電子書籍
不思議
2020/04/01 10:27
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直最初に読んだ時には意味がわかりにくくて、世界観に入っていけませんでしたが読み進めると、わかってきてハマっていきました。
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酉島伝法の最新作。
短編もインパクトがありすぎたが、長編も凄かった。それにしてもこれ、酉島伝法版・クトゥルー神話ではないのか……?
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ああ…。酉島伝法の『宿借りの星』、読み終えてしまった。蘇倶たちの生き生きと、グロテスクなほどに生き生きとした蘇倶の世界の物語が終わってしまったのだ…。鮮烈すぎる世界の窓が閉じてしまい、本当に恐ろしいほどの虚無感だ。2019年ベストSFはもう『宿借りの星』しかないのではないか。
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漢字の組み合わせでイメージを持たせた造語を駆使し、異様な世界をディープに書き上げた『皆勤の徒』の衝撃から5年半、待望の初長編が本書。世界観を形作る独特な造語は健在だが、存外に読みやすい、、!そして、異形の登場蘇倶物へ感情移入してしまった挙句、時々自分が卑徒であることを忘れてしまう始末。。異世界を描いた作品は多々あれど、自分の腕の数が何本だったかふと考えてしまう作品が未だ嘗てあっただろうか。
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「皆勤の徒」は積んだままで、これが一の酉なのだけど、これに星5つは付けられないなぁ…
星5つの大森さんのツィッターでネタ元が次郎長三国志だというのは知っていたので、なるほどこいつは鬼吉か、と納得はしました。
で、綱五郎は、法印は、伊藤政五郎は、って誰も出てこねぇぢゃねぇか、って、そういう話ではないですわな(苦笑)
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夥しい造語に埋め尽くされている。最初の1ページで10以上の造語が登場する。しかしその造語がほどけていく感覚、綴りから読み取れる物語が何よりも楽しい。造語のひとつひとつが小さな小説と言ってもいいかもしれない。
この着想、この世界の生態系が読者の頭の中に浸透していく。菌が漂い、種が蒔かれ、卵が産み付けられていく。自立する環境が頭の中にしっかりと根を張って豊かさを湛えていく。このわたしの頭の中に広がった世界の豊穣さは説明することはできないので、あなたも読んで、視て、聴いて、嗅いでみるとよい。
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物凄い読書体験だった、という意味で星5。ストーリー自体はそこまで非凡な感じではないが、ディストピアを描く為の造語の嵐で、圧倒的な世界観だった。
マナーゾ死亡シーンは切なかった。昏睡から目覚めて「あー、死ぬかと思った」が最期の言葉になった知り合いを思い出した。
揚げ蟲とか肉舞美味しそう。卑徒と蘇倶の生存戦争だけど、お互い滅びなくて良かったなぁと頭の悪い感想。
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いや、面白かった。内容というより、面白い体験だった。
完璧に練り上げられた独創的な世界観は、冒頭から読者の理解を待たずに最高速度で展開し、例えるなら、知らない土地に降り立った自分の手を、知らない誰かがグイと掴んで、グングンと引っ張っていかれるような感覚。
それでも暫くすると、そのスピードに慣れ、周りの景色に目を配る余裕が生まれた時、自分の歩いている世界の鮮やかさにふと気づくような、特殊な読書体験だった。
あらすじで興味を持ち、骨太なSFを求めている方は是非。
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物理法則や、生殖やエネルギー代謝のルールが異なる異世界SFは、現代の地球とかけ離れるほどに、日本語で描写されている時点でなんかおかしいな?となってくるし、そもそも理解するのが難しいから読むのが大変で、でもその分堪能できると良い旅をした気持ちになる。
本作はそういったジャンルの本の中でも、王道の行きて帰りし物語構造で、主人公節足動物系の割に読みやすくてよかった~と思ったら、その読みやすさにも理由があるところにニヤリとさせられる。宇宙進出したヒトはウイルスかロイコクロディウム的なものに自分を改変したということですね。
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初めて著者の作品を手に取る。最初の数ページは、「なんだこれ、プロローグだけだよね、こんな意味不明なもの読み続けられないよ。」と思った。
が、知らないうちに抵抗がなくなり、挿絵を見て、「あぁこいつが〇〇か。」などと納得しながら読み進められた。
ディテールまでよく考えられているし、何よりもメインキャラ2人のやり取りも愛嬌があり面白く、久しぶりにひきこまれていった。(マゾーナ、食べられなくてほんとよかった。。)
ただ、物語の終盤になると、いったい誰がどっちの立場で何をしているのか、だんだん理解が追い付かなくなり、少しおいてかれてしまったのが残念。
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冒頭から、「来た来たこれぞ酉島伝法ワールド」と、否が応にも期待は高まる。
熟語の漢字を同じ音を持つものに置き換え、この世界観を構築する礎を積み重ねていく手練手管には脱帽する。
しかもそれが、「どこまで続くねんこれ!」と呆れるぐらい延々と繰り出されるわけで。
途中、酉島氏自らの手による挿絵がいくつも挟まれ、異形たちの”正しい”姿を見ることができるというのもいい。
作中世界に没入して耽溺するという点においては超一級なのだが、肝心のプロットは雑というか読者の想像を超えるブッ飛びに欠け、実に惜しい。
例えば同じSFでいうなら、「星を継ぐもの」のような、あたかもすべてが設計されたポジションに嵌まっていくような様式美はなく、伏線の回収やオチのつけ方等は甘い。
いつか「これだ!」と激賞するような、あるいはぐうの音も出ないような、完璧に仕立てられた酉島氏の長編を読みたいものだ、と切に思う。
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不思議な読書体験だ。物語の主人公は人間ではない。それどころか地球の生物ですらない。当然、生態はもちろん、思考体系も言葉も我々とは異なるはずである。数ページをめくって、ユクスキュルの環世界を連想した。とはいえ、頭の中はクエスチョンマークが点滅しっぱなし。
そこで、普段はしないが、気分を変えて、解説から読んでみた。すると円城塔さんが、ファーブルの昆虫記と比較して本書の解説をされている。さらに冒頭部分の読み方のガイドも試みられ、これで自分の読み方に自信がついた。当て字についても、かつての日本人が和語に漢字を充て、万葉仮名を作り出したことを例えに挙げているのには、なるほどとポンと膝を打って納得した。
わけの分からない世界観、当て字の数々はひとまず置いて、まずは50ページ、読んでみてもらいたい。その辺りから慣れてきて、読書に弾みつく。気がつくと、その妙な文体が癖になっていることだろう。ちなみに私は、寝る前に本書を読み、この異世界に入り込んだ悪夢を見て飛び起きた。ご覚悟を。
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御惑惺様(みほしさま)のヌトロガ倶土(ぐに)、〈焱〉(えん)の繩墾り(なわばり)の墾元(はりもと)だった、ズァングク蘇倶(ぞく)のマガンダラは、ともに墾元を務める誼兄弟のヤドロヌワを殺してしまい、断尾刑に処せられヌトロガの倶土を追われ、咒漠(じゅばく)に落とされる。ラホイ蘇倶のマナーゾをお供に咒漠を抜け出したマガンダラはかつての師、ドソチ師を頼ってマルバハシュ倶土にたどり着くが、二百戰も前に滅んだはずの卑徒(ひと)の侵略行為がいまだ続いていることを知る。ドソチ師の命でマガンダラはいやいや故郷のヌトロガ倶土に戻ることになる。マナーゾとお目付役のカドゥンク蘇倶のガゼイエラ、それから卑徒が自分たちに似せて作った、生ける拵物(こしらえもの)の〈仲裁人〉とともに。
異星生物を主人公とした小説は異質な心理を異質なまま描けば理解不能か共感不能だし、人間風の心理で描けば、異星生物らしくないというジレンマをアプリオリに有している。そこでこの、日本語のようだが、違う漢字が充てられた単語が説明もなく登場するという技法で異質感を醸し出しているのだ。
特に後半、ヌトロガ倶土での生活が淡々と続くが、呼んでいるわれわれもその生活に馴染んでいく、最後の急転直下まで。
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2ヶ月近くかかり、ようやく読了。とにかく疲れました…。
SWとMIBとみなし子ハッチの世界に昭和残俠伝を混ぜて、悪名の朝吉と清次に旅をさせたような…。
使われている言葉が次々と頭の中をぐるぐると回り、始めは何度か戻って確認していましたが、途中でそれも諦めてひたすら読み進めました。
決して悪くは無いですが、読む人を選ぶ本だと思います。もう一度読むかと言われると少しためらいますが、新作が出ればおそらくまた買ってしまうのでしょう…。
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最高の読書体験だった。
読者は言葉のわからない世界で途方もない旅に出かけることになる。ひらがなと漢字が使われている読みなれた日本語のはずなのに主人公の言っている意味がひとつもわからない。字面や音読みに頼って勘で想像する他ない。こいつは手強そうだと、分厚い本が両手に重くのしかかるのを感じる。
しかし手探りでページをめくるたびに、次第に知らなかった単語がおぼろげながら理解できるようになり、主人公の置かれている状況が俯瞰できるようになってくる。
独特で癖のある世界観に慣れてきてしまうと、登場人物たちに愛着が沸き、彼らの行く末をワクワクと見守りたくなる。……と油断したところで唐突に第一部が終わり、次章ではまるで違う舞台に飛ばされる。
それでも這う這うの体でなんとか食らいつき、ようやくすべての構造が見えてきたと思ったときには、最初にあれだけ果てしなく感じられた旅路の終焉が見えてくる。
それがたまらなく寂しい。