紙の本
番組は本書に出てこない引用や解説があるので、併用が最善手
2022/12/25 00:38
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
中井久夫氏の本はこれまで何冊か「読みかじり」してきたのだが、その臨床営為も含め、今回本冊と番組を通してその知的活動の全体像の一端をわかりやすく理解することができ、大いに感謝している一冊。特に、以下の数文が最後に印象に残っている。
「日本国民の中国、朝鮮(韓国)、アジア諸国に対する責任は、一人一人の責任が昭和天皇の責任と五十歩百歩である。」(107頁9
「われわれはアジアに対して「昭和天皇」である。問題は常にわれわれに帰る。」(同頁、傍点省略)
「人間が端的に求めるものは「平和」よりも「安全保障感 security feeling」である。・・・ 「安全保障感」希求は平和維持のほうを選ぶと思われるであろうか。そうとは限らない。まさに「安全の脅威」こそ戦争準備を強力に訴えるスローガンである。」(113~4頁)
今回の学びを機に、氏の著作を何冊かと、『心の傷を癒すということ』のDVDを新たに買い求めた評者です。
紙の本
もっと前に知っていたかった
2023/01/09 17:52
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投稿者:バベル - この投稿者のレビュー一覧を見る
中井久夫さんを知るきっかけとなったが、昨年亡くなられた後となった。もっと早くから知っていれば良かったが、知ることが出来て良かった。
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私たちは、心の病を抱えた人を自分の世界から切り離して他人事のように感じ傾向がある。
しかし、中井久夫さんは、心の病には誰でもなりうることを説き、自分事として捉えることを、平易な言葉で教えてくれる。
心の病に苦しむ人のための臨床手法の開発、該博な知識を総動員して安易な類型化を許さず実態を分析しようとする知的な誠実さ、理不尽を許さない正義の心。どれも私に足りないものだが、中井久夫さんの著作に親しむことで、私自身を変えていこうと思う。今まで中井久夫さんを知らなかった自分自身が恥ずかしい。
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Eテレの番組の方で
精神医学者 統合失調症臨床治療の第一人者
1,心のうぶげ 生ぶ毛 を守り育てる
統合失調症は治る病気
睡眠大事
メタ視点
自分が世界の中心であると同時に世界の一部である という認識
絵画手法
センサーと触手としての生ぶ毛 キュア治療よりケア看護を重視
2,分裂病と人類 病は能力である 分裂病=統合失調症
微分的認知 分裂病になりやすい人の資質 敏感なセンサーの持ち主 願望思考 S親和者
農耕社会 強迫性社会 執着気質
統合失調症 排除からケアへ
オープンダイアローグ
3, 治療文化論 多層的な文化が病を包む
病と文化との関係
普遍症候群
文化依存症候群
個人症候群 創造の病
4, 昭和を送る
昭和天皇を分析する 病跡学 精神医学の手法で天才や傑出人の創造過程を分析しようとする学問
戦争と平和ある観察
戦争は過程 平和は状態維持
安全保障感 安全の脅威という脅威
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懐かしかった。しばらく中井さんの新著を見ることはなかったが、かつては、S親和者の記述に、勝手に自分を居場所を見つけたような気がしていた。それは私だけではなかったと思う。
今年2022年8月にお亡くなりになったとの記事を読み、ついにこの日が来たかと思った。けれども喪主にご子息の名があって、中井さんの人生も決して楽なものでないように見えなかった身としては、少し驚きと安堵を覚えた。
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番組は見ましたが、テキストの方は買いそびれてしまい未読なので、番組の感想ですが…。この番組で初めて中井久夫氏の考えを知りました。
中井さんの、精神疾患を抱える人へのまなざしがやさしいこと。
精神疾患をもつ人の能力が重用された時代があったこと。
対話すること。
などなど、ストレスフルな今の時代にも もっと注目されていいとおもいます。著書を多数出版されているので、ちゃんと読みたいとおもいました。
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文化依存症候群を知って病気に対する考え方、価値観がガラッと変わった。
病気と見做すのは社会の方なんじゃないのか?と問いかける中井久夫。
治療文化論読んでみたい。精神病についてもっと考えを深めたいと切実に思った。
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今年亡くなった中井久夫が12月のテーマ。精神科医の斎藤環氏が解説。
精神分析を対象としているだけにあまり用語になれず頭に入って来にくい印象。統合失調症を中心に病を多様な影響関係のもとで読み解こうとする。文化的な文脈のなかにおいて丁寧に層の重なり合いを読み解こうとされたのが中井久夫だったのだと思う。ただ文化論はややこじつけ感もあるような気がして、取り組み姿勢は理解できるけれど、やや乗れないところ。
いずれにしても原著への導入としては良い解説になっていてかれこれ学生の時以来、中井久夫を読んでみようという気にさせてくれた。ただ斎藤環はもっとリーダブルに書ける方だと思うので、そこは残念。
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初めてテキストを買いました。テキストを読んでから再度視聴するととても分かりやすく、奥深さを味わえました。
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100de名著。初めてテキストを買いました。精神科医の第一人者、中井久夫さん。解説は斎藤環さん。お薦め。
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「中井久夫スペシャル」斎藤環著、NHK出版、2022.12.01
119p ¥600 C9495 (2023.01.04読了)(2022.11.28購入)
【目次】
【はじめに】義と歓待と箴言知のひと
第1回 「心の生ぶ毛」を守り育てる 『最終講義』
第2回 「病」は能力である 『分裂病と人類』
第3回 多層的な文化が「病」を包む 『治療文化論』
第4回 精神科医が読み解く「昭和」と「戦争」
「『昭和』を送る」「戦争と平和 ある観察」
☆関連図書(既読)
「復興の道なかばで」中井久夫著、みすず書房、2011.05.10
「心の傷を癒すということ」安克昌著、角川ソフィア文庫、2001.12.25
「ヒトはなぜ戦争をするのか?」アインシュタイン/フロイト著・浅見昇吾訳、花風社、2000.12.31
「社会的ひきこもり」斎藤環著、PHP新書、1998.12.04
「若者の心のSOS」斎藤環著、NHK人間講座、2003.08.01
「「日本人」とは何者か?」松岡正剛・赤坂真理・斎藤環・中沢新一著、NHK出版、2015.04.25
「「平和」について考えよう」斎藤環・水野和夫・田中優子・高橋源一郎著、NHK出版、2016.05.30
「わたしたちの手塚治虫」斎藤環・園子温・ブルボンヌ・釈徹宗著、NHK出版、2018.01.30
(アマゾンより)
私たちにとって「心の病」とは何か?
治療困難とされてきた統合失調症の実像の解明、阪神・淡路大震災における被災者の心のケアなど、常に人々の苦しみに寄り添い続けた精神科医・中井久夫。優れた文筆家でもあった彼は、一般の人にも響く瑞々しい言葉で記された論文をはじめ、精神科医としての観点で綴られたユニークなエッセイ、医学書にとどまらず詩作品でも高い評価を受けた翻訳など、実に多彩な著作を残している。その中から『最終講義』『分裂病と人類』『治療文化論』『「昭和」を送る』『戦争と平和 ある観察』の5つの著作を紐解いて、そこに込められた独創的な文化論や平和論から、人が社会生活を営む本当の意味について考える。
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年が明けて、はじめての読書はこちら。
以前、中井久夫の『いじめの政治学』を読んで、内容の豊潤さと自在に領域を横断する筆の軽やかさに圧倒されたけれど、それを可能にした彼の博識、深い思考力、繊細な感受性のことが、このテキストでよくわかった。
第3回「多層的な文化が『病』を包む」中の、特定の地域にしか存在しない病がある、という指摘がおもしろい。
「病」、「治療」という言葉自体に、その文化がもつ、人がどうあるべきかという価値観が自動的に内包されている可能性があるーー。
思ってもみなかったけれど、こういう視点を持てば、患者という存在に、違った角度から光があたりはじめるように思う。
「戦争という過程は、軍部が民衆を一方的に統率し、抑圧してつくられるのではなく、忍耐という共通の倫理観を持つ民衆が協力し合ってつくられるのです。」
と中井の戦争観を解説する、テキスト著者の斎藤環の言葉に、今年が新しい戦前にならないように、と切に願う。
私なりの平和維持のためにも、今年も少しずつ本を読んでいこう、と思ったお正月でした。
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過程と状態
わかりやすい言葉で書かれているという意味がわかった気がした。
いつか著書も読んでみたいと思う。
私は決して熱心ではないけれど
「戦争を知るものが引退するか夜を去った時に次の戦争が始まる例が少なくない」
「戦争と平和というが両者は決して対照的概念ではない。前者は進行していく「過程」であり平和はゆらぎを持つが「状態」である。」
「戦争反対の言論は達成感に乏しく次第にアピール力を失いがちである。平和は維持であるから唱え続けなくてはならない。すなわち持続的にエネルギーを注ぎ続けなければならない。しかも効果は目に見えないから、結果によって勇気づけられることはめったになく、あっても弱い。」
コロナ禍にも通ずる
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こんな番組をやっていたことに後から気づいて手にとった。知っている人が亡くなったことを、誰かと語り合わないと実感として腹に落とし込めないような心持ち
『最終講義』は読んでみようかと思う
しかし『分裂病と人類』にしろ『治療文化論』にしろ、こうして解説だけ読むとイロモノに見えてしまうのが面白いところ。ほんとうに中井久夫の言葉があってこそ、なのだろう
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中井久夫入門に最適。
統合失調症の「寛解期」を提唱するなどした研究成果と、患者に敬意を持って接する臨床のスタイルがよくわかった。
S親和者の話など、統合失調症のこともっと知りたい!という気持ちにさせられる。