア。
フランス人と結婚し、アメリカとフランスのどちらにも馴染みきれない女性が、
戦時の少女の悲劇を調べる一方で、夫の実家の抱える秘密に近づいてしまいます。

ホロコーストを中心に、過去と現代、少女と中年女性の人生が描かれているのですが、
息苦しくなる描写の続くなか、見事なストーリーに否応なく引き込まれてしまいました。
誰もが抱える問題と、歴史的な大罪が違和感なく溶け込み、やりきれない悲しみが鮮明に伝わってきます。

忘れてはならない罪。
それを声高に訴え闘える人もいれば、隠すことでようやく生きていた人もいる事実。
小説という形で、それを炙りだしてくれた著者に、思わず感謝したくなる物語でした。

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紙の本

その鍵を手放さぬ限り

2010/06/26 17:44

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ヴィシー政権下でナチス政権と友好を結んだフランスには、加害者としての貌と、被害者としての貌がある。クレストブックスのフィリップ・グランベールによる『ある秘密』では、この複雑なフランスの側面が描かれており、本作のヒロイン・サラの運命も、ふたつの貌を持つフランスによって翻弄される。

第二次大戦下のフランスで、家族と暮らしていた彼女はある日、怖い大人の男の人が家にやってきた時に、出ていくのを渋った弟を秘密の納戸に隠し、鍵をかける。「必ず開けてあげるからね」と約束をして。しかしその約束は長く果たされることがなかった。時が過ぎて、パリで幸せに暮らす女性記者ジュリアが、仕事で「ヴェロドローム・ディヴェール」(通称ヴェルディヴ)を調べることになるが…。

ヒロインをアメリカ人女性としたのは物語への探求心を持つ客観的な立場に置くためであろう。彼女のストーリー(現在)と、サラのストーリー(過去)は、最初から並行して描かれ、早晩この物語は一つになるのだろうと予測がつく。二つのストーリーのクライマックスシーンをほぼ同時に登場させているが、構成を優先させて物語が間延びした印象を持つことはない。謎が明かされて以降、一つのストーリーに収斂されてからはサスペンス要素は高まらないが、戦争の犠牲者と加害者の断罪というベタなものではなく、理解と鎮魂の穏やかな結末に辿りつく。



タイトルとなる鍵にもある比喩を感じた。一つの部屋のドアを開ける鍵が、一つの家族がずっと隠してきた秘密を開ける鍵となる。そして安全を保障するはずの鍵が、悲惨な結末を生む鍵となる。更にもう一つの鍵とは、大きな意味で『図らずも二つの貌を持つことになってしまったフランスが、過去と向き合い未来に続く関係を築く手法』のことを指しているのではないかと思われる。手法自体は言ってしまえばとても簡単なのだが、そうしようという気持ちになること、過去の因縁を越えて前向きに生きるまでの葛藤が邪魔をする。しかしその葛藤と闘い、やがて正しい答えを導き出せる力がある限り、人類は必ず戦争なき平和を得ることができるだろう。

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紙の本

ホロコーストは単なる過去の出来事ではない。それは現代に生きる我々の生き方にも関わってくる

2010/11/23 11:06

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カワイルカ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ホロコーストを扱った作品ということで内容が重すぎるのでは、と読むのをためらったが、読みはじめるととまらない。この内容で面白いといったら不謹慎かもしれないが、とにかくストーリーテリングが上手いし、深いところで読者の心を捕らえてはなさない。この本を見逃したら後悔するところだった。 

 この作品はヴィシー政権下の1942年と現代のパリを主な舞台にし、前半は過去と現代の物語が交互に語られる。
 1942年は、パリでフランス警察によるユダヤ人の一斉検挙が行われた年である。このとき検挙された13,000人を越えるユダヤ人は、いったん自転車競技場に集められ、やがて強制収容所に送られることになる。主人公のサラとその両親もこのとき検挙されるのだが、その直前に彼女は幼い弟を納戸に隠し鍵をかける。サラはあとで戻って来て弟を助けられると思っていたのだ。
 十歳のサラは、はじめはなぜ検挙されたということが理解できない。だが、競技場で人間としての尊厳を奪われた大人達を見ているうちに、徐々に自分のおかれた状況を理解するようになる。この過酷な状況の中の子供たちの描写がリアルで恐ろしい。
 もう一人の主人公、ジュリアは四十五歳のアメリカ人で、パリでアメリカ人向けの雑誌の編集者をしている。雑誌の特集記事を書くために六十年前のユダヤ人の一斉検挙について取材することになった彼女は、ひょんなことから、フランス人の夫の家族(テザック家)とサラの関係を知る。
 フランス警察によるユダヤ人の一斉検挙は、フランス人の間でもあまり知られていない。戦勝国のフランス人にとって、ナチスドイツに加担したという事実は耐えがたいのだろう。アメリカ人のジュリアにはサラの秘密を探ることにためらいはないが、それにたいするテザック家の人々の反応は真っ二つに分かれる。さらにもうひとつの偶然が重なり、夫との関係にひびが入ってしまう。

 この作品をよんでふたつのことが強く印象に残った。一つは、サラにとって彼女の秘密がいかに重かったかということ。もうひとつは、ジュリアがサラの秘密を知ることで、彼女の人生が変わったということ。
 我々は、時が経てば心の傷は癒される、と考えがちである。だが、少なくともホロコーストのような極限状況を経験した人たちにとって、それは正しくない。サラと彼女の秘密に関わった人たちの苦しみというものは、何十年経っても軽減されるわけではないのだ。また、ホロコーストは単なる過去の出来事ではない。それはジュリアの人生を変えたように、現代に生きる我々の生き方にも関わってくる。ジュリアの夫のベルトランのようにそれを無視する人もいるわけだが。作者は読者に「あなたはどちら?」と問いかけているように思う。

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紙の本

生活は戦争と深く結びついている

2010/11/08 17:53

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

1942年7月16日、パリでフランス警察による
ユダヤ人一斉検挙が行われました。
その人数は約13,000人。
多くがアウシュヴィッツに送られ
生き残った人は約400人といわれています。

そのなかでも「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件」
といわれる、パリの中心地の冬季自転車競技場に集められた
ユダヤ人への迫害は、長く封印されてきました。
この時期のヴィシー政権は、ナチス・ドイツ占領下であり
フランスの歴史ではない、というのがフランス政府の見解であり
責任を認めようとしませんでした。

しかし、1995年、シラク大統領が、この事件の追悼式典で
フランス国家の誤りを認め、これにより多くのフランス国民が
この事件を知ることになり、波紋を呼びます。

ヴェロドローム・ディヴェールの通称「ヴェルディブ」をとって
ヴェルディブ事件と呼ばれる、この事件には
4115人の子どもが含まれていました。

その中のひとりと設定される10歳の少女は、両親と検挙される際
すぐに戻れると信じ、4歳の弟を隠し納戸に入れて鍵をかけます。
しかし、ヴェルディブにとどめ置かれ、収容所に移動され
そして、両親とも引き裂かれます。

この悲惨な運命をたどる少女の物語と
1995年の一人のアメリカ人ジャーナリスト・ジュリアの
物語がクロスカッティングします。

彼女はパリ在住25年、フランス人の夫との結婚生活も
10数年に及ぶものの、英語なまりのアクセントを気にし
夫の家族からの距離感を常に感じています。
パリは大好きな街なのに、フランス人にはなじめません。

夫の祖母が老人ホームに移ったのを機に
そのアパートの部屋を譲り受けることになるのですが
同時に仕事でヴェルディブ事件を扱うことになります。
そして、奇妙なことに気づくのです。

祖父母と義理の父親が、そのアパートに引っ越したのは
1942年7月末。
戦時下のパリで簡単に引越しなどできるのだろうか――と。
偶然、部屋が空いたからと祖母は言うけれど――と。

もちろんユダヤ人への迫害を知るうえで
とても興味のある物語なのですが
それ以上に、著者のストリーテリングがうまい。
読者の不安を駆り立て、時には不遇な運命に涙させ
時には安堵のため息をつかせます。
そして幸せや人間の素晴らしさをかみしめることも。

それは、ジュリアの人生やユダヤ人少女の人生を
正面から描いているからです。
家族の秘密を掴んだジュリアは、それに没頭するだけではなく
夫の浮気、11歳の娘や夫家族との関係、45歳での妊娠と
人生の問題にも翻弄されます。

このような歴史問題は、時として自分の人生の中に入ってきますが
日常生活では忘れてしまっても何ら問題はありません。
しかし、この小説はそれを許しません。
生活と歴史を知ることは深く結びついているのだと
強く読者に語り続けるのです。

本書は、今年読んだ本のなかでナンバー1にあげられるでしょう。

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紙の本

だれもが口をつぐんだ悲劇

2011/01/21 08:07

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ルルシマ - この投稿者のレビュー一覧を見る

これは、実際に起こったフランス警察によるユダヤ人迫害事件をもとに作者の創作を織り交ぜたものなのですが、そのほとんどが真実であるために、あまりにも衝撃的です。

小さな弟は自分を待っている、あの暗い納戸の中で・・・
連行されたサラを襲う焦燥感と、やがて来る絶望感。

フランス政府が現在まであまり公に触れることが無かった暴挙。
ナチス占領下とはいえ、実際にそれをやってのけたのは、まぎれもないフランス国家。
60年前に10歳のサラに降りかかる人間の尊厳を踏みにじった過酷な現実を、
現代に生きるジュリアという記者が、追いかけていくうちに自分の家族とサラとの重大なつながりがあることに気付きます。
それはずっと封印されてきた悲しい事実でした。


だれもがアウシュビッツのことは知っているのに、フランス国内で起こったこの事件についてはまったく無知であったと思う。
ドイツやポーランドなどから脱出するユダヤ人は、フランスに逃げていくと思っていた私は、
今回の話ではとても衝撃を受けました。
弟との約束、それも彼の命にかかわる約束を果たしていない焦り、
自分の置かれている過酷とか悲惨という言葉では表しきれない地獄、
それを、少女の目線で書かれたところと、
45歳の、家族や夫との考え方の違いに苦しむジュリアの心の動きを克明にとらえ、対比させて書きあげてある構成は素晴らしい。

日に日に心身共に追い詰められていくサラと、歴史の証言者を追ってアメリカ、ヨーロッパを飛び回るジュリアを見逃がすまいと、どんどんページをめくってしまいます。
そしてすべてがわかった時、人々が下した決断は・・・

作者のタチアナ・ド・ロネが作品を通して、
この事件を世界に再確認させた功績は大きいと思うし、
その事件が意味する重さに頼らず、
彼女が文章力や構成力、想像力でここまで読ませる作品を書いたことは本当にすごいです。

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紙の本

時間を超えて、2人は同じ場所にいる。

2012/04/27 23:35

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

今になってやっと書いているが、本書は、今年に読んだ最初の本だった。

その時期に上映が始まっていた映画を観ようと思い、
その前に原作も読んでおこうと本書を手にしたのだった。

昨年は音楽をたくさん聴いたけれども、それに比べて本は読めなかった。

時に無力感に苛まれてしまう気持ちを音楽に支えてもらったけれども、
読書に関しては、気力やスピードや集中力がすっかり落ちてしまったと感じていた。

本書は423ページあるので、今回も時間がかかってしまうのではないか、
あるいは、内容が重くて読めないのではないかという心配もあった。

だが、それは杞憂だった。

重いテーマを扱っていることは確かであるが、
読み始めてみたら、続きが気になって読むのをやめることができない。

購入して3日で読み終わり、その熱が冷めないうちに映画を観る形になった。

400ページあまりあるストーリーを2時間に収める難しさもあったと思うが、
本と映画のそれぞれの良さを感じることができた作品だった。

本にあって映像になかったもので本の良さを、
映像にあって本になかったもので映像の良さを感じた。

1942年に生きるユダヤ人の少女・サラと
その60年後の2002年に生きるアメリカ人の女性記者・ジュリアの物語が
交互に織りなされていく。

同じパリではあるのだが、まったく異なる環境にいる2人。

だが、時間を超えて、2人は同じ場所にいることが次第に分かってくる。

そう、同じ場所にいるのだ。

私たちがそれを忘れさえしなければ・・・。

サラは、惨事に巻き込まれていく中で、
否応なしに大人にならざるを得なかった少女である。

普段の学校生活では同じユダヤ人の友人・アルメルの方が
落ち着いてしっかりしている印象であったし、
フランス人の警察に連行されてすぐに状況を理解したのも
学校の知り合いの少年・レオンの方が先であったし、
母親と引き離されたあと、逃げようと励ましてくれたのは少女・ラシェルだった。

最初は、彼らよりも少し少女に感じられるサラだが、
ここの方が安全だと信じて、家の納戸に隠した弟のところに戻るため、
必死に自らが置かれた状況を乗り越えようとする。

その現実に向かう姿が現在のジュリアと重なってくる。

そして、少女時代のサラと大人のサラは哀しいまでに断絶されている。

それが、彼女の生きた現実だった。

その断絶をつないだのがジュリアだったのだ。

「サラの鍵」は、いくつかの意味を持たせたタイトルである。

文字通り、サラの持っていたミシェルを隠した納戸の鍵とそして・・・。

衝突を恐れず真実を究明して向き合うか、それとも、触れないままにしておくか。

静かに生きる姿勢も問われたように思った。

本書を読み終った時、自分が次の本を求めていることに気づいた。

実は、震災後にそれはあまりなかった気持ちだった。

本書は、本を読みたいという気持ちをよみがえらせてくれた1冊だった。

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紙の本

明るい未来は、過去に犯した過ちを隠すことではなく、正面から見直すことで開かれる、っていうこんなに当たり前のことが分からないのかなあ、日本の第二次大戦中の、あるいは明治維新後日本人がアジアで行ったことを自虐史観として無かったことにしようとする似非愛国者は・・・

2010/12/28 17:13

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

宣伝文句にナチス、ユダヤ人、て言葉があるのを見ただけで読む気が失せるんです。この二つだけで、あるイメージが出来上がってしまう、それが読書意欲を殺ぎます。正直、戦争ものが好きじゃあない。なにも帝国軍人とナチスが暴虐の限りを尽くした第二次大戦だけのことではありません。洋の東西、時代を問いません。かろうじて読めるのが中国の歴史に出てくる戦い。これはあまりに数が大きくて、ピンとこない。

でも、戦争なんて所詮は殺し合い。普段、押さえ込まれている人間の獣性が解き放たれる、そのおぞましいことと言ったら。真実を見つめなければいけない、というのは分かっても私は目を背けたい。アウシュヴィッツなんてもってのほか、カンボジアのキリングフィールドだって御免です。ただし、それを自虐史観として無かったことにする、のではありません。あったこととして、心を引き裂くような文章や映像を好んで見たくない、それだけです。

ですから、カバー折り返しの内容案内
          *
Sarah's Key

1942年、ナチス占領下のパリ。7月16日の早朝、
フランス警察はユダヤ人13000人以上を一斉検挙
した。彼らのほとんどはその後アウシュヴィッツ
に送られる。連行寸前、10歳の少女サラは弟のミ
ッシェルを納戸に隠し、鍵をかけた。「あとでもどっ
てきて、出してあげる。絶対に」――60年後、現
代のパリ。夫と娘とともに平穏な日々を送る45歳の
アメリカ人ジャーナリスト、ジュリアは、戦時中
にこの街で起こったユダヤ人迫害事件を取材する
ことになった。それが彼女の人生の意味を根底か
ら変えてしまうとも知らず……。国家の恥、家族
の秘密、自分と夫の心の傷に同時に触れてしまっ
たひとりの女性が、真実を、そして自分自身の新
たな生きかたを見つけようともがく闘いの記録。
          *
を読めばなおさら心が冷める。そういうわけで早々に読書予定から外していました。ところがです、そういう時に限って図書館の書架に、この本が誰に読まれることも無く捨て置かれているわけです。で、そんな時に何故か私には読む本が無い。結局、手にしてしまうんです、嫌々・・・

ただし、カバー画は素晴らしい。開いたドア、それもヨーロッパのアパートやなにかの白いペンキ塗りの壁にある扉の絵って、ある意味、現代写実絵画の定番みたいなもので、海外の画家のみならず、日本の画家も沢山描いています。それを思い出させずにはいないもので、Paintings by Vilhelm Hammershoi/"Open Doors" AKG/PPS 、Design by Shinchosha Book DSesign Division と書いてあります。これだけは嬉しい。

話の内容は、もう十分でしょう。辛い話です。ベルンハルト シュリンク『朗読者』なんて問題にならないくらいに悲しくて辛い。むしろ、今読み終わったばかりのデイヴィッド・ベニオフ『卵をめぐる祖父の戦争』や、井上ひさし『一週間』、笑いやロマンスの要素が無い点ではトム・ロブ・スミス『グラーグ57』に近いかもしれません。そこで、構成や人物などについて補足しておこうと思います。

話は大きく、二つの時代を描きます。2002年と1942年がそれで、舞台はともにフランスです。前者の主人公は45歳になるジュリア、後者は10歳のサラです。少女が良かれと思ってとった行動が、自分に焦燥感と使命感を抱かせます。その原因となったのがヴェルディヴのユダヤ人一斉検挙で、それを文中の言葉で引用すれば
                 *
一九四二年七月十六日から十七日にかけて、一万三千百五十二人のユダヤ人がパリとその近郊で検挙され、アウシュヴィッツに送られて殺害された。かつてこの地点に建っていたヴェローム・ディヴェールには、ドイツ占領軍の命令により、ヴィシー政府の警察の手で、千百二十九名の男性、二千九百十六名の女性、及び四千百十五名の子供たちが非人道的な条件の下で収容された。彼らを救助しようとした人々に、感謝を。ここを通り過ぎる人々よ、決して忘れるなかれ!
                 *
となります。過去の事件を取材するのがジュリア、フランスに来て25年、フランス人のベルトランと結婚して15年になる45歳の、『セーヌ・シーン』というアメリカの週刊誌のライターです。17歳の時、ミス・ナハントにも選ばれた長身の美女は、今でも男の心をときめかさずにはいない存在です。夫のベルトランは、47歳、建築会社に勤めていましたが、5年前に独立しています。二人の間にはリュクサンブール庭園近くの学校、リセ・モンテーニュに通うゾーイという11歳の娘がいます。

で、彼女がヴェルディヴのユダヤ人一斉検挙がなんであったのかを探るのですが、その探求の経過よりも彼女の結婚生活のほうが面白い。アメリカ人であるというだけでジュリアを認めようとしない義母や義妹たち、そして寡黙な祖父のエドゥアール。三人の子持ちの離婚している四十代の女性で、ベルトランが通ったヴィクトル・デュリュイ校以来のガールフレンドのアメリ。気位ばかり高い人種の愚かさが良く描かれています。

それに対して、ジュリアの実家の人々の素晴らしいことと言ったら。マサチューセッツ工科大学で教鞭をとっていた父のショーン、マイアミ出身の元テニス・チャンピオンで母のヘザーもですが、何といっても魅力的なのは妹のチャーラです。長身の美女で、ベルトランいわく“美人で、頭のいい、傲慢なフェミニストのアメリカ女”。ちなみに、彼女によるとベルトランは“男っぷりのいい、尊大な、男性至上主義のフランス男”となります。

彼女は再婚していますが、別れた夫ベンに瓜二つの子供がいて、現在はコンピューター関係の仕事をする新しい夫と暮らしています。長身と美人は家系でもあるということですが、姉のジュリアよりもさらに背が高い設定です。年齢がよくわからないのですが話の流れからは四十代前半です。イメージ的には三十代後半のほうがいいようです。私としてはジュリアを39歳、チャーラを35歳にしたほうが相応しかったのではないか、とおもっています。

もう一人、過去の主人公、サラについては本文を読んでもらうこととして、1942年のヴェルディヴのユダヤ人一斉検挙当時10歳だったフランス生まれの、法的な意味では立派なフランス人の少女で、ユダヤ人であるグワディスワフ、リフカ夫妻の娘。検挙のとき4歳になるミッシェルという弟がいたことだけを書いておきます。

自虐史観だと声高に叫んで、己の過ちを認めず、他人に責任転嫁することの、真実を隠蔽することの愚を確認しましょう。

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紙の本

史実の痛みを埋没させぬために紡がれた「忘れ難い物語」

2023/11/12 14:01

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る

歴史を彩る悲しい事実は、人間の歩みを記録する歴史の重みであり、記憶という忘れやすい痛みでもある。人為的災害たる戦争にあっては、取り返しのつかない史実の痛みを、殊更に人間は忘れがちとなる。

日本軍が絡んだ「イワノフカ村事件」とその報復ともいえる「尼港事件」しかり、「三竈島(さんそうとう)事件」や「久米島事件」などの島民虐殺しかり。ほとんどの日本人は史実それ自体を知らないか、もしくは忘れた振りをしている。

本作が描く史実、フランスの親独ヴィシー傀儡政権下で実施されたユダヤ人一斉検挙・拘束・収容所連行の「ヴェルディヴ事件」も、戦後、長らくフランスで忘れられていた痛みを伴う歴史だ。革命で王政を倒し共和政を実現させた民衆国家の、拭い難い<汚点>なのだ。

本作では1942年7月と2002年5月のパリが、同じ章・節のなかで(異なる活字フォントを使い分け)交錯して書き進められるので、読者は馴れるまで大いに戸惑うことになる。その代わり、臨場感や切実感が半端ではない。

収容所から逃れたユダヤ人少女のサラの運命は、自宅の隠し戸棚に閉じ込められた弟は無事なのか。現代(2002年)にあって少女サラのその後を追う女性記者ジュリアの執念が、やがて真実の扉を開くのか。

歴史サスペンスの要素に満ち溢れた謎解き展開にもかかわらず、物語は次々に読者の期待を裏切ってゆく。女性作家の筆は、真実はいつも非情で残酷なのだと告げるかのようだ。

それでも最後の最後に、サラが残した息子と女性記者とのロマンスの芽生えをほのかに匂わせる点は、女性作家らしい手腕だ。仲を取り持つ幼子が亡き人と同じ名前だなんて、『若草物語』みたいで感動的だもの…。

忘れられない人がいる。忘れてはいけない歴史がある。歴史は「過去を映す鏡」の役目だけでなく、「未来を指し示す道標」を兼ねているのかも知れない。

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紙の本

物語としての面白さと、戦争の罪悪さと一般人を巻き込む悲惨さを伝える。こんな困難なことをこの1冊は見事に成し遂げている。

2011/01/19 15:13

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:書子司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ナチス占領下のパリで、ホロコーストの一環として、フランスで行われたユダヤ人の検挙と、その事件を取材するうちに夫の家族との関わりに気づいてしまったアメリカ人女性ジャーナリストジュリア。ナチスに連れ去られた少女サラを描く60年前のストーリーと、現代のパリでその事件を取材する女性ジャーナリストの取材活動が交互に描かれ、それが、彼女の夫の家族が暮らしてきた「家」で交錯する。
女性記者の一人称で描かれているので、もっと感傷的なものかと考えながら読み始めたが、意外と骨太で物語としての構成がしっかりとしていて、重いテーマを扱いながら、ストーリーづくりの巧みさにページを次々と繰ってしまった。
60年前、サラは収容された施設から逃げ出したあとどうなったのか?その弟は?ジュリアの取材はそのまま、読者の知りたいことと重なり、現代と過去が交互に語られることで、より興味を深め、飽きさせない。
アウシュビッツの悲惨さやナチスの非道よりは、ナチス占領下でのフランス政府のナチスへの協力・ユダヤ人収容に力点が置かれているようで、ナチスの問題は単にナチスだけに帰されるのではなく、協力した当時の政府などにも責任がある、という強いメッセージを感じた。
表紙の見返しに、「国家の恥、家族の秘密、自分と夫の心の傷に同時に触れてしまったひとりの女性が、真実を、そして自分自身の新たな生きかたを見つけようともがく闘いの記録。」とある。そういう見方もあるのだろうが、この作品はそのタイトル通り「サラ」が中心にあり、戦後も決して癒されることのなかったサラを描くことで、戦争の愚かさを伝える、深い余韻を残す1冊であった。

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2011/05/22 23:52

投稿元:ブクログ

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2010/09/13 01:45

投稿元:ブクログ

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2010/08/24 23:44

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