電子書籍
テーマとしての
2019/08/22 12:33
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投稿者:物思耽次郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
百合をジャンルという括りではなく、テーマで描きだした作品集。関係性と一言で言ってしまえば簡単だけれど、その「関係性」という言葉に内包された様々な心模様を、SFを通じて描きだしている。SFというジャンルで百合というテーマを。二つの要素がとても良きバランスで成り立つ、素敵なアンソロジーだった。
紙の本
百合SF
2020/04/20 22:29
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投稿者:めいりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『アステリズムに花束を』読了。
世界初の"百合SFアンソロジー"という触れ込みの一冊。
SFマガジン百合特集号掲載作のなかでは"不在の百合"を探求する意欲作、宮澤伊織「キミノスケープ」が好きかな。
非収録作の中では"ソ連百合"として(僕の知らぬ間に)バズっていたという南木義隆「月と怪物」はイロモノどころではない完成度。
本格派言語学SFとしてはもちろん百合としても申し分ない陸秋槎「色のない緑」が白眉。
紙の本
百合に溺れていない短篇は良かった
2020/03/29 13:15
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハヤカワ発の百合SFアンソロジー。SFのしっかりした世界観にスパイスとして百合要素を入れてるくらいがバランス取れてて良いんじゃないかなと思った。その意味では、AIの機械翻訳と人の手による翻訳の違いをテーマにした近未来SF、陸秋槎「色のない緑」がとても良くできてた。幼馴染のモニカが何に絶望して、何故、液状記憶媒体を飲んで自殺したのか。主人公のラストの一言にクソデカ感情がこもっていて、ミステリ作家さんらしい落とし方。
紙の本
百合に親しんでいない人でも。
2019/06/25 22:00
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投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
「百合SF」という、聞いたこともないものが巻き起こったということで、とりあえずと手に取りました。聞いたことある作家さんは陸秋槎さんだけでしたし、どんな内容なのか予想が全くできなかったです。
百合もSFも読んだことがないため、不安はありました。特に、百合とはどんなものなのかと。。。
アンソロジーということもあり、いろんなジャンルの百合SFが詰まっていました。小難しいものから、ラノベっぽいもの、漫画までいろいろあり、楽しめました。内容も、本当に多種多様で。
百合が強すぎて見れないということは、無かったです。絆で結ばれている女の子たちや、様々な感情に揺れ動く女の子たちがが出てくるものが多く、「百合はちょっと」という心配はあまりありません。
むしろ、作品によっては、痛ましいシーンがある場合があり、そちらの方がキツかったです。
「彼岸花」「色のない緑」「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」が、個人的お気に入りです。
紙の本
アステリズムの意味
2021/12/08 07:05
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投稿者:マリコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
アステリズムって何なんだろう?正直、百合とあまり関係なかったのかもしれないけど。それでも読んで損はないかと。
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期待以上だった。これが商業デビューとなる南木を含む、若い作家陣を中心に編まれた編成で、最後に陸秋槎と小川一水を並べるのはわかりやすい構成ではあったが、よもやこの構成で小川先生が一番の豪速球を投げて〆るとは思ってもいなくて嬉しくて笑いまくりながら読了した。さすがです。
特に『海の双翼』、『色のない緑』の美しさに舌を巻く。『彼岸花』の、徐々に全貌が顕になるにつれて「そうくるのか」と驚きが深くなる感覚も良かったし、誰もが自由な発想で、それぞれの立場からSFとは、百合とは、というものを描いていた。これほど自由なSFアンソロジーもなかなかないのではないかと思う。
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世界初……らしい、百合SFアンソロジー。
特に誰が目当てでどうこうというのはなかったので、収録作もロクにチェックしていなかったのだが、櫻木みわの名前が載っていたのは嬉しかった。読んで気に入ったのは伴名連、宮澤伊織。
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レビューはこちらに書きました。
https://www.yoiyoru.org/entry/2019/07/07/015102
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ほとんど初読の作家さんばかりで面白く読んだ。
繰り返し読んだのは、南木義隆「月と怪物」。商業デビュー作だそう。分かりやすかったというのもあるが、史実のような淡々とした語り口の内側に穏やかに聞いてなどいられない残酷な展開があり、ほとんど見えない奥の奥にたった一つ灯った情熱がある。そのギャップ、切なさが良かった。
陸秋槎(訳・稲村文吾)「色のない緑」も面白かった。増え続けるブラックボックスの話にはハッとさせられるところがあったし、colorless greenについて語り合う部分もいい。
「現実に、そんな文脈なんて存在するの?」
「いまこのときがそうかもしれないし」「まだそのときは来ていないだけかもしれない」
小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」はイメージを次から次へと喚起させられて息つく暇もないという感じ。船に魚に、部屋に2人の女の子。キュートさとスピード感が爽快。
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『アステリズムに花束を』読了。
世界初の"百合SFアンソロジー"という触れ込みの一冊。
SFマガジン百合特集号掲載作のなかでは"不在の百合"を探求する意欲作、宮澤伊織「キミノスケープ」が好きかな。
非収録作の中では"ソ連百合"として(僕の知らぬ間に)バズっていたという南木義隆「月と怪物」はイロモノどころではない完成度。
本格派言語学SFとしてはもちろん百合としても申し分ない陸秋槎「色のない緑」が白眉。
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”百合とSFをテーマにした世界初の”とオビで謳っているのが謎なアンソロジー
登場人物が女の子だったり女性だったりするだけ
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表紙に踊るは百合SFアンソロジーなる文字。そして裏の内容紹介を読めば、目を惹くのは『ソ連百合』なるパワーワード。
「これはネタに走りすぎだろ…」などと読む前まで思ってました。スミマセン…、早川書房さんと担当編集さんと収録作家の皆さんetc. いやはや、これはすごい!
SFと一言で括ってはいるものの、収録作品の幅はかなり広い! 宇宙ものもあれば、言語SFあり、ファーストコンタクトもの、共感覚、人類消失、妖怪、意思情報のエネルギー化、霊界との交信、前世の記憶…。
結構ハード目のSFもあれば、ソフトなものに変化球、果てはマンガの作品まで、本当に多種多様。ある意味SFの見本市でもあります。
しかし、すごいのはそんなバラバラのSFたちがいずれも、誰かを想う気持ち、あるいは焦がれる気持ちを表現する上で、効果的に機能していること!
SFと百合、一見何の関係性も脈絡もないジャンルがこんな化学反応を起こすとは…。
企画された方が、これを狙ってやったかどうかは分かりませんが、とにもかくにも新しいジャンル、もしかすると文学の可能性を開いたアンソロジーかもしれません。
現実の科学技術が進歩しても、SFというジャンルはそれすらも取り込み、さらに幅を広げ続けているように思います。
そして百合というジャンルがSFとマッチした事実は、SFの幅の広さと懐の深さを、そしてSFというジャンルの可能性を改めて示したような、そんな気がします。
大げさに書きすぎたかもしれませんが(苦笑)でも、それだけのことを考えさせてくれた、斬新で新鮮、そして上質なアンソロジーでした。
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2019年6月に行われた「ハヤカワ文庫の百合SFフェア」、その肝となるのがこのアンソロジーだ。雑誌の重版は基本的にないと言われるなか、3刷となって話題になったSFマガジンの百合特集に掲載された5編に加え、新たな書下ろしが4編収録されている。
そのどれもが傑作なのだが、まずはまえがきを読んでほしい。編集部の”百合丸”こと溝口力丸氏は、まえがきの中で百合について「2019年現在では「女性同士の関係性を扱うもの」という幅広い共通認識」とひとまずの定義をしている。「2019年現在」という文言からも分かるように「百合」という創作ジャンルが何を示すかということは非常に曖昧で、個人的な感覚では「女性同士の恋愛」といった狭い範囲から、「女性同士の関係性」といった広い範囲をカバーするようになっていったように思う。
そんな状況の中「世界初」を謳うこのアンソロジーが、宮澤伊織『キミノスケープ』から始まることには大変意図的なものを感じた。なにせこの作品、登場人物が主人公ひとりしかいないのである。「女性同士の関係性」といっておきながら、関係性を結ぶ相手すらいるのかいないのか分からない作品を「百合」作品だといっていいのか。
「それでもいい」というメッセージを私は受け取った。そもそもひとつの作品が百合かどうかということは、読み手(もしくは書き手)の主観に委ねられることであって、百合か百合でないかを厳密に区分けするようなものではない。だから当然『キミノスケープ』は百合ではないという意見もあるだろうし、それが間違いということもないのだろう。このような作品をアンソロジーの冒頭に持ってくることで、百合というジャンルのそしてSFというジャンルの懐の深さを示しているように思った。
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24:よいアンソロジーでした。正直、「百合SF!」って大々的に宣伝しなくてもどんどん売れて欲しいし、それだけの力のある作品が揃ってると思う。こうして、いわゆる「パワーワード」を冠することで、新しい客層にリーチするならそれも商業的な戦略として正しいのかもしれないけど、若干モヤりはします。
後半、書き下ろし三作が凄かった。作風としていちばん好きなのは「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」やけど、正統派?百合の「海の双翼」の儚さと美しさ、「色のない緑」で描かれる言葉と感情、どれも方向性が違ってどれも読みたかった作風。
肉体関係が描かれる作品がほぼなく、ほとんど比喩に留まるのが好みでした。
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もっとガチガチの百合小説だと思ってた←
何処までがSFか、という議論は尽きることがないのだろうけれど、ひとつSFという縛りの中でこれだけ多様な短編を集められる、というだけでもう一読の価値はあると思います。なんとなく最近の若手(偉そう?(笑))の傾向も見られるような。
「月と怪物」(ソ連百合てw)、「色のない緑」(翻訳ものとはね)、「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」(これって実は正統派なんじゃない?)あたりがお気に入り、と云うとベタベタのベタなのかなぁ?
SFというとまだまだ宇宙戦争モノだとか、所謂スペースオペラ的なものを想像しがちで。そこに衒学的要素が加わって技術設定ゴリゴリ、学術考証ガツガツ、みたいになってくると好き嫌いが別れてくるんだろうと思うんだけども、
そういうのを楽しむのってきっと本質ではなくて。
いやまぁ、本質、なんて偉ぶって云うことはなくて、
小説の本質なんてのは読む側がその物語にどう触れるかでしかないわけだから。
それはその物語から何かを得るとか、成長するとかそういう教訓的なものじゃなくてね?
かと云って「泣けたー」とかそういう安直なものでもなくて。
例えるなら、と云うか例え話しか思い付かないだけなんだけど、
新しい友達が出来て、別にその友達と一緒に行ったからとかいうわけじゃないけど、これまでひとりじゃ入れなかった喫茶店に入れるようになるみたいな、そんな感じの。
えーっと?
技術設定ゴリゴリなのも、学術考証ガツガツなのも、それは布石のひとつでしかなくて。
理路整然と並んだ碁石のその中に、ひとであるからこそ現れるズレ、を。
たとえば理詰めであることに対する憂い?
あるいは技術に対する憂い?
それは自分自身が必要なくなるのではないか、という不安なのかもしれないけれど。
ひとの可能性なんて聞こえはいいけどそれって殆ど神頼みで(ひとの可能性なのにね)、
けれど不合理の持つパワーに憧れてしまうだとか。
そういうズレ、違和感? 計算の限界、というか。それを突き詰めて愛でる、という読み方もできるよなぁ、なんて。
随分前に思い付いた、「科学で証明できないことも在るっていうことを私が証明してみせる。科学で!」って決め台詞を
なんだやっと実感として得たのかしら。
☆は全部の平均が3.4くらいなので3です。アンソロジーの難しいところ…!
そういえば七夕に読み終わるなんてロマンチックですね。