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相変わらずハイペースで新作を出し続けている馳星周の新作「蒼き山嶺」は、珍しく山岳小説。夢枕獏とは違って、そもそものサスペンス小説を「山岳」というパッケージに入れた作品で、一気に読ませる熱量のある作品。個人的にはこのくらいのバランスが読みやすい。
元長野県警山岳遭難救助隊員で山岳ガイドの主人公が、山中で大学時代の山岳部の仲間に出会う。公安刑事であるはずなのに、なぜ山中にいるのか。
ストーリーラインはシンプルで読みやすい。ラストの好き嫌いは分かれそうだが、個人的には割と好き。
たぶん3年後くらいには映画になっている作品。
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警察から追われ、刺客に命を狙われながら、それでも男たちは進む。荒れ狂う風、吹き付ける雪、体力は枯渇し、白い斜面が先を阻む。白馬岳を越え、栂海新道を抜けて日本海まで――。過酷極まる逃避行の行く末は!? 山岳ミステリーの新たな傑作!!
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山、警察(公安)、北朝鮮という組み合わせ。
山岳小説としては楽しめるが、朝鮮半島と強引なストーリー仕立てには面白い反面、ちょっと現実味がない。
読んだ時点で折しも韓国と北朝鮮の首脳会談の話が...
北に育てられた諜報員が日本の大学の山岳部に入って、というシナリオがちょっと強引。
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内容(「BOOK」データベースより)
元山岳遭難救助隊員の得丸志郎は、残雪期の白馬岳で公安刑事・池谷博史と再会した。二人は大学時代、山岳部で苦楽をともにした同期だった。急遽、白馬岳山頂までのガイドを頼まれた得丸が麓に電話を入れると、警察に追われた公安刑事が東京から逃げてきている、という話を聞かされる。厳しい検問が敷かれ、逃げるには山を越えるしかないと言われたその時、池谷が拳銃の銃口を押しつけてきた―。
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意外にも著者初読み。
山岳小説ということで読んでみた。
元山岳救助隊だった主人公が、交番勤務に異動になったことで警察を退職し、白馬岳で山岳ガイドをしているところに、大学時代の山岳部の仲間で警視庁の池谷が20年以上ぶりに現れる。
誰かに追われているらしい池谷は、山岳ガイドとなっていた得丸に同行を求める。
公安から追われた人間が冬山に逃亡すると言う話はよくあるパターン。しかし、大学時代の回想シーンが多く、特別スリリングな展開になる訳でもなく、結局何が伝えたかったのか、ちょっと理解できなかった。
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かつての登山仲間は北朝鮮のスパイだった…。山をあきらめ、しかし離れられない主人公得丸が出会ったのは山に逃げ込み逃亡するかつての仲間。懸命に逃避行を手助けする続ける得丸だったが…。自然や友情は気高いがそこまで彼らを動かすのは何?
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元山岳救助隊の主人公と、その友人の公安刑事。何者かに追われる羽目になった友人を助け、雪山を行軍する冒険サスペンス。雪山の物語なので当然寒くて仕方がないはずなのに、なぜかやたらと熱い読み心地でした。
……でも冷静に考えれば。主人公の行動は愚行としか思えないんだよねえ(苦笑)。いくらなんでも、その状況でわざわざ敵を助けることはないでしょ! と何度も突っ込みました。まあそういうのが男気溢れる、ってことなんだろうけど……その馬鹿さもまた微笑ましいのかも。
私も正直、なぜそこまで苦しい思いをして山になんて登るんだろう、この人たちマゾだとしか思えん、と思っていましたが。山の美しさと魅力はたっぷり感じられました(でも私は読むだけで充分だ)。そして山に登る者たちの間の固い絆もまた美しくって。熱い読み心地ながら、読後感はしんみりさせられます。
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馳星周が山岳小説を書けるなんて知らなかった。ぼくが日々馳星周と低速度のモデムを繋いだPCを介して酒を呑みながら夜毎にチャットを繰り返していた日々から30年近くが経とうとしている。当時の馳星周(坂東齢人)は大学を出て間もない25才、作家を夢見るフリーライターだった。酒とパンク頭とピアスがその世代を強調しているかに見えた。山登りにうつつを抜かして頃のぼくから見れば、彼が山岳小説を書くなんて絶対に想像しようがなかった。
白馬岳から栂海新道を辿って日本海へ。馳はこの道を実際に辿ったのだろうか。こんなに長い年月を経れば人は変わるものだ。人生のどこかで山に関心が向いたとしても何ら不思議はない。誰か親しい人の影響もあるかもしれない。それとも山になど関心がなくても、自分の小説のバリエーションとして想像力と下調べだけでこうした山岳冒険小説にトライしようとしたのかもしれない。
白馬岳から栂海新道を辿って日本海へ。ぼくはこのルートを夏に辿ったことがある。学生時代。大学の内と外と二つの山岳会に属し、なお足りなかった山への渇望をどうなだめて良いのか困り果てていた頃のことだ。正確に言えば劔岳から日本海へ、11日間の縦走だった。途中台風で下山し、猿倉から白馬へ登り直しも有りなので完全縦走はかなわなかったものの、親知らず海岸に着いたときの歓びは今でも忘れ難いくらいの貴重な瞬間だった。
本小説の舞台となる白馬から栂海新道はそのおよそ最後の一部三日間くらいの行程部分だ。しかし積雪期。登場人物は元山岳救助隊員と彼の山岳部時代の同僚、そして偶然行を共にすることになる若い女性。大半の登場人物はこの三人だけ。
しかしそこに国際的な陰謀の要素が加わって山岳小説は国際冒険小説の様相を呈する。いいねえ、今どき冒険小説を読めるなんてそれだけでも幸せだ。山に話を持ってゆくためのプロットは少し強引に過ぎるとは思うが、その辺りは敢えて寛容となりたい。何せ、ここのところすっかり鳴りを潜めていた和製冒険小説というテーマに真向取り組んでくれたのが、あの馳星周なのだから、これ以上の祝杯材料はないのである。
個人的に知っている作家が、個人的に辿ったことのある、希少(マイナー)な登山ルート栂海新道を舞台に、大好きな冒険小説を書いてくれたということ以上に、奇遇かつハッピーなことはないのである。しかも山を愛する主人公を活写してくれた。山や大自然の偉大さが、どんな地上の雑駁な人間模様をも凌駕し、人間を厳しく優しく包み込んでくれるという主題を明らかに示してくれたのである。
何作も書けないテーマだとは思うけれど、より高度な山岳小説を目指して誰も書けない作品にチャレンジして欲しいものです。
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馳星周さんの本は何冊も読んだが山岳小説は初めて。
山岳小説の中にもミステリーっぽい部分を含ませているので読み応えは十分。
大学の部活で苦しい思いを共にした同期の友情は、卒業後何年経っても変わらない。
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長野県警山岳救助隊を退職し、現在は山岳ガイドの得丸は、大学時代の登山部の仲間池谷と白馬岳で20年ぶりに再会する。池谷は警視庁公安部に所属していたはずだが、その公安部が池谷を追っているとの情報を得る。池谷は得丸に拳銃を向け、日本海までのガイドを依頼するが・・・
過酷な冬山の状況などは、臨場感あふれる描写で伝わってくる。しかし、池谷の北朝鮮の工作員としての行動などに重きをおいていないように感じ、少々残念。
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このタイミングで北朝鮮の背乗り工作員を1人の男として主人公にした事は賛否両論あるかもしれないが、今作に限っては否という感情はあまり起こらなかった。もちろん許されることではないが、工作員も家族を人質に取られているのでやはり国家構造が狂っているのだろう。内容としては序盤は穏やかな展開だったが正体がバレてから一気に悲壮感全開で、もう一人の主人公がそこまでして登り続けることに対して理解できなかったが、山屋なら共感できるのかなとは思えた。そして『神奈備』『神の涙』でも感じたが作者は自然物を描くのが極めて上手くチープさを匂わせないのが素晴らしいと思う。
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不夜城のイメージが強すぎるので、こんな山岳小説が書けるとはおもいませんでした。最近読んでいる小説と同じく3人が会う状況があまりに希薄すぎるけど楽しんで読めました。
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大学時代の山岳部の同期三人。一人は警視庁公安、もう一人は長野県警だったが山に関わり続けたいために退職、天才的な山屋は遭難した。公安の池谷は逃亡中、元長野県警の得丸に会い、日本海までガイドをお願いする。池谷はなぜ逃げるのか。三人の絆とともに描かれる。山に対する思いが熱い。ミステリー調で途中から山知らずの私でも難なく読み進めることが出来、最後は山に登らないと見れないような景色が語られ、それは羨ましく思う(いやもう決して力が余っている若者ではないし、かなりの努力と熱望がなければ無理であろうさ)。山に入る前の現状などもう少し深いものがあればより良しかなあ。
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「登山仲間の絆の強さと青春の眩しさ」
山岳小説家になりつつある(苦笑)馳星周の最新刊。山の世界に北朝鮮や公安といった設定を上手く混ぜ込んで、しっかりと馳ワールドが確立されている。但し、いつまでもその設定ばかりという訳にはいかないだろうから、今後の展開に更なる期待をしたいところ。過去と現在の調和も見事にラストに収束されていた。
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登山なんてまったくしないから、用具名はさっぱり分からないし、その形状もさっぱり分からないから、そういう意味では「なにこれ?」が多かった。でも登山するからこそ見える景色は文章だけでも想像できたけど。
学生時代、文化部より運動部仲間の方が卒業後何年経っても強い絆が残っていそうな気がする。読後最初に思ったのが、馳星周ってロマンティストなんだなって。内容はロマンティックでもなんでもないけど。でも、ロマンスの部分は要らないと思う。