アイ・アムまきもと （徳間文庫）

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読み終わってしばらく経って気付く。自分の中の「まきもとのタネ」が大きくなっていることに。
人の話は聞かない、空気は読めない、人の気持ちは察しない、そして要領は悪い。そんな市役所の「おみおくり係」まきもとがみおくる「誰かの人生」。
出てくる人それぞれの言い分はとてもとてもとてもよぉぉくわかる。長年音信不通だった「家族」や「親戚」が亡くなったから葬儀に出席しろとかお骨を引き取れとか言われても、あぁ、困るよね。
そんな誰にもみおくられることのない人たちのお葬式を自腹で行いお骨も預かっているまきもと。
なぜ？なんのために？とハテナが飛び交う。
当然「みおくり係」は役所内では邪魔扱い。係も廃止されるという。そんななかでのまきもと最後のお仕事のお話。
「損すること」「無駄なこと」を避け「少しでも楽に」「少しでも得に」を選ぶ。それが当たり前。
そんな毎日の中で出会ったまきもとの損と無駄だらけの仕事に、どうしてこんなに心が揺れるのだろう。
まきもとが撒いたタネはきっと育っていく。彼に出会い、彼と話し、彼に語ったたくさんの人たちの中で、いつかきっとタネから芽が出て花が咲く。そしてまたタネが生まれる。
まきもとに出会えてよかった。私の中でもタネが育ち始めている。

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映画を観たその晩に購入。
脚本を膨らませて小説にしたのかな。
これはこれで面白かったが
映画はあの余白の多さで良かったように思う。
カバーが映画版と通常版の2枚になってるのがまた面白い。
[購読·10月6日読了]

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　本書は、第70回ヴェネツィア国際映画祭で監督賞他を受賞した、ウベルト・パゾリーニ監督・脚本の『おみおくりの作法(Still Life)』(2013)をベースに、倉持裕さん脚本の映画『アイ・アム　まきもと』(2022)を、黒野伸一さんが書き下ろした小説版です。

　主人公の牧本壮は48歳、市役所福祉課おみおくり係職員。飲み込みが遅く、ピントがずれているのですが、仕事に対する態度は真面目で手抜きをしません。最大の武器は「共感力」なのでした。
　不器用だけど、優しさと決してめげない牧本の行動が、やがて身を結び…、でも最後はとても切ないです。詳細は是非ご一読あれ！
　200p程度で読みやすく、通勤・通学途中、隙間時間等にピッタリです。個人的に、今秋公開された映画を観ていないのですが、主演・阿部サダヲさんの、滑稽でどこか哀愁の漂う様子が目に浮かぶようです。

　本小説・映画の元になった『おみおくりの作法(Still Life)』も恥ずかしながら観ておらず、機会を見つけ是非視聴したいと思いました。それにしても、この邦題はいただけませんなあ…。
　あと、なぜか本作を読みながら、黒澤明監督の名作映画『生きる』を思い浮かべていました。こちらも観直してみようかな。

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短くてサクッと
曲がった表現がなく
マキモトのように真っ直ぐな書き下ろし本
最後にマキモトが死んでしまうとは思わなかった

大前提に阿部サダヲを想像しながら読んだからか、
所々、阿部サダヲならこういう顔して芝居してるのかなと想像しながら読めてファンとしてはそういう意味でも楽しかった

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主人公の牧本は、周りと協力して何かを成し遂げるわけではないが、自分の大切にしていることに従って生きることによって周りの心を動かした稀有な人物として描かれる。自分の大切にしていること以外に、ついては何を言われても暖簾に腕押しだが、大切にしていることを否定されると断固として拒否し行動することで結果を出すという、とても極端な人物ではあるが素直にすごいなと感じた。最後は死を迎えるがもう少し報われても良かったのではないかと感じる。