紙の本
世界のどこからでもゲームに参加できる時代に考えるべきこと
2010/02/11 16:00
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は2006年5月に出版され「フラット化する世界」の増補改訂版。2007年8月に米国で出版された、The World Is Flat: A Brief History of the Twenty-first Centuryの、Further Updated and Expanded: Release 3.0版の日本語訳。日本の書籍ではあまり見ないが、Release3.0とある通り、改訂と新しい内容の追加を2回も行ったものだ。
「世界がフラット化する」とは、本書から例を引くと「アメリカの銀行のコンピュータ運用をインドの会社が請負い、その会社がインドの夜間時間帯はウルグアイの会社に業務委託している」とか、「アメリカの会社が韓国の機械を輸入し、自社の装置を取り付けてクエートに輸出するためのアラビア語のパンフレットを、ネイティブアメリカンの会社が印刷している」という状況を表している。
様々な業務は細分化され、最適な業務を最小のコストで実施できところで行う。インドのIT企業のCEOの言葉を借りれば「競技場はいまや均されている」。従来は国境の壁、政治体制の壁、習慣の壁などによって、見通しがきかなかったビジネスのフィールドが、平らに均されて何処からでも見えるし、走っていけばゲームに参加することができる、というわけだ。
こうした状況は良い面と悪い面があり、しかも複雑に入り組んでいる。インドの会社にアウトソースしたアメリカの企業は、従来と同じ業務を何分の一かのコストで行える。その企業の顧客も低コストで商品を買える。消費者たる一般市民にとってもありがたいことだ。しかし同時に労働者たる一般市民としては、仕事をインドに奪われることになるのだから。
さらに事は安全保障にまで及ぶ。このようなグローバルな枠組みに入った国では、小規模な紛争を除けば戦争への抑止力が働くという。逆の面もある。テロリストたちは、その連絡手段として、資金や支援者・新兵の獲得手段として、そしてプロパガンダとして、インターネットを実に巧みに利用する。
それでは国家や企業や個人はどうしたらいいのか?正直に言って手詰まりの感があるが、著者はページを割いて言及していることは、技術・能力を身に付けることに尽きる。詳細は本書に譲るが、個人は「雇用される能力」を付ける、国家と企業はそれを手伝う、それには社会保障と教育の二本柱が必要、ということだ。
気になることが1つある。著者が言うには、優秀な学生の多くは投資銀行を目指してしまい、アメリカでも科学者や技術者が不足しているそうだ。そして将来のために子どもたちの数学や科学の基礎学力を高めなければならないと言う。そう、日本でも「子どもたちの理科離れ」と言われて久しく同じ問題を抱えてる。
さらに著者は「それなのに、2005年に全米科学財団の予算を1億ドルも削減してしまった」と嘆いているのだ。これも同じように、昨年「科学技術と予算」に関する出来事が日本でも起きた。アメリカと同じ轍を我々は踏んでいないだろうか?
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上巻はWeb2.0とか読んだ人には物足りないと思う。なので(下)の方でレビュー。
しゅーかつのために急いで探して読んだ本ですが、でも読んでよかった。
いわずと知れたベストセラー。
助長気味だし日本語訳が読みにくいので、Amazonとかで要約を読んでからざざざっと斜め読みするのがカシコイ方法ではないかと。
読みながらずっと考えてたことは、
国と国の境目がこれからどんどんなくなっていくと(そこで国家不要論に行くのはあまりに短絡的だと思うけど)、最後に日本に残るものは何なんだろうか、ということ。
地域性とか、国民性とか文化とか、そういうソフトなものになっていくんですかね。
視野をマクロにするための助けになる本です。
でも分厚すぎ!圧縮すれば少なくとも1/3にはなる。
読みにくさは許しがたいので、☆4つ。
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世界のフラット化によって仕事を奪われないようにするために
先進国の我々は何をすべきなのか?
我々の子供たちがインド、中国との競争に勝ち抜くために
どのような教育システムを我々は作る必要性があるのだろうか?
上記の問題を中心に、上巻では世界をフラット化した10の要因について
説明をし、下巻ではフラット化した社会を生き抜くための具体的な
考え方、取り組み方について述べている。
本書は2005年4月に出版された第一版、2006年4月の第二版についで
最新の記事を追加し、結論をアップデートした第三版である。
本書を話題に、読者の皆様にもご家族でフラット化されにくい職種とは何かを
議論し、今後の目指すべき方向性を早期に見出していただきたい(ともあき)。
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中国やインドをやや持ち上げすぎな気がしないでもないが、勉強になった。そしてプレッシャーも感じた。
先進国の仕事がどんどんアウトソーシングされていくと。それは単純労働だけでなく、知的な労働も。
フラットになりつつある世界で、僕たちはどう生きていくべきか考えさせられた一冊。
サプライチェーンの重要性と危険性。新たなビジネスモデルの出現などなど。
自分には少々難解な部分もあり、もう一度読む必要があると感じている。
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個人的には上巻のほうが刺さったが、
上巻だけだと暴走気味のものを下巻でバランスとっている感じ。
グローバリゼーションには、希望もあるし不安も懸念もある。
希望だけなら上巻を、バランスよくしりたいなら全部読む、そういう感じかな。
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下巻に入りました。下巻は、細かく項目が別れているので
それに沿ってまとめていきたいと考えています。
今回は、第二部「アメリカとフラット化する世界」の残りを。
前回とは少し異なり、
「我々先進国が生き抜いて行くにはどのような仕事
が残されているのかは分かった。
では、どうすればそのような仕事が出来るようになるのか。
又は、どうすればそのような仕事に就けるのか。」
が主題としてまずあります。
その問いに答えるような形(答えでないものも含まれますが)で
ポイントしては、
1:今後はIQよりもCQ・PQが重要になる。右脳を使え。
2:教育水準を上げろ
3:アメリカは現状を変えない限りすぐにでも他国に抜かれる
の三点ですね。
IQとCQ・PQを分けて述べたあたりが微妙かと思いますが、
世界が今まで以上にハイスピードで変化していく状態においては、
それに付いて行くには、好奇心(CQ)と熱意(PQ)が必須である。
という事を述べています。ただ、結局は素早く理解し、判断していくには
高いIQも必要かと思いますが。
次に、教育水準を上げろって事ですが、もう当たり前ですね。
最後に、アメリカの現状について。エール大学を例に取り、
現在の政治的指導者は、理工・科学系を重んじないで、
文系つまり、投資銀行などで働き今週はいくら稼いだとか
時間あたりの賃金はいくらだとか、お金でしか自らの価値を
図ることの出来ない連中が政治を握っていか。
そのような状態で、今後イノベーション的な製品やサービスを
生み出す事が出来るのかと。
この現象は、日本でも当てはまりますよね。
私達は、本当によく考え行動しなければならない時代に突入し
そして、実行しなければならない時期に来ているのかもしれません。
第3部と第4部です。ここは「発展途上国とフラット化する世界」
「企業とフラット化する世界」の二つで構成されています。
中身は、上巻と比較すると特に目新しい事はないですが、
メキシコが中国にしてやられている点は、新発見でした。
第4部に関しては、結構ポイントが多いのでうまくまとめる
自信がないのですが・・・・簡潔にまとめると、
1:現状を直視し、良いところだけ吸収せよ
2:相手の身に立って物事を進めよ
3:全ては勝つためにせよ
の三点です。
原書を読んだ方からするとかなり意訳というか、強引に要約した
感じがありますが、重要な事には変わりがないと考えています。
第五部:あなたとフラット化する世界
ここでは、今までのフラット化の流れが個人に対してどの程度影響を
与えるのか考察しています。中には、批判的というかマイナス的要因も
作者自らの言葉によって、述べられていますが、全般的に現状を良く
言い当てていると思います。そして、要約すると
1:地域的なものが世界的になる
2:ネットがなくたって、やろうとすればやれるだろ
3:面の皮を厚くしろ
の三つです。
これは、第十二章〜十四章までの小見出しを少し言い換えた事に過ぎませんが
しかし、それが一番端的かつ上手く言い表されていると思います。
最近、ブログが非常に流行していますよね。ただ、やはり匿名性が必需なのは
今も昔も変わりません。私も匿名(まぁ、知り合いが見れば分かってしまう程度)
ですが、もし実名でブログを始めたら誹謗中傷に耐えられるか分かりません。
そういった意味で、これからは面の皮を厚くしなければ。
ようやく読み終わりました。
結構文字数が多かったので、時間がかかってしまいました。
今となっては、特別珍しい事もなく、終始淡々と読み進めていった感じです。
要点をまとめると
1:フラット化の反対勢力に気をつけろ
2:やっぱりサプライチェーンは重要
3:今後もイマジネーションが最重要かつ最も必要とされる能力
の三点です。
最後の結論は、フラット化が進行する前でも最も重要だったような
気がします。まぁ、ネットの世界に当たり前に触れてきた世代の人達に
とっては、本書は特に目新しい事は特になく復習といった感じですね。
本書よりも、IT産業崩壊の危機といったような書物の方が個人的には
おもしろかった気がします。(上記本に関しては、後日述べます)
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本書籍は下巻です。
まず上巻はあまり面白くありません。
期待を裏切らず下巻も面白くないのですが、下巻の
13章たしかp258の「やろうとしないのは実践しないからだ」が面白いかったです。
厳しいですが、皆さんへ良い書籍を推薦したいので星はたった一つです。
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新ミドルへの道、これからの教育の大切さ、イマジネーションが最も大切な時代。こころにささる言葉であり、日本が今抱えている問題が米国を例にして多くかかれています。これを多くの日本人の方にも、とくに幼少の子供を抱えた親に読んでもらいたいです。
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上巻もあるが面倒なので下巻のみ。
本全体としては若干楽観的過ぎる雰囲気はある。
が、「イマジネーション」が必要とされる今だからこそ
これくらい楽観的な見方がふさわしいのかもしれないし、
悲観主義者より楽観主義者のほうが新しい時代を
創造しやすいのではと思う。
またビジョンは楽観的ではあるが、
アメリカのおかれた状況(一言で言えば
人材不足)を冷静に分析(方策については
方向性は示しているものの、本当に具体的か、
実現可能か検討してはいないが。)している。
お気に入りは
PC(小型含む)を「ステロイド」とする考え方。
カールツワイルの機械と人間との融合という
考え方とも非常にマッチしており
人間はこういう方向に進んでいくんだろうと
改めて思い知らされた感がある。
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あーなんだかんだで忘れてしまった。。。
やはり読んですぐまとめないとダメですね。
最初の方がおもしろかった気がしますねやはり。
フラット化した社会においてミドルクラスはどのようにして自分を高めていくべきか
また、仕事にあぶれた人たちへ国はどのような対策ができるのかが書かれています。
だめだ、薄いですね。。
まあ、最後の方の地政学の話はおもしろくありませんでした。
なので4ですね。
全体的に今の僕は中ほどの部分に感銘を受けました。
おそらく、1年後に読んだらまた違う事を思うでしょう。
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デジタルで世界を超えても、
人の気持ちが世界を超えるタイミングはいつになるのだろう?
この両方の行き来ができこそ、フラット化に意味がある気がする。
○スィーブジョブズのスピーチ(P.20-24)
先を見越して点をつなぐことはできない。
過去をふりかって初めてつなぐことができるんです。
だから、いまは関係がないと思われている点同士が、
将来はつながると信じることです。
なんでもいいから信じましょう。
勘、運命、人生、カルマ、なんでもいい。
こういうやりかたで失敗したことは、一度もありません。
それが私の人生を切り拓いてくれたのです。
○スキルの低い者は賃金を下げることによって
競争力を維持しなければならなくなる。(P.82)
○いいか、おまえが中国で100万人に一人の人材だとしても、
おまえみたいなやつはほかに1万3000人いるんだ(P.91)
○アメリカが10年以内にエネルギー自給国になるための
代替エネルギーの開発とエネルギー節約の緊急計画(P.111)
○学校でつらいこと、がっかりすること、ストレスを感じることがないように、
子供たちを真綿でくるんでおかなければならないという意識は、
ひとことでいえば、アメリカ社会にひろがる癌だ。
(中略)
簡単に満足できるテクノロジーによって、
大部分の学生が、読書という刺激的だが
手間のかかることをやめてしまいました。(P.128)
○ハマド・ユヌスのグラミン銀行。(P.264)
なんでも銀行とは違うことをやった。(P.266)
自尊心を高める経済モデル。
○ひょっとすると、そのうち人為的に”不在”の状況を
再現しなければならなくなるかもしれない。(P.301)
○似通った考え方の人々が、こうしてたやすく接続できるようになると、
お互いに動員しあって、とてもつもない共鳴効果を引き起こす。
その対象は、事実のこともあれば、事実ではないことともある。(P.310)
○HPの技術グループが実施した官民提携@インド(P.346)
○戦争が起きた場合に
インドのIT産業が直面する問題に政府の注意を喚起しました。(P.400)
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フラット化する世界 [増補改訂版] (下)
トーマス フリードマン
日本経済新聞出版社(2008-01-19)
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5年くらい前に読んだ。そして去年インドに少し滞在した。
名だたるIT企業が各都市に進出して、そこで働くインド人はジム付のタワーマンションに住む。
オバマ再選の日の新聞ではアメリカ国内の雇用を増やすためにインドへのアウトソーシングに規制をかけてインド経済に打撃をうけるのでは、という記事が目についた。
日本はそんなにシビアではないけど、英語圏のアメリカは相当仕事がインドに流れているみたい。
日本も今後はインドやほかのアジアの国に仕事が流れていく可能性は高い(そもそも日本のマーケット自体も縮小しているし)。そんな中で自分の価値を高めていくには何をすればいいのか、これから自分の課題になりそうだ。
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上巻は世界の現状を中心に書いてあったのに対し、下巻ではフラット化にいかに対応すべきかどうかが中心に書いてある。
400ぺージあってなかなかきついが、内容自体はわかりやすいしところどころジョークもまじっていて楽しい。
僕の友人にはぜひこの本を読んで、国内ではなく世界で戦う意識を持って欲しい。
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フラット化する世界(上)を読んでから、2ヶ月近く時間が経ってしまった。
上巻の衝撃はそれは大きくて、上巻を読んで以来「フラット化する世界」でどう私たちが生きていくかを考えなくては、と思うようになった。
そのことを考えるために、何冊かの本を選び、読んだ。
そして、ようやく今日下巻を読むことができた。けれども、上巻のときに感じた衝撃は今回は起きなかった。
これは、上巻を読んでから選び、読んだ本に、すでにこの下巻に書いてあることと類似の内容が書かれていたからだろう。
ちょっと残念な気持ちもするが、結果的には、上巻と下巻の間に関連する数冊の本を読んだことは、クールダウンして下巻を読むことができてよかったように思う。
本書で、特に印象的だった箇所を書き出しておく。
1.国家の卸売改革と小売改革。貧困から抜け出し、うまくフラット化するにはこの2つの改革が必要。
卸売改革:インフラ、教育、適切なガバナンス、人を惹きつける住みやすい環境
小売改革:?企業、?雇用・解雇、?契約の執行、?融資、?破産もしくは業績低迷による廃業。この5つが摩擦なしに単純な手続きでできる国が小売改革を終了している国。
2.ローカルのグローバル化〜中国Toudouの創始者ワンの言葉:
「みんな見られたい、聴かれたい、好きなものを創ることができて、共有できればいいと思っている・・・・・世界中の人間が、同じテクノロジーのプラットホームから知識と発想のタネを得ていますが、そこで花咲く文化は多種多様です。同じ土壌でも、違う木が育ちます」
3.マクドナルドが出店している国同士は、マクドナルドがその国にできて以来、戦争したことがない。
マクドナルドの店舗網が利益をあげられるくらいに、ミドルクラスが成長すると、その国の人々は戦争を望まない。グローバルな貿易と生活水準向上を得た国は、戦争の代償は勝敗には関係なく許しがたいほど高くつく。