紙の本
とぼけた味わい
2016/12/06 22:32
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投稿者:休暇旅行 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とぼけた味わいが良いです。うしろにいくほど面白みが薄れていく印象を受けたのが個人的にはやや残念ですが……ただまあ、それは作品に漂う空気感に慣れてしまったことによるのかな? 一度に一冊まるごと読むより、一篇ごとに時間をおいて読んだ方が楽しめるかもしれません。解説で伊坂さんもそういってた気がする。
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不思議な魅力がある短篇集。
一言で言うならば、「荒唐無稽」で「幻想怪奇」な物語が並んでいます。
著者は、「なぜ、そうなってしまったのか」というような経緯を語ることはなく、厳然とその(物語の)状況だけを提示します。
あまりに断定的で、あまりにシュール。
多分、好き嫌いが分かれる作品なのではないかと思いますが、私は結構好きです。
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解説が井坂さんだったので購入しました(・・・不純?)
全編通して、不思議な印象の話ばかりでした。
私の読解力が足りないのでしょうか、意味の分らない話も多かったです。
考えるな、感じるんだ!ってところなのでしょうか。
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短編集・・というか、一編一編が短いですね。ショートショート集、といった感じでしょうか。
そしてどれも幻想的な世界や異形の生物や不可思議な世界の連続です。
「愛妻小説」ということで「妻」をテーマにして・・ということらしいですが、読んだ後でそれをきいて「そうだったのか・・そういえば・・」くらいにしか思いませんでした。それよりもその不思議な世界観の方にもっぱら目を奪われていたもので。。。
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ある街が泥に沈み、わたしと妻と僅かに逃げ延びた人々は飢えと渇きに数を減らしながら救助を待っていた。
二十日目の朝、渇いた泥を破り現れた亡者は人々に林檎を与え、妻は代償に歯を差し出した。
聖書のような表題作「ぬかるんでから」を始めとする13作の短編集。
浦島太郎の物語から何を学び取れば良かったのだろう。
この13作にもこれと同じ違和感を覚えるが、やはり同じように深く浸透していってしまう。
道に描かれた子どもの落書きが何かも解からずに、いつのまにか風景として馴染んでいくように、奇妙で幻想的で残酷であるはずの出来事はどれも日常に溶け込んでいる。
この世界では因果応報という概念が存在しない。
安住の地へと運ぶ舟の代償に首を奪われる妻がいて、かばの下で潰されるのを待つ男がいて、父の遺品を燃やす男がいて、夏に出会った兵隊を埋められてしまう少年がいる。
“世界は不可解で、危険に満ちている”
生まれもって罪を抱える者はいないが、罪を抱えぬ者もまたいない。
奇跡的なバランスで回り続ける世界の、奇跡的なバランスで書かれた現代版お伽噺。
この世界にはヒーローもヒロインもいない。
佐藤哲也 その他の著書
・イラハイ
・沢蟹まけると意志の力
・妻の帝国
などなど。
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洪水に苦しむ人々を救うために妻が亡者と交わす取引を描く表題作、どこかコーマック・マッカーシーを思わせるファンタジー?SF?ホラー?
ジャンルを限定しない不思議な味わいの短編集。
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正直内容はさっぱりわからないのだけど不思議な魅力があってとても面白い。この作家の方の頭の中はいったいどうなっているのやら、と。絶対に着地地点を予想できない楽しさったらない。
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独特な世界観の物語ばかり13編。
よくわからないけど、なんだか面白くて目が離せない。感じ。
見たこともない、聞いたこともない
想像すらできない光景がひろがってる。
確かに奇想天外。
めちゃくちゃシュール。
佐藤哲也さんの「熱帯」は
正直、訳がわからなさすぎて読了できなかったのですが
これはすごく好き。
使われている言葉が硬いというか、難しいというか…
ショートショートといえど、サラサラ読めるような本ではないかな。
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SF無理でした。
世にも奇妙な物語的な?
なんつーか、こーなってしまうと何でもありな気がしてしまいます。
亡者が出てきたり、巨大ムカデが出てきたり、鼻がちんこになったり、ちんこが取れたり、、、何やら唐突すぎて、もう受け止めきれません。
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SFとして確実におもしろいと思った。佐藤氏になぜ今まで出会わなかったのか、と悔やまれる。短編集なのだが、一つ一つが珠玉の名作だ。ぬかるんでから――どろどろと。
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いくつかの作品に立ち現れる「妻」。その符牒が「現実感」を付与するものの、それに付き従う「夫」が徹底的に隷属しているため、妻が超越的・宗教的(?)な権能を有している。そしてその超越性は、身体性を欠き人称のみが浮遊するシュールレアリスティックな世界像 (ジョルジョ・デ・キリコ的な?)を現出させる。乾いたユーモアもあり、また政治的でもある。もしかするとすごいかも。要再読。
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ぬかるんでから / 初出 『日本SFの大逆襲!』 徳間書店 (1994.11)
春の訪れ / 初出 S-Fマガジン 1996年9月号
とかげまいり / 初出 小説すばる 1994年12月号
記念樹 / 初出 小説すばる 1996年9月号
無聊の猿 / 初出 小説すばる 1995年8月号
やもりのかば / 初出 小説すばる 1994年8月号
巨人 / 初出 小説すばる 1995年7月号
墓地中の道 / 初出 小説すばる 1995年11月号
きりぎりす / 初出 小説すばる 1995年2月号
おしとんぼ / 初出 小説すばる 1994年7月号
祖父帰る / 初出 小説すばる 1995年4月号
つぼ / 初出 小説すばる 1995年12月号
夏の軍隊 / 未発表
解説 (伊坂幸太郎)
『ぬかるんでから』 2001.5 文藝春秋刊 文庫化
装画 大友克洋
装丁 鶴丈二
印刷 大日本印刷
製本 加藤製本
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何かの比喩かなぁ?とか色々考えながら読んでたから疲れた。 表題作の『ぬかるんでから』はダークな童話みたいで好き。『夏の軍隊』は何と無く微笑ましくて好き。『やもりのかば』はオバQとかを想像した。 多くの作品の所々で『ごっつええ感じ』とか『VISUALBUM』のコントを思い出した。誰でも笑える方やなくて、キャシィ塚本みたいなイタイ方のコント。『巨人』『墓地中の道』は比較的ベタで、『祖父帰る』『おしとんぼ』はイタイ方のコント。 表紙が大友克洋で、解説が伊坂幸太郎。
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【本の内容】
「これは奇跡に関する物語だ。」―洪水に苦しむ人々を救うため、愛する妻が“亡者”と交わした取引とは?
鮮烈な余韻を残す表題作ほか、謎の圧死をとげた伯父の家での不思議な邂逅を描く「やもりのかば」、裏の空き地で少年が体験する不条理「夏の軍隊」など、美しく奇想天外な13の物語。
[ 目次 ]
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「これは奇跡に関する物語だ」
これは書き出しの一文ですが、非常にインパクトがありました。
「奇跡」と言う言葉を真正面から書いてしまう潔さに驚きました。
「奇跡」とはなんだ?と考えてしまいます。
自然の法則を超えて起きる現象は、それを信じる人にとっては希望でもあります。
表題作の「ぬかるんでから」では、主人公とその妻たちの住む土地一帯が突如ぬかるみに変わります。
食物を作ることもできず、飲み水もない。
飢えに苦しみ争いは絶えず、「持つもの」と「持たざるもの」は共存派と私有派にわかれます。
そこへ、亡者が現れ望みをかなえてくれるという。
「食べ物が欲しいのであれば、お前の美しい歯を」よこせと要求されれば与え、妻は人々に代わり取引を交わします。
共存を支持した人々は、二人のやり取りを見守ります。
「持たざるもの」たちの要求はエスカレートし、妻の美しい片目や指も亡者に献上される。
ついに彼らは妻を踏み台に「持てるもの」へと立場を変え、旅立っていく。
不条理の世界独特の徒労感がここにはあります。
「奇跡」という言葉に含まれる明るい希望のようなものが、煮詰まって鈍く光っている。
読んだあとに不意に襲ってくるじわじわとした恐怖と苦い後味にハマってしまいました。
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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短篇集。個人的には後半の作品により迫力を感じた。前半を読んで「作為的すぎるかも」と感じた人も、ぜひ最後まで読み通してもらいたい作品集。 解説は伊坂幸太郎。曰く、佐藤哲也は「小説ならではの喜び」を感じさせるという。そう、確かに比喩としか感じられないものを現実なのだとして押し通す、ラテンアメリカ文学風の迫力が佐藤哲也にはある。 なお解説に「この短編集を一気に読み通すようなことはしないほうがいいかもしれない」と述べる。確かに濃密すぎるこの世界は、じっくりと、本気で味わうべきものであるようにも思う。