紙の本
ドキドキする小説は久しぶり
2022/03/24 02:06
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投稿者:unknown - この投稿者のレビュー一覧を見る
三部作の完結作ですが、過去イチどころか、数ある五十嵐さんの著作中No.1の出来と言っても過言ではないと思います。
ご本人が仰る通り、名作映画のオマージュである過去二作は明らかにフィクションな展開がありましたが、今作はリアリティーが凄いです。(火災・爆発のタイミング等は目を瞑って)
勿論、プロの消防士から見ると齟齬もあるのでしょうが、素人の自分には全く感じ取れませんでした。
もう、後半ページは本当にドキドキの連続で、自分でも気付かない内に1分ほど呼吸を止めている時すらありました。
「絶対に自分は火災に遭わない」という一般人の妄信、「人の命を救うこと」が仕事の消防士、学べることが数多くありました。
素晴らしい一冊を読ませていただけたことに、心より感謝いたします。
残念ながら神谷夏美が主人公の作品としては完結になりますが、含みを残すエンディングや後書きのコメントからも「ひょっとしたら」の期待だけは持ち続けようと思います。
紙の本
神谷消防士シリーズ最終作
2022/10/27 22:17
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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
SNSで集まった者たちによって引き起こされる新宿地下街での大規模テロ火災。消火活動と犯人確保の二面で物語が進行する流れ。一作目と関係する部分もあるけど個人的には炎の塔のほうがお気に入りです。
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満員電車並みに混んでいる電車とは満員電車ではないのか。初動で一気に犯人像に迫る推理を披露する警部補。最高指揮官の無意味な前線での撤退なき消化活動と殉死。4人しか爆薬セットに行かない理由ってあったっけ?予備タンク運んで来れなかった?最初から8人で行ったらよかったのに。ステレオタイプのキャラクターと展開の為の展開。イブに社会を支えている人たちって消防以外にも大勢いるから…
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消防士・神谷夏美シリーズ完結作。
超高層ビル、豪華客船と困難な火災現場を描いてきた今シリーズの舞台は新宿地下街。
クリスマスイブの日の夜、巨大な新宿地下街で同時多発的に火災が起きる。
ガソリンの入ったペットボトル、届いた荷物からの発火の他、ガソリンを被った自殺まで火災の原因は様々。
新宿の地下街でクリスマスイブを過ごす予定だった夏美だったが、出がけに出火に一報が入り、ギンイチで待機することに。しかし、待ち合わせ相手の同僚で先輩の雅代、恋人の有本、超高層ビル火災で知り合った秋江はすでに新宿の地下街にいた…
地下街火災の恐ろしさ、また今回重点的に取材したと思われるマグネシウム火災の威力の恐ろしさが、読んでいても、ジワジワ伝わる。
本気で人々の命の為に闘う消防士の物語に、胸を打たれる。
ネタバレになってしまうから、これ以上は書けないけど。
あとがきにあったが、この作品自体はだいぶ前に書き終わっていたらしい。それにあと2作書くことも考えたようだが、この世の中、あらゆる悪意がほんのちょっとのスイッチで大きな悪意に変わるようになってしまった。それを踏まえて、今作で完結になるとのこと。
夏美の勇敢な姿がこれで読み納めになってしまうのは悲しいが、この作品のような惨事が確かに今の世の中、確実にフィクションになるとは思えないので、納得。
近年災害だけでも、消防士さんの仕事は大変だと思うと、このような大規模なテロが起きないことを、心から願うばかり。
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消防士シリーズ3部作。ベタな展開だが涙目を堪えながら先を読んだ。創作された小説とはわかっていても感情が揺さぶられる。
消防士の方たちの職業倫理の高さを結晶化させたような話だ、と思っていたら気がついたことがある。そういえば警官や教師の汚職や犯罪の話は多いが、消防士のスキャンダルはあまり記憶にない。副業の不動産投資が咎められたみたいな話は聞いたことあるが。他者の命を救う訓練を行い体を鍛えて、しかし社会の黒子に徹している人たちだ。
それしても、この3部作は良かった。五十嵐さんには、コロナ後の世界を舞台にした第4部もいずれ書いてもらいたい。
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女性消防士・神谷夏美シリーズ三部作の最終作。これで終わりなのが本当に残念に感じるほど面白い。新宿の地下街で大規模な火災。それに立ち向かう消防士たち。ただ人を救いたいという思いだけで炎の中に飛び込んでいくその姿に圧倒される。消防士たちが地下街に入ったとこからずっとクライマックスのような緊張感があって一気読み。シリーズ三部作はどの作品も面白く未読の方は是非一作目の『炎の塔』、二作目『波濤の城』と順番に読んでいただきたい。
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シリーズ三作目の最終章。
息をも付かせぬハラハラドキドキの内容にページを繰る手が止まらない。
リアルな表現に煙の息苦しさが伝わり、口元を押さえながらの読書。
辛い殉職場面は涙無くしては読めない。
これが大火災場面での現実か。
この作品をもって終わりとなるのは勿体無い。
是非何時の日か再び、と祈らずにはいられない。
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ロス。
神谷夏美シリーズロス。
これで完結は淋しい。
今回もスゴイね。「消火には、なんだかんだいっても、やはり水が一番」と言いながら、まさかの放水禁止。スプリンクラーも停止。
じゃ、どーやって消すのよ。
名作『炎の塔』で満喫したスリルを再び味わえます。さらに今作は失火ではなく放火。その犯人を追う刑事達の奮闘も加わって極上のパニック作品と言えます。
Xmasイブの夜、人でごった返す新宿の、しかも地下街で、水はダメの大火災。
うーん、たまらん。
でも、この終わり方……
なんとなく、続く終わり方じゃない?
五十嵐先生、ぜひシリーズ継続を!
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「炎の塔」は超高層ビル、「波濤の城」は豪華客船、そして今回は地下街……って、一番地味じゃない? 前の二作に比べたら、簡単に逃げられそうだし。などと思った私は完全に無知でした。実は一番最悪にして最凶のシチュエーションでしたよこれは。しかも地下街って超高層ビルや豪華客船に比べると行く可能性が高く馴染みがあるだけに、恐怖もひとしお。
その絶体絶命の状況の中、果敢に炎に挑む消防士たち。特に「ギンイチ」の面々がひたすらに熱いです。彼らの仕事にかける使命感とプライド、そして勘違いしてはいけないのが、決して彼らは積極的に自らの命を犠牲にするわけではないということ。彼らだって人間なのだから怖いものは怖いし、死にたくないのも当然。それでも勇気を奮い起こして任務に当たるさまはもうかっこいいとしか。彼らを思いやる人たちからするとたしかに「馬鹿」以外のなにものでもないのですけどねえ。読んでいるほうも彼らに親しみを覚えてきたので、「もういいから! 逃げて!」と何度も思ってしまいました。
今回はとてつもなく恐ろしい犯罪であるところも読みどころ。ただし何が恐ろしいかっていうと、主犯の明確な意志よりもむしろ実行犯たちの希薄な罪の意識でした。おそらく何人かは鬱屈した思いから、軽い気持ちでやってしまったんじゃないのかなあ、っていうところがとんでもなく怖いです。あと、野次馬たちも怖い。この辺は現実にもよくあることだし、本当に。
今作も多くの犠牲が払われ、だけど絶望ばかりでもないのかな。シリーズはこれでいったん完結のようですが、彼ら消防士たちの闘いは終わることがないのでしょうね。
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02月-18。3.5点。
消防士神谷夏美、完結編。
新宿の地下街で連続放火。「マグネシウム火災」の恐れが。
プライベートで柳消防女史が居合わせる。
犯人の目的は。。。
相変わらずのスピード感、臨場感。あっという間に読めた。
犯人の動機に比べて、スケールが大きすぎる気がした。
でも面白い。
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新宿地下街で、SNSで知り合った30人がガソリンをかぶって死ぬ形で放火をあちこちで繰り返す。火だるまとなる地下街。火災ものでいい場所を見つけたものだ。その描写の細かさに舌を巻く。臨場感いっぱいである。
特にポイントはマグネシウム火災で、これは水を使えない。
『それかぜパソコン、スマートフォン、ゲーム機に使われている。一つ一つは少ないがパソコン5000台、スマートフォン、ゲーム機それぞれ1万台あるとなると話は別だ。マグネシウム金属は常温では固体だが、融点を超えると溶解する。この状態で水を浴びると、熱水となった水と溶解したマグネシウムが化学反応を起こし、激しい爆発を繰り返すことで、延焼規模が一気に拡がる。水量が多ければ多いほど、延焼時間も長くなる。
以前80キロのマグネシウムのために約1300平方メートルの工場が全焼したことがあるが、新宿地下街全体では約1トンになる。ヘタすると新宿駅そのものが消失する規模だ。』
消火剤を撒けばいいのだが、その100倍の量がいるということで、間に合わない。砂は有効だが、水分を含んでいる可能性があってこれも駄目。そこで思いついたのが塩。マグネシウムが大量に存在する倉庫の上の階に大量の塩を置いて、床を爆破して塩の雨を降らそうという計画だ。よくまぁそんなことを思いついたものだ。それだけでエライのだが、その描写も細かい。
消防士は使命感に燃える者ばかりで、自分の命を犠牲にして消化にあたる。実際数人の死亡者が出る。このあたり自己犠牲精神に溢れた過剰にかっこいい描写がドラマの基調となっている。
『仲間を救うのは義務ではありません。権利です。』
『バディを見捨てた者に、消防士を名乗る資格はない。』
ちょっとクサイのだが、それだけドラマ部分をしっかり作っていればそれが似合う。
自己責任を回避するためなかなか出動を要請しない消防庁など悪役もステレオタイプになっているが、これもこれだけ激しい状況だと似合っている。
よく書けているのだが、これは映像で見たくなりますね。最近の映像はCG技術があがって、これだけのシーンを映像化できることだろう。むしろ映像に対して挑戦しているような話でもある。ディテイルの臨場感はあることながら、映像で見たいよなという思いがずっとあった。
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新宿駅の地下街で同時多発放火⁈今までの二作は既視感あったが、今回はあまりに身近な場所で、ありうると思えるだけに怖くてどんどん引き込まれた。「炎より人の心が怖い」という消防士のつぶやき…コロナ禍で不満、不安が高まっているだけにより深刻に響く。ただ推理が消防士の妻にたどり着くのは無理がある。
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神谷夏美シリーズ、と謳ってるが。
神谷夏美、いらんやん。主人公に魅力がないシリーズってのは致命的じゃないの。いなくていい。
三部作で、一番ひどい。
タワーリングインフェルノでなくポセイドンアドベンチャーでなく、初めてのオリジナルと言っていいのだが、まあ、アイデアは認めるが、雑。
雑。雑。
しかも信念の全否定。
誰も救われない展開。
筆力があるし、読み易くて飲み込まれるのだが、我に帰ると、ため息。
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神谷夏美シリーズ最終作。今回も手に汗握る怒濤の展開にひきこまれ涙が出てくるのも構わずに最後まで目が離せなかった。大都市である新宿でこんなことが起きたらどうなってしまうのだろうと不安にかられながら、そんなことはあり得ないことと自分に言い聞かせることしきり。コロナ禍で世の中の混乱が起きている現在において絶対ないこととは言いきれないような気もしていた。
犯人の気持ちもわかるけれど死んじゃっておしまいだったのは許せなかった。もっと足掻いて後悔してほしかったなぁ。仕事に誇りをもって死んでいった村田さんや柳さんが悲しすぎる。ギリギリでのアクシデントがこれでもかと起きてくるところがさすが五十嵐さんの文章だと圧巻。
これで終わってしまうのは残念すぎる。続編をどうしても読みたいと思うのはあたしだけなのだろうか。
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相変わらずの面白さ。
体裁が重要な無能な役人と上役、そして馬鹿なモブキャラ(野次馬)とパニック状態で逃げ惑う人々…で物語はより一層面白くなって行く。かなりイラっとしますが…(笑)
場面の切り替わりが良く(分刻み)、緊迫感が増して行く。
そして消防官がとにかくカッコイイ!
神谷夏美3部作として是非映像化してほしい作品だと思いました。
この作品の読み始めた場所が偶然にも新宿の某ピザ屋でした。まさか現場が自分の足下だとは…(汗)
勿論現場も見てきました。緊急事態宣言中なので店はほぼ閉まって居て人もまばらという事で、火災のイメージが変にリアルでした。
また1作目から読みたくなりました。