紙の本
昔は好きだったんだよね
2017/05/08 22:40
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
エリスンの暴力的な短編、昔は(大学生の頃)大好きだった。「少年と犬」なんか最高だった。
この日本オリジナル短編集も、「チクタクマン」や「ランゲルハンス島」をはじめ、エリスンの魅力をいっぱいに詰め込んだ宝石箱みたいな本だ。
バイオレンスで、ナイフのエッジみたいに尖ってて、それでいてどこか優しい雰囲気も漂わせている。そんな短編ばかりだ。
個人的に好きなのは、「ジェフティは五つ」。
なんともノスタルジックな、優しい、愛らしい小説だと思う。言わば、ジャック・フィニィが書きそうな古き良き時代を懐かしむ。そんな作者の息抜きのような感じが快い。
エリスンを知らない世代には、「世界の中心」よりも、こちらの方がお薦めかも知れない。
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日本オリジナル編集の短編集。
ハードボイルド的というか、骨太なタイプの短編が並ぶのが印象的だった。ある種の攻撃性を持っている、とでも言うのだろうか。
こういう作風のSFはあまり読んだことがないので新鮮だったな〜。既刊『世界の中心で愛を叫んだけもの』も読んでみたい。
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ワン・アンド・オンリーな孤高のSF作家、ハーラン・エリスンの日本独自編集短編集。
日本人SF者として何が嬉しいかって、収録作全てが伊藤典夫氏の翻訳だということ。エリスンの作品は、全編これ暴力と狂気の世界です。猥雑で非情で容赦のないこの世界観を、悪趣味一歩手前のギリギリのラインで美しい言葉遣いでまとめる手練の技は、正に伊藤典夫氏の職人芸。
10編の短編が収められていますが、「これSFじゃないでしょ」な作品も結構あります。でも、何だろうなぁ、SFというジャンル分けするのがもったいないような独特の存在感。
ブラッドベリの妖艶さでもなく、ディレイニーのスタイリッシュさでもなく、正に「エリスン節」としか言いようの無い独特のグロテスクさと、並行して光り輝く問答無用の「カッコよさ」。何が言いたいのかよく判らない描写も、正直結構あります。でもそんなことどうでもいいんだよ、だってカッコいいじゃん!と大声で主張したくなる、唯一無二の香気。表題作の壮大にして壮絶な香り高さといったら、語弊を恐れずに言えば筒井康隆「幻想の未来」に通ずるものを感じました。
他に鴨が気に入ったのは、「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」「プリティ・マギー・マネーアイズ」「ジェフティは五つ」の3編。SFのネタとしてはどれも大して面白いネタじゃないんですけど、表現次第でここまで面白くなるんだなと思わせるカッコ良さです。
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『ランゲルハンス島沖を漂流中』に挟まれる
愛犬の感傷的エピソード、
『ジェフティは五つ 』が突き付ける圧倒的ノスタルジー
にもかかわらず絶対者による徹底的、無慈悲な暴力。
それに抗う人や飲み込まれる人。
甘く苦く切なく辛く、常識的で狂気もはらむ、
いろいろな感情・感性を刺激させられる短編集。
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昔読んだ時は「死の鳥」とか「声なき叫び」とか訳わからんけどかっけえ!と思ってたのが、素直に「ジェフティは5つ」みたいな話の方がピンとくると思えるようになったのはトシのせいなんだろうねえ。
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「悔い改めよ、ハーレクィン」とチクタクマンはいった、とか、おれには口がない、それでもおれは叫ぶ、とか、いやいやいや、邦題がww
読んでいる間じゅう不吉さが低周波のように感じられるところが大好きなマルケスっぽいんだけれど、あの乾いた感じがなくてずっとぐじゅぐじゅしててきもちわるい。でもページをめくる手が止まらん、そんな作品。
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短編集。正直、自分には難解な作品がそこそこあった。
作品ごとのテーマやふっと出てくるフレーズはかなりかっこいい。
内容はあまり理解できていないかもしれないが…
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SF。短編集。
エリスンは初めて読むけど、クセが強い!文章はカッコいいが、難しい。
表題作までしか読めなかったので評価なしのままで。
読んだ作品では「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」がベスト。最後の人類&AIの反逆。舞台設定からして怖すぎ。物凄いインパクトでした。”地獄に落ちたまえ” ”おお、そうだ、きみはその地獄にいるんだったな”
他、好きだった2作品。
「「悔い改めよ、ハーレクィン」とチクタクマンはいった」ディストピア。時間に支配された世界。世界観が秀逸。
「プリティ・マギー・マネーアイズ」ギャンブル。幻想ホラー。書体が様々。
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エリスンの短編集です。
読み応えのある作品が多数あります。
ハードな内容のものも良いですが、ジェフティは五つのようなエモーショナルな作品が好きですね。
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カッコいい小説てえのを知りきゃ、エリスンを読みな。
まず、タイトルがいい。「『悔い改めよ,ハーレクィン」とチクタクマンは言った」。時間を守れない奴っているわな。それがハーレクインであり、ハーラン・エリスンなのであるが、そいつのせいで超管理社会を管理するチクタクマンまで調子が狂ってしまう話。
「俺には口がない,それでも俺は叫ぶ」。遠未来、AIによって慰み者にされる人類。タイトル通りの話。
「北緯38度54分、 西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中」、これも実に凝ったタイトルだが、『SFマガジン』初出時に読んだときには、ランゲルハンス島がおなかのなかにあるなんてことも知らなかった。
「死の鳥」は『SFマガジン』初出時に読んでいたのに気づいたのは、アーブーの話を読んだとき。「死の鳥」は創世記の神が狂っていて、蛇が実は人類の味方だという話をおよそ25万年のスケールで描いたもの。しかも、「これはテストだ。そのつもりで。」で始まるテストの文章やらテクストは多重化している。その中にエリスン自身が愛犬アーブーを安楽死させる挿話がはいっているのだが、これだけ何だかものすごくよく覚えていた。安楽死を獣医にまかせようとすると、「知らない連中のところにおいていかないでくれ」とアーブーの目が語る。なぜ、GODの反対はDOGなのか。
そのほか。エリスンを読みな。
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「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」★★★★
「竜討つものにまぼろしを」★★
「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」★★★
「プリティ・マギー・マネーアイズ」★★★
「世界の縁にたつ都市をさまよう者」★★★
「死の鳥」★★★★
「鞭打たれた犬たちのうめき」★★★
「北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中」★★★★
「ジェフティは五つ」★★★★
「ソフト・モンキー」★★
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どの作品も面白いのはいうまでもない。ただしそれは面白いの種類は作品ごとに異なる。単純に笑える作品はないが、生きていることの意味、人間の正体、人類を取り巻く環境など、様々な観点で読者の心を揺さぶる。個人的に気に入った作品は、『「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった』『プリティ・マギー・マネーアイズ』『ジェフティは五つ 』『ソフト・モンキー』といったところ。
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『随』
たしかにカッコいい。
あくまでも感覚の世界。
なんというのかなー。
アンディーウォーホールのような感じもしなくもない。
ハーランの作品にはどこか、私を寄せ付けさせてくれない。
単純とおもったら、複雑も感じられる。
計算なのか、ちがうのか。
ジレンマだ。
読んだら途中で放り投げることを憚れる本なのだ。
もしかしたら後一ページ読んだら、ボヤけていた輪郭がハッキリするんじゃないか!
と読み進めては、裏切られたりw
でも、それがこの作家の魅力としかいいようがない技なのである。
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タイトルがパロディされまくった「世界の中心で愛を叫んだけもの」の作者であるハーラン・エリスンの短編集。
個人的には作品ごとに面白さのムラがありすぎて、かなり評価に困る。特に「ランゲルハンス島沖を漂流中」は難しすぎて自分にはサッパリだった。
「ジェフティは五つ」のようにほろ苦さが残る青春時代を思わせるSFは良い。
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『世界の中心で愛を叫んだけもの』で有名なハーラン・エリスンの短編集。
いくつか既読の作品が入っていたが、楽しめた。
とくにSFが好きでない人にもお薦めできる1冊。