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紙の本
横浜1963 (文春文庫)
著者 伊東潤 (著)
東京五輪直前の横浜で発生した連続殺人事件。ハーフの日本人警察官・沢田に捜査協力する日系三世の米軍SP・ショーン坂口。やがて明らかになる驚愕の真実とは…。社会派ミステリー。...
横浜1963 (文春文庫)
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商品説明
東京五輪直前の横浜で発生した連続殺人事件。ハーフの日本人警察官・沢田に捜査協力する日系三世の米軍SP・ショーン坂口。やがて明らかになる驚愕の真実とは…。社会派ミステリー。〔「オフリミッツ」(実業之日本社文庫 2023年刊)に改題〕【「TRC MARC」の商品解説】
横浜生まれ、横浜育ちの著者初の社会派ミステリー。
東京オリンピックの開催を翌年に控え、活気に満ちていた横浜。そんな時、横浜港で若い女性の死体が発見される。死体にはネイビーナイフの刺し傷、爪の間には金髪が残っていた。立ちはだかる米軍の壁に事件は暗礁に乗り上げたが、神奈川県警外事課の若い警察官・ソニー沢田は単身、米海軍捜査局に乗り込んだ。日系三世の米軍SP・ショーン阪口は、ソニーの熱意に応え捜査協力を決意する。事件の真相に迫ろうともがく二人の前に、戦争の大きな負の遺産が立ちはだかる。
解説 誉田龍一 カバー写真 三浦憲治
〈著者からのメッセージ〉
私は1960年に横浜で生まれました。実は現在も同じ場所に住んでいます。生まれ故郷が好きかと問われれば、何とも答えようがないのですが、とくに引っ越しの必要性もなかったので、流れに任せて住んでいる感じです。ところが55歳という年齢になり、さすがに昔の横浜が懐かしくなってきました。平成に入ってからの横浜は大きな変貌を遂げ、昔の風景が、どんどんなくなってきたこともあります。数年前、いつか当時の横浜を舞台にした小説を書いてみたいと思い始めました。1960年代前半の雑然とした横浜の空気を再現したかったのです。それだけ、当時の横浜は不思議な魅力に満ちていました。
その提案を受け入れてくれた版元により、このほど初のミステリーとして本作を上梓することができました。これまで歴史小説しか書いてこなかった私としては、新たな挑戦になりましたが、書き始めてみるとスムースに筆が走ったのには驚きました。やはり、よくも悪くも横浜への思いがたまっていたのでしょうね。とくに今回は、視覚、聴覚、嗅覚、感覚に関する表現を駆使して、1963年の横浜を再現することに力を入れました。「文字の力はバーチャル・リアリティに勝る」ということを唱えてきた私としては、読者に1963年の横浜に行ってもらうことを心掛けました。それゆえ行間には、当時の雰囲気が息づいているはずです。過去の横浜を知っている読者も、知らない読者も、それぞれの横浜を脳内に再現できると思います。また私は、この作品の中に多くのメッセージを込めました。現在、世界は中国やロシアといった覇権主義国家の台頭によって混迷を深め、これまで以上に日本は、同じ民主主義を国是とする米国と密接な関係を保っていかねばならない時代になりました。だが戦後、日米はどのような関係にあったのか、詳しく知る人がどれだけいるのでしょう。とくに駐留軍と共存してきた日本の庶民が、彼らに対して、どのような感情を抱いていたかについて書かれたものは極めてまれです。そうした巷間に生きた人々の息遣いを再現し、そこから、これからの日米関係はどうあべきかを、読者個々に考えてもらいたいというのも、本書を書く動機になりました。時代は移り変わっていきます。それだけは止めようがありません。ただ過去を知る者が、少しでもその痕跡を残そうと努力することで、当時の人々も現在を生きるわれわれと変わらず、懸命に生きていたことを伝【商品解説】
東京五輪開催を翌年に控え活気に満ちた横浜で若い女性の刺殺体が発見。日米ハーフの警察官と日系三世の米軍SPが事件の真相に迫る。【本の内容】
目次
- プロローグ
- AREA-1 Off Limits 立ち入り禁止
- AREA-2 Outsiders よそ者たち
- AREA-3 Dirty Blood 汚れた血
- あとがき
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主人公の設定と戦後横浜の描写が◎
2019/10/26 22:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後、東京五輪前年の横浜を舞台にふたりの主人公が女性連続殺人事件に挑むミステリーだが、まず主人公の設定が良い。
日本人女性とアメリカ兵のハーフとして生まれた日本人の警察官、日系2世の子供として生まれたアメリカ海軍のSP、生まれた環境でマイノリティとして育ったふたりが主人公という設定が良く、ふたりの取っていく行動に説得力が感じられる。
また、戦後の占領を経て独立したとはいえ、米軍兵士の犯罪に二の足を踏む警察、日本人を見下すアメリカ人たち、そして登場人物たちが生きる横浜の街並み、といった描写も真に迫り、その時代を生きているような心地にさせられた。
沖縄のことを思うと、太平洋戦争から間もない時代は現代でも続いていると気づかされる。
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歴史社会派ミステリーとでも名付けるべき秀作。
2019/09/26 09:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史社会派ミステリーとでも名付けるべき秀作。未だに「日米地位協定」として存続するアメリカ合衆国軍法の優先権のもとで、米軍軍人によるとみられる連続殺人事件を軸に、自国にも他国にも異質なものと見られるアウトサイダーとしての混血児と移民の微妙な立場を絡めた社会派作品。その点、ミステリーとしては実にシンプルだが、最後に驚くべきどんでん返しが用意されており十分に楽しめる。しかし、私にとってはやはりアメリカ人にしか見えない混血児の神奈川県警外事課刑事:ソニー沢田と、日本人にしか見えない日系3世アメリカ軍軍人:ショーン坂口との組み合わせ、二人の生い立ちにひかれました。