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商品説明
1.なぜ系統を復元するのか 2.系統とはなにか 3.分岐学−その起源と発展 4.分岐学に基づく系統推定−最節約原理をどのように用いるか 5.系統が語る言葉−分子から形態へ、遺伝子から生物地理へ【「TRC MARC」の商品解説】
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「歴史」を復元するための方法論を解説
2000/12/05 10:26
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る
【著者コメント】 この『生物系統学』では、急速に変貌し、裾野を広げつつある現在の系統学という学問分野をできるだけ幅広い視点から歴史的にとらえ、その現在の姿と将来への展望を見渡しました。とくに、「系統推定」を中心テーマに据えて、なぜ系統を推定し、進化の歴史を復元する必要があるのかという目的を明らかにし、その系統推定のためにはどのような手順を踏めばいいのかについて論じます。とりわけ、分岐学(cladistics)に基づく系統推定および祖先復元の手順、ならびに分子データに基づく分岐学的方法(最節約法)とその応用を論じます。本書には数式はほとんどありません。数式の代わりに、170あまりの図が説明をしてくれます。したがって、内容的にはこの分野に関心をもつ学部学生にも十分に読めるレベルであると私は考えます。
一般歴史学としての系統学の位置づけをした第1章、系統樹の情報構造を論じた第2章、1960-70年代の論争を含む系統学の近現代史を論じた第3章、最節約法の観点から分岐学の方法論を体系化した第4章、そして比較生態学・生物地理学・系統分類学・形態学など周辺領域への波及と応用を論じた第5章のそれぞれには、本書で初めて書かれた事項や情報が含まれています。したがって、この『生物系統学』は、現役の研究者にとってもきっと参考になります。
歴史復元に関する方法論は、生物学だけでなく、歴史言語学や写本系図学において古くから用いられてきました。本書で説明する方法は、言語や写本など非生物の系統推定問題にも適用できると考えます。したがって、本書の読者層には、生物学を含む自然科学だけではなく、形而上学、歴史科学、科学哲学、認知科学に関心をもつ人文系の読者も含まれます。
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【目次】
プロローグ:進化生物学に生い茂る系統樹
第1章:なぜ系統を復元しなければならないか?
1−1節:歴史を推定すること
1−2節:永遠の分類、久遠の体系
1−3節:系統樹思考 vs 分類思考
1−4節:分類思考の認知的基盤
第2章:系統とは何か?
2−1節:進化史が物語るもの
2−2節:関係の構造、関係の代数
2−3節:萌え出づる:関係図としての樹形図
2−4節:付録−私家版『順序づくし』
インテルメッツオ:「アルボス」あるいは樹の詩
第3章:分岐学:その起源と発展
3−1節:系統の大いなる分岐:前史−言語、写本、古因学
3−2節:日はまだ昇らず:たそがれる世紀末体系学
3−3節:Willi Hennig と分岐学の黎明期(1931〜1966)
3−4節:空間・時間・系統−歴史生物地理学への道
3−5節:軋轢と葛藤:体系学大論争の時代(1966〜1980)
3−6節:聖書解釈と異端粛清−発展分岐学への変容と再編
第4章:分岐学に基づく系統推定:最節約原理をどのように用いるか?
4−1節:系統樹への遠い道のり
4−2節:涙なしの最節約−ある対話
4−3節:仮想祖先はどんな形質状態を持っていたのか?
4−4節:最節約分岐図はどれか?
4−5節:その分岐図はどれくらい信用していいのか?
4−6節:最節約法の名のもとに:分子分岐学の出現
4−7節:系統はツリーではない:分岐図からネットワークへの滑らかな進化
第5章:系統が語ることば:分子から形態へ、遺伝子から生物地理へ
5−1節:種間比較法:形質進化仮説の系統学的検証
5−2節:中心主体の階層化:1階分岐図と2階分岐図
5−3節:系統分類体系:系統関係の射影としての分類体系
5−4節:「かたち」の蠱惑、形態学の憂鬱
エピローグ:分岐学の現代的チューンナップ、そしてクリオへの賛辞
付録:インターネット資源の利用
参考文献
索引