紙の本
乱暴な少年と心優しい少年の秘密
2020/12/01 18:48
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京から田舎へ引っ越したみのりは父を喪った寂しさと、環境変化への不安を抱きながら小さな小学校に転入します。そこで出会った乱暴者の隼人と心優しい怜の二人の少年との数年間が描かれています。
性格が真逆の二人の少年がなぜ親友なのか、子供たちが怖がる「向日葵男」の噂、夏祭り「向日葵流し」準備で起こった事件など、小学校時代に起きた様々な事が数年後ある事件がきっかけに繋がっていきます。
怪談話の要素、犯人が分からないミステリー要素、少年少女の淡い恋心、そして家族といつまでも仲良く暮らしたいと思う家族愛要素など、物語はいろいろな顔を見せ引き込まれ退屈しない。
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「夏の王国で目覚めない 」を読んでからすっかり彩坂美月さんファンになってしまったのですが、本作も青春ミステリーということでしたが、とても素敵な物語でした。
田舎暮らしの風景がとても瑞々しく描かれているだけでなく、登場人物それぞれがとても活き活きしており、季節の移り変わり、時間の流れが成長物語としてとても魅力的でした。
一方で向日葵男の正体は?というミステリー(ホラー)要素も微妙なバランスで絡んでおり、読んでいて次は何が起きるんだろうというドキドキもありました。
そして彩坂美月さんの作品らしさを感じるとても爽やかで気持ちの良い終わり方もとても良かったです。
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一気読み。ミステリーの怖さ(向日葵が一気に不気味なイメージに)で読むのをやめれなかったのに、徐々に少年少女の丁寧な心の動きや伏線の回収っぷりに夢中になってしまいました。心が締め付けられました。面白かったです。
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王様のブランチで紹介されていたので購入しました。
内容紹介から察するに青春小説に軽めのミステリーが加えられた作品なのかと思ったのですが、意外とバイオレンスで残酷な描写があったため、驚きました。明るい部分と暗めの部分の落差がありすぎた印象でした。
父親がくも膜下出血により他界し、母の生まれ育った山形に移ることになった主人公・みのり。
そこでは、ある噂が広まっている。向日葵男という子供を殺す怪物がいるという。そうしている間に向日葵が切られたり、襲われたりとミステリーなことが起き、しまいには・・・。果たして、向日葵男の正体とは?
物語としては、主人公の小学6年と中学の約4年間が語られています。明るい部分では、田舎での人との交流や恋を匂わせるような描写が描かれていて、青春っぽさが描かれています。
一方、暗い部分では、暴力シーンや残虐シーンなどバイオレンスで残酷な内容に仕上がっていて、あまりの落差にびっくりしました。
田舎ならではの結束力が故に起きた悲劇の連鎖。事件の真相が切なく意外で衝撃的でした。伏線も散りばめられていて、正直期待していなかった分、よく出来上がった作品でした。
基本的には、みのりの物語ですが、他に登場する怜や隼人の物語としても解釈できました。中学生としては重すぎる出来事が次々と迫るのですが、その状況下での3人の絆が良くも悪くも固くなっていくのが垣間見られます。
切なく痛々しかったです。
前半は、ちょっと退屈かなと思いましたが、段々と衝撃的展開になっていくので、グイグイと惹きこまれました。
最後の章では、みのりが大人になった物語です。前の章まで、あの人がどうなったのかわからないまま終わったので、気になっていました。最後は直接的な表現ではなく、匂わせる表現でしたので、それがかえって感動を誘わせてくれました。色んな意味で衝撃を受けた作品でした。
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勝手にホラーサスペンスかと思って読み始めたのだけど、違った。
得体のしれないぞわっとする怖さが途中で別の怖さに変っていく。田舎の町のほとんど人の出入りのない暮らしの中で起こりうる怖さ。いかにもありそう。あるかもいやきっとあるね、と。
父親を亡くしたため母親のふるさとで暮らすことになった小学5年生みのり。
同じように転校生だった怜と、ずっと土地で暮らしてきた隼人とみのりの関係が、どんどん変化していく。その変化の意味。隼人のイメージの変化にやられる。変化しすぎ、いや、でも、まぁ、なるほど、ひっかかったよ。
排他的で同族的な田舎の人々と、「外から来た人」「一度外に出て戻ってきた人」たちの距離。
殺人鬼向日葵男のうわさを背景にみのりの成長を共に見守る気分。
最初のぞわっとした怖さからのラスト、気持ちいい。
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ほぼ一気読み。向日葵男の都市伝説がメインかと思いきや、少年少女の成長物語だった。男子2人と女子1人の関係性がとても良いから、恋愛に発展する前の小学生までで終わってほしいとも思ったが、中学以降も変に浮わつかず良い流れだった。それにしてもこの手の男子2人には割って入れない眩しさがあるな。
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メインが少年少女だし、「青春ミステリー」という謳い文句の割に序盤から不穏な空気で、結果、最後までだいぶ不穏だった。
しかしそこに思春期特有の空気がまざり、何とも言えない甘酸っぱい雰囲気に。
作中、何年もたってるところも良かった。
おもしろかった。
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山形県の風習や郷土に絡ませたミステリーでもあり、青春ものでもあり。「全てが伏線」とはこういうことか。
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彩坂美月さんは初読みだが、非常に面白かった(過去の作品も読んでみたい)。山形の山あいの集落に越してきた、少女みのりが「向日葵男」によって向日葵が切り落とされる事件に遭遇、その後も次々に不穏な事件が発生する。事前情報だとミステリーっぽかったが、ミステリーの要素もありつつ少女少年の青春小説としても読める内容となっている。序盤からかなり緻密に伏線張ってあって最後に一気に回収されるのは気持ちいい。自然の表現とか田舎の閉鎖空間的の描写も読み応えがあり、昔のドラマの「白線流し」を思い出した(世界観は似ている)。
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すごくよかったです。星6つをつけたかったくらいです。
この作品の著者の彩坂さんの作品は『夏の王国で目覚めない』に続き2作目ですが、同じ作者の作品とは思えないほど、こちらの完成度が高いと思いました。
父親の死によって、12歳の高橋みのりという少女が東京から山形県の山辺町に近い桜沢の祖母の家に母親とともにやってきて過ごした4年間の物語です。
以下、少しネタバレありますのでご注意ください。
小学校は小さな分校で、みのりは乱暴者の西野隼人、いつも隼人と一緒にいる大人しくて優しい藤崎怜らと同級生になります。
そこでみのりは級友らや、親同士仲のいい怜とまず、親しくなります。
乱暴すぎる隼人には最初は悪印象を抱きます。
みのりは隼人に持っていた不信感を怜に尋ねますが、怜は「隼人はそんなに悪い奴じゃない」というばかりです。
みのりは、その土地で子どもを殺す怪物と言われる向日葵男に襲われますが、危機一髪で難を逃れます。
みのりは佐古という教師に父の不在から気を許し車で連れ去られそうになりますが、隼人が気づき助けてくれ、隼人は車にひき逃げされ負傷します。
そしてみのりたち六年生は、今井先生と別れを惜しみながらみな一緒に卒業し、山野辺の中学校へ進学します。
そこでまた、みのりの周りで様々な大きな事件が次々に起こります。
隼人、怜、みのりのキャラクターが際立ちだんだんと隼人、怜の人間性がわかってきます。
隼人はちょっとかっこよすぎで、怜もまた優しい男の子で、なんでみのりばかりそんなにモテるのって感じがあります。
でも、大変、密度の濃い大きな痛みをともなう真の青春恋愛小説であり、ミステリーでもあり、家族の小説でもあったと思います。
みのりの級友、一人一人や周りの大人たちの人物像も、いつもあたたかいお父さんみたいな小学校の今井先生、怜のお母さんで体の弱いけれどもとても明るい春美、ぶっきらぼうな美術教師恭子など、よくできていてとても個性的で上手いと思いました。
最終章では、分校の級友たちが賑やかに再会します。
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01月-14。4.0点。
父親が急死し、母の田舎に引っ越した中学生の主人公。友達と触れあいながら成長していくが、祭りのために用意した向日葵が全て折られたり、不穏な出来事が。
青春物語。哀しい真実だったが、最後は救いがあった。
引き込まれるように読んだ。面白い。
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父親が突然亡くなり、山形の山あいの集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。みのりと共に物語の中核を担う2人の少年、藤崎怜と西野隼人。
あざやかに季節がめぐる、少年少女の歳月と不穏な事件の行方。烈しくも切ない成長物語。
情景・心情共に、細部まで丁寧に色を重ねた絵画みたいな小説だった。何気ない会話の端々に張り巡らされた伏線もさることながら、異なる立場の対比・陰影の描き方が見事。
東京と山形。
怜と隼人。怜とみのり。みのりと隼人。
大人と子供。
父を亡くした娘と、父を殺したい息子。
「一番つらいのは、朝なの」と「朝、来い」。
『桜沢の人間』と『よそ者』…。
四季折々の木々や花々の描写は圧倒的に美しいのに…、集落の行事や食事の場面は心和むのに…、行間から常に漂ってくるじっとりとした不穏の正体が、地元の人々に根ざした「よそ者」への差別意識だと知った時、やるせなくなった。
とは言え、そんな不穏さを塗り潰す程の鮮やかさと力強さがこの小説には在る。中盤からどんどん魅力を増して乙女ゴコロを刺激する隼人を筆頭に、今井先生や美術の恭子先生のように、さりげなく少年少女を「生」へと導いてくれる大人が、物語を色付ける。
個人的には小百合のキャラも凄く好き。
閉ざされているのに、眩しい。
引力のある小説だった。
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ミステリーというカテゴリーにされてるけどその辺りは薄め。設定は定石(1人の女のコに2人の男のコ、都会から分校など)ながら、風景や心理描写が巧みで一気に読める。
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父親が突然亡くなり、山形の山あいの集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。
あざやかに季節がめぐる彼女の4年間と不穏な事件の行方を、繊細な筆致で描き出す―気鋭が全身全霊を込めた、烈しくも切ない成長物語。
(アマゾンより引用)
今井先生、めっちゃいい人!!
私だったら隼人くんに惚れてるなぁ(笑)
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途中読んでいてつらい描写がありました、、が、人物描写と丁寧な伏線回収、ぞくりとするミステリーに引き込まれました。