紙の本
台所に立ったらまずお湯を沸かす
2023/04/19 11:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
食にまつわるエッセイ。子育てとコロナ禍の中、授乳や離乳食、会食にまつわるあれやこれが語られる。
生活の上で、何も思い付かなくてもお湯を沸かしていれば、次が自然と決まっていく。
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柚木さんのコロナ禍でのワンオペ育児。
ただでさえワンオペはキツいのに、コロナ禍の孤独感が本当に辛かったとヒシヒシ伝わって来ました。
ベビーカー蹴飛ばすオヤジが本当に許せません!
タイトルの言葉がスッと私の中にも入ってしました。中々出来ないかもしれないけど、とても良い言葉だと思いました。
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大好きな柚木さんのエッセイ。
大事にゆっくり読んだ。
なにごともやりすぎてしまうという柚木さんの子育て、コロナ禍の乗り越え方に勇気をもらった。
自分1人ではなにもできなくてもどかしいけど、誰かが立ち上がってくれたときには迷いなく応援したい。
オープンハウスわたしもやりたいな。
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「ご飯が炊けてる お湯が沸いているだけで、もう勝ったも同然」ほんとにそう思う。
柚木さんの小説にある、女の子の自由さ、たくましさが好きだ。
彼女の暮らしは、大変なこともあるけど(疾患があるとのこと、コロナ本当に大変だったと思う)、確かに恵まれている部分もあると思う。
彼女自身が言うように、徹底的に孤立化することもなく、経済的に困窮することもなく、自分の母のことが好きだと言える生育環境。
幸せそうなことは何も悪いことじゃない。
著作の「〜ジェントルメン」でも恵まれていることに感謝すればいいと主人公が気づく話があって、本当にそうだよねと思う。
朝井リョウさんのエッセイで、柚木さんと全力でふざける仲間であることが書かれてて、その片鱗もちらほら。
・友人家族にプレゼントのプレゼン動画を送りつける
・直木賞とってないのに回答35通り想定
・顔ハメ看板 はしゃげるチャンスに貪欲たれ
とてもおもしろかった!
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仕方ないけど、コロナコロナなエッセイ。
あとやたらバズりを意識なさってる気がして、なんかあわなかったな、どれも分かる!ってならなかったし、腹抱えて笑うようなこともないし、あまり肌に合わなかった、残念。
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コロナ禍での子育てエッセイ的な。『BUTTER』や『らんたん』からは、夫婦喧嘩をして家を飛び出しフードコートで泣く姿は想像出来なくて(当たり前だけど)、人間味があって良かった。
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5冊目の柚木麻子さん。2018年から2022年までの4年間を、食と料理を通して記録した柚木さんの初エッセイです。
タイトルの『とりあえずお湯わかせ』というのは、柚木さんのお母様の口癖で「何も手につかない時はお湯を沸かせ、そうすればお茶を飲むなり野菜を茹でて一品つくるなり、最低でも部屋を加湿できる、いわば停滞を脱するとっかかりを最もハードルの低いところでつかめ」(13頁)という意味なんだそうです。
内容は…
初めての育児に奮闘する日々
コロナによって一転する生活
コロナ禍でのワンオペ育児と仕事の両立
自粛生活の中で楽しく過ごす工夫
などなど。
保育園を40個も落ちたり、ベビーカーを見知らぬ男性に蹴られたり、子連れで歩いていて舌打ちされたり嫌味を言われたり…なんていう経験もされていて、ちょっとびっくり。
朝井リョウさんのエッセイで、柚木さんと2人で結婚式の余興をした話があってとてもおもしろくて、こちらでも朝井さんの話出てこないかなぁ〜なんてちょっとだけ期待していたんですが、残念ながら出てきませんでした。
朝井さんのエッセイほどではないにしても、もうちょっと軽く明るく、読んだら元気が出るような内容を想像していたので、ちょっと思っていたのと違ったかなぁ…。
でもまさに「今」という時代に子育てされている女性作家さんのリアルな日常でした。
このエッセイの連載中に『らんたん』を執筆されていたようで、ぜひそちらも読みたいです。
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コロナ禍での子育てはとても大変だったと思う。
外出もままならない中、いろんなアイデアで楽しもうとするところがすごいと思った。
子連れでの外出につきまとう心配、ベビーカーを蹴られたり、長距離移動での嫌な経験。
子育て中の人は共感できると思う。
お料理についてはどれも美味しそう。
大人のおやつに出てくるアイスを食べてみたい。
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朝井リョウさんのエッセイに、筆者がたびたび登場しては爪痕を残していたので、きっとおもしろいに違いない!と思って手に取りました。
コロナ期間のお話が大部分を占めているので、閉塞感があるところもありましたが…
筆者は、自分と周りの人を楽しませる工夫の天才で、この人が起こす行動が既に面白いからエッセイも面白いんだろうなと思いました。
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香港経由の飛行機に乗った時のことを思い出した。
中華系の人たちが多く
子供たちがのびのび、わーわー走り回り
みなリラックスし、思い思いに長いフライトをやり過ごしていた。
中国語で話しかけられ、何を言われたかわからなかったたけれど嬉しくなるような、そんな雰囲気だった。
怯えながら、人に迷惑をかけないように、心をこわばらせて生きなくていいんだと思った。
こんな風にこのエッセイを読んでいると、思い出すことが多い。そしてちょっとラクになる。
自分の中に内包されてしまった社会の厳しい目が、穏やかになる。
これからも無防備に、幸せそうに、楽しく過ごすという社会へのカウンター活動をしてゆこうと思う。
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柚木さんって、面白くて、鋭くて、ハッキリした人というイメージではいたけど、すごく活発な人でもあったのねー。
肺が弱いらしいから、コロナ禍はホント大変そう。
それにつけても、話の端々に良いとこのお嬢さん感があってなんだかな?と思いながら読む。
世田谷育ちっぽいし、裕福に育ったんだろうな。
ま、恵泉から立教なので、それも然りか。
お母さんのことも大好きで、お母さんも素敵な方のようで、お友達のお母さんや家族も素敵な方々らしいので、なるほどねぇ…という感じ。
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良くも悪くもすごく自分本意に生きている人なのだなと思った。
女性、特に母親にかかる負担に対して頻繁に声を上げているけれど男女がどうのというより社会的不利な場面での援助があるかどうかが重要なのではないか。
男には男の、子どもには子どもの、お年寄りにはお年寄りのそれぞれの問題があり一面だけで判断するのはとても過激で危険な考え方だと思う。
平等とはどういうことかもう少し考えた方がいいと思うような場面が多々あった。
とは言いつつも激動の子育て期、コロナ禍の只中に執筆されていたことを思うとなぜだか嫌いになりきれない。
主張していることは偏っているし無茶苦茶だけれど不思議と人がついてくる不思議な魅力のある人だと思う。
皺寄せを嘆きながらも自分らしくより良い生活になるよう考え努力できる強い力を持っているからだろうか。
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Kindleで読んだ。
コロナ禍の自粛生活の中で徐々に気が付く、世の中の理不尽や分断。それぞれの立場でNOを言っていくことの大切さ、声を上げることで確実に変わっていく、世の中の空気。食と料理を通して、2018年から2022年の4年間を記録したエッセイ。
朝井リョウさんが柚木さんと結婚式の余興をするのが好きだみたいのをエッセイに書いてて。
柚木さんってやっぱり面白い人なんだ!と「こいのぼり」ラップ追加バージョンを読んで思いました(笑)
世の中や国への憤りには共感しかなかった。
日本にいて幸せな未来はあるのかな…。
“毎日大変だけど工夫して楽しく過ごそう、と不満を押し込んで無理に笑う時代はもう終わったのではないか。いつか全員がとりあえずお湯を沸かせる世界をイメージして、私は私の場所でNOを突きつけていきたいなあ、と思う。”
“ニュースにブチ切れながらもとりあえずお湯を沸かし続ける私の記録を、「そうはいってもこの人、料理してるし、なんだかんだ楽しんでもいるよね。おうち時間をしなやかにエンジョイする爆笑ママエッセイ!」と評しそうな連中に、とりあえず、この沸いたばかりのお湯をぶっかけよう。”
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コロナ&育児で大変だった様子が何十年か後に「語り部」によって語り継がれてゆくための良い証跡となるでしょう。
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いまとてつもなく白湯が飲みたい。
10月20日に発売された柚木麻子さんの『とりあえずお湯わかせ』を読んだ。
この連載はもともと柚木さんが雑誌とWebで連載していたエッセイを一冊にまとめたものだ。
私がこの連載を知ったのは去年あたりだった。
柚木麻子さんの作品がもともと好きでTwitterをフォローしたところ連載更新のお知らせをするツイートを見かけたのがきっかけだった。
連載を知ってからは更新がされるのが楽しみでしょうがなかった。
だから書籍化されるのも待ち遠しく、通販ではなく書店に足を運んで買った。
コロナ禍とそれに巻き込まれる子供や女性への眼差しを真摯に、そして激烈に描いたエッセイだった。
エッセイはいくつか好きなものがある。
ここ最近だと『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』が特に好きだった。
エッセイと聞くとほのぼのとしてて日常をコミカルに綴ったものだと想像しがちだ。
『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』はまさにそれだ。阿佐ヶ谷姉妹の二人のゆるやかな日常がくすりとするような切り取り方で書かれている。
でも柚木麻子さんのエッセイは全然違う。
その当時の(当時といっても古くて2018年頃だけど)世の中の動きをエッセイ内にくっきり反映しているせいか、生活に即したシビアな内容が多い。
『幸せそうで、何が悪い』というタイトルがつけられた回の一部だ。
この回では当時起こった小田急線の無差別刺傷事件のことに触れている。
「幸せそうな女性を殺したかった」という理由で男性が女性を刺した事件だ。
柚木さんは女性が幸せそうに見えないことが求められるのが日本社会なのかもしれないと言及している。
その例としてバーでマスターに怒鳴られたり、年長の編集者に苦言を呈されたりしたことを記してくれている。
私にも経験がある。駅や道端でわざとぶつかられたこともあるし、一人でまわらない寿司を食べに行ったときに「若い娘が贅沢をして」と絡まれたことがある。
若い女だからなめられてるんだろうなと思ったけど「幸せそうな女性」であることで攻撃したいという欲求が刺激されるなら、私が理不尽な目にあったことにも理由がつく。
理由がついたからといって納得しないし許すわけがないしふざけるなよ、と思うのだけど。
何がしんどいってこの「幸せそうな女性」に対して悪感情を抱くのは何も男性だけではないということだ。
女性が女性に対して「幸せアピール」「マウント」という言葉を使って楽しそうな、幸せそうな女性を揶揄することもあるのだ。
それだけ「女性は幸せであること」を許さない、女性自身にまで呪いを染み込ませている社会なのだと暗澹たる気持ちになる。
『この日本で、女性が幸せになろうとすること、幸せであることはもはや社会へのカウンターなのだ。』
「とりあえずお湯わかせ」p197
柚木先生は上記のように書きながらも決してパワフルなことは私達に投げつけてこない。
無理して幸せそうな振る舞いをする必要はない、それよりも楽になれる道を見つけてほしい。
そのうえで気持ちや時間に余裕があれば、年長者��男性を怒らせたときの自分みたいに無防備な振る舞いをしてみてもいいんじゃないかなと提案をしてくれる。
この圧が強くない、必ずしも拳を握って立ち上がれ!感がないところが私はすごく好きだし、日常に、自分に寄り添ってくれるようで安心する。
日常の延長で「もうちょっとどうにかなんないの?」「さすがにおかしいでしょー!」のテンションというか。
ロイホのパフェをつつきながらドリンクバーのコーヒーを片手に一緒に駄弁ってくれているような気がする。
……いや、さすがに恐れ多いのだけど。そういう気がするってだけだよ!
いまの現状に怒りややるせなさはいくらでも湧いてくる。いちいち腹が立つし本当にいい加減にしてくれと叫びたくなる。
でもそれだって気力と体力がいる。
生活をしているとそれに絡め取られて、気持ちが沈んで好きなことが楽しめない。自分が自分じゃなくなってしまうときもある。
そういうときに「そうだよね、腹立つよね」と優しく受け止めてくれながらも、ひとまず明日をむかえてみるかという気を起こさせてくれる。
力強くて優しい、そして熱いエッセイ本だと思う。
読んだらどうしても白湯が飲みたくなった。最近おいしさがわかってきたのだ。
ひとまずこれを書き終わったら、お湯をわかそう。