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「世界遺産」の真実 過剰な期待、大いなる誤解 (祥伝社新書)
著者 佐滝 剛弘 (著)
石見銀山が世界遺産に「登録」されて、平泉が「落選」した理由は? 「世界遺産」と「そうではない遺産」を分けへだてるものは? 知られざる現実を明らかにしつつ、「世界遺産とは何...
「世界遺産」の真実 過剰な期待、大いなる誤解 (祥伝社新書)
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商品説明
石見銀山が世界遺産に「登録」されて、平泉が「落選」した理由は? 「世界遺産」と「そうではない遺産」を分けへだてるものは? 知られざる現実を明らかにしつつ、「世界遺産とは何か」をわかりやすく解説する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
佐滝 剛弘
- 略歴
- 〈佐滝剛弘〉1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部(人文地理専攻)卒業。NHK番組制作ディレクター。「世界遺産検定」で世界遺産マイスターを取得。著書に「旅する前の「世界遺産」」など。
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世界遺産登録とは、ミシュランの☆のようなもの。ハズレはないだろうが、「なんで選定(登録)されていないのか」と首を傾げる物件もある
2010/01/26 20:08
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:7ひきのこぶた - この投稿者のレビュー一覧を見る
「世界遺産」とは、どのようなものだろう。「世界遺産」とは、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて、世界遺産リストに登録された遺跡や景観そして自然など、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値(Outstanding universal value)」を持つ不動産を指す-そう、いわれると何やら権威あるものという気がする。事実、私も本書を読むまでは、そのように感じていた。ところが、必ずしもそうではないようだ。誰しもが知っている名所が“遺産”に指定されていない。わかりやすいところでは「ナイアガラの滝」がそうだという。ちなみに、“世界三大滝”の残りの二つ(イグアスの滝、ヴィクトリアの滝)は、世界遺産である。
そもそも、それを決める手順はどうなっているのか。私が個人的に「○○を世界遺産に指定しろ」と訴えても、ユネスコに門前払いをされるのは自明。「世界遺産条約」を批准した国単位でしか登録申請はできない。「まず、それぞれの国が、自国で世界遺産に登録したい物件をリストアップし、ユネスコに報告する。」これが暫定リストである。その中から、各国は登録してもらいたい物件を2件を限度に選んで、正式な推薦書を提出する。推薦を受けたユネスコは、世界遺産委員会に諮る。それらの物件の価値や保護状況について、事前に世界遺産委員会とは別の専門機関が現地調査を行い、ふさわしいかどうかの勧告をする。そして、勧告をベースに委員会は決定する。したがって、ほとんどの場合、世界遺産委員会の各委員は、事前に候補地を見ていない。あたかも、オリンピックの開催地の決定の際の、五輪委員と同様である。
暫定リストは、“報告”なのだから、各国の考えで載せられるといえるが、推薦書を提出するのは周到な準備が必要だ。評価は四段階である。「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」である。世界遺産委員会は年に一度だから、「情報照会」なら、期日までに追加書類の提出ができれば、翌年に改めて審査してもらえるが、「登録延期」必要な書類の再提出を行った上で、諮問機関の再調査を受ける必要があるため、世界遺産委員会での再審査は、早くとも翌々年以降になる。そして、「不登録」と決議された物件は原則として再度推薦する事ができない。日本が推薦した物件は、これまで、必ず「登録」されてきたのが、2008年に「平泉-浄土思想を基調とする文化的景観」が、初めて「登録延期」とされた。正直に言って、私の記憶にはないが、“平泉ショック”と、ニュースにもなったらしい。その前の年に登録された「石見銀山」との比較で、「金(中尊寺金色堂)が銀(銀山)に負けた」とも騒がれたようだ。
2007年に文化庁が各自治体に募集して、「暫定リスト」に載せられることになった物件数は、36である。我が国で、世界遺産委員会に推薦するのは毎年1物件に限られているので、これらが順調に「認定」を受けられて「登録」の運びになったとしても、終わるのは36年後だし、「登録延期」や、新規のリスト掲載物件もあるだろう。それなら、登録に血道を上げる前に、遺産を遺産として残す、国内の“環境”整備が、大事だと思う。