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紙の本
子どもが出会う犯罪と暴力 防犯対策の幻想 (生活人新書)
著者 森田 ゆり (著)
著者が多年にわたり育ててきたCAP(子どもへの虐待防止)プログラムなどの実践から得た知見に基づき、マスメディアが煽る不安の錯誤を暴き、さらには子どもに安心と自信をもたらす...
子どもが出会う犯罪と暴力 防犯対策の幻想 (生活人新書)
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商品説明
著者が多年にわたり育ててきたCAP(子どもへの虐待防止)プログラムなどの実践から得た知見に基づき、マスメディアが煽る不安の錯誤を暴き、さらには子どもに安心と自信をもたらす実践策を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
森田 ゆり
- 略歴
- 〈森田ゆり〉米国と日本で子どもや女性への暴力防止の専門職養成に携わる。エンパワメント・センター主宰。虐待する親の回復支援「MY TREEペアレンツ・プログラム」開発。著書に「子どもと暴力」等。
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紙の本
「不審者狩り」では子どもを守れない
2006/09/22 13:01
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:問悶 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世論調査の結果では「治安の悪化を感じる人」が8割を超える。しかし,警察庁のデータでは,1960年前後をピークに凶悪犯罪はずっと減少傾向にあり,今は,戦後もっとも犯罪発生率の低い時期なのだ。戦後60年近くを概観できる長期的な統計資料では10〜13歳の凶悪犯は1960年の53人に対して,2001年は10人と減少している。10〜13歳の検挙件数も減少傾向であることから,子どもの非行は増加もしていなければ,低年齢化もしていない。また,子どもが路上で不審者に襲われ殺される事件は,きわめてわずか。その数が増加しているわけではない。実際には,13歳未満の子どもが犠牲になった殺人事件の加害者は,約70%が『家族』なのである。生徒が下校途中に不審者に襲われて殺されるより,親や身近な大人による虐待で殺される可能性の方がはるかに高いのだ。『不審者狩り』では子どもを守れないことを物語っている。
本書では,米国と日本で子どもや女性への暴力防止の専門職養成に長年携わっていた著者が,効果的な子どもの安心・安全対策を紹介している。マスメディアの報道の量・質・見出しの書き方などに依存して,治安悪化の現実認識を持ち,過剰に不安を募らせているのが現代の日本人である。親は,子どもたちを取り巻く環境を大きく変え,学校帰りの道草すら許されない状況となっている。子どもが出会う性犯罪や暴力は多岐にわたるため,予防策や事後の処置も様々であるのだが,著者の経験と知識が十分生かされ,幅広く対応している内容となっている。興味深いデータが,グラフや表で紹介されていることはインパクトがあり,読者の認識を変えるには効果が大きい。
子どもの不安を増大させることなく,学校を中心とした地域の適切な取り組みで,子どもたちに安心と自信をもたらし,「学校帰りの道草ぐらいは許せる社会」を築きたいという著者の思いが伝わる一冊といえる。