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日中関係史 1500年の交流から読むアジアの未来
永遠の隣人、日中の歴史から世界とアジアの未来が見える。日中両国の研究者である著者が、7世紀の遣隋使以来の1500年間におよぶ日中関係を網羅し、第三者の視点から客観的な日中...
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商品説明
永遠の隣人、日中の歴史から世界とアジアの未来が見える。日中両国の研究者である著者が、7世紀の遣隋使以来の1500年間におよぶ日中関係を網羅し、第三者の視点から客観的な日中関係史を記述する。【「TRC MARC」の商品解説】
GDP世界二位の中国と、三位の日本の関係は、米中関係に次いで世界で二番目に重要な二国間関係だと言える。だが、日中関係は「緊迫」「危険」「難解」「複雑」という言葉が当てはまる。尖閣諸島周辺では、いまなお両国が日常的に対峙し、危険な衝突が起きる可能性が高い。もし二国間関係の取り扱いを間違えば、両国は軍拡競争に走り、二国間、地域、グローバルな問題での協力は行き詰まり、最終的には紛争になるだろう。
だが、日中関係を適切に取り扱うことができれば、両国は国際秩序と地域の協力枠組みを守るために協力し合える。貿易、経済建設、研究開発、平和維持、自然災害対応などの分野で、両国は力を合わせていけるはずなのである。
日中の指導者たちは、両国関係を発展させていくには、相手国が歴史に対して真摯に向き合うべきだと発言している。日中関係は1500年にわたる長い歴史を持ち、両国国民は過去の歴史に対する深く複雑な感情を有している。そのため、両国の研究者が集まって歴史観をすり合わせようとしても、新たな緊張関係を生みだし、重要な問題についてはほとんど合意が得られない。
しかし、両国の協力関係と友好関係のためには、歴史問題の超克は不可避の課題だ。本書は、日中両国の研究者であるエズラ・ヴォーゲルが、7世紀の遣隋使以来の1500年間におよぶ日中関係を網羅し、第三国人の視点から客観的な日中関係史を提供するものである。【商品解説】
目次
- まえがき
- 凡例
- 第1章 中国の日本文化への貢献――六〇〇~八三八年
- 推古天皇以前の日中接触と日本の学びの基盤
- 六〇〇年以降、日本はいかに中国から学んだか
- 言語、文学、音楽
- 仏教
- 建築
- 通貨、そして商業経済の始まり
著者紹介
エズラ・F・ヴォーゲル
- 略歴
- 〈エズラ・F.ヴォーゲル〉1930年アメリカ生まれ。ハーバード大学にて博士号(社会学)取得。同大学ヘンリー・フォードⅡ世社会科学名誉教授。著書に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」「現代中国の父 鄧小平」など。
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紙の本
その歴史があるからこそ
2021/07/11 11:25
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂本龍馬的な立ち位置の本である。
日本では「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者として知られ、
中国では「トウ小平」の伝記作者として知られるアメリカの社会学者。
両国にとって恩人ともいえるヴォ―ゲル氏が生涯最後に手掛けた著作が
この China and Japan Facing History.
ヴォ―ゲル氏は、GDP世界一位のアメリカと二位の中国との関係が
世界で最も重要であるとすれば、世界で二番目に重要なのはおそらく、
中国とGDP世界第三位の日本との関係であると見ていた。
それは2010年代以降のアメリカの視点で見た場合のアジアの重要性でもあり、
世界から俯瞰した場合には太平洋が時代の中心になったということでもある。
日本と中国には遣隋使以降1500年の交流の歴史があり、それは
日本が中国に学ぶ時期が大半でありつつ日本が不服従を貫いた歴史でもある。
19世紀以降は日本の近代化とそれを礎にした大陸侵攻の歴史があり、
戦後の日本の経済成長を中国が学ぶ時期を経て、直近では
想像をはるかに上回るペースで経済規模が逆転して大差が開いた事実がある。
特にこの100年を両国が当事者として客観的に把握するのは実に難しい。
歴史には語る主体があり、主体は主観から自由にはなれず、
真実はいつも語りの向こうにぼんやりとしていて、絶対のものではない。
そこにこの著作の永遠の価値がある。両国をよく知るヴォ―ゲル氏の語りも
アメリカからの視点であるかもしれないが、そこには相互理解を促そうとする
個人の使命感、無償に近い愛情を感じる。
成り立ちと構造の違う2つの国家がどう付き合うのか、そこに答えはないが、
終章、アジアの未来に対して日中が何で協力できるのか、そこまで氏は
指し示してくれている。これまでの歴史の果てに、今の両国がある。
これまでの歴史があるからこそ、それを通過したアジアの未来ができていく。
協力できると言ってくれたヴォ―ゲル氏は世界の永遠の恩人だ。