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紙の本
恋の蛍 山崎富栄と太宰治 (光文社文庫)
著者 松本 侑子 (著)
【新田次郎文学賞(第29回)】昭和23年、入水した太宰治と山崎富栄はどのように出会い、恋に落ちていったのか。2人の生涯、太平洋戦争、恋と創作の日々、残された家族の思いを徹...
恋の蛍 山崎富栄と太宰治 (光文社文庫)
恋の蛍~山崎富栄と太宰治~
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商品説明
【新田次郎文学賞(第29回)】昭和23年、入水した太宰治と山崎富栄はどのように出会い、恋に落ちていったのか。2人の生涯、太平洋戦争、恋と創作の日々、残された家族の思いを徹底した取材で描き、いまだ謎に包まれるスキャンダルの真相に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
父の姿があまりに悲しい
2021/07/20 15:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この評伝小説の執筆動機について、作者である松本侑子さんが「文庫本あとがき」に「太宰治と山崎富栄の生涯、二人の恋と心中について、山崎家と富栄の視点から考えてみたい、という思い」と書いている。
私が2009年に書かれ、その後2012年に文庫化されたこの本を読もうと思ったのは、晩年の太宰のそばでその生活を見ていた編集者野原一夫さんが書いた『回想 太宰治』に、二人の遺体が玉川上水で見つかったあと、多くの支持者によって土手から引きあがられた太宰に対し、その場に据え置かれた富栄の遺体に傘を差し伸べる父親の姿を描いた場面が出てくる。
娘を、しかも戦争によってわずか12日ばかりで結婚したばかりの夫と引き裂かれた娘をこんな無惨な姿で迎えなければならなかった父親は、どんなにつらかっただろう。
心中した相手が新進の流行作家とはいえ、かつて何度も自殺や心中事件を起こした男で、妻や子があるにも関わらず、富栄以外にも子をなした愛人がいたそんな男を責めることもできずに、頭を下がるしかなかった父親。
松本侑子さんは「単行本あとがき」で「本書は、富栄の小説ではあるが、書き終えた今、本当の主人公は、明治の東京に生まれ育ち、日本の美容教育の近代化、自らの立身出世をめざして孤軍奮闘しながらも、軍国主義と戦争にまきこまれ、一切を失った父晴弘だったかもしれない」と書いている。
山崎富栄が亡くなったのは満28歳の時。
もし戦争がなかったら、富栄の人生も、父晴弘のそれも大きくちがっていただろう。
それは多くの日本人の悲劇だったともいえる。