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商品説明
『ゆれる』で世界的な評価を獲得し、今、最も注目を集める映画監督が、日常に潜む人間の本性を渾身の筆致で炙りだした短編集。『ディア・ドクター』に寄り添うアナザーストーリーズ。【「BOOK」データベースの商品解説】
「ゆれる」で世界的な評価を獲得し、今、最も注目を集める映画監督が、日常に潜む人間の本性を渾身の筆致で炙りだした短編集。2009年公開映画「ディア・ドクター」に寄り添うアナザー・ストーリーズ。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
1983年のほたる | 5−46 | |
---|---|---|
ありの行列 | 47−84 | |
ノミの愛情 | 85−120 |
著者紹介
西川 美和
- 略歴
- 〈西川美和〉1974年広島県生まれ。映画「蛇イチゴ」でオリジナル脚本・監督デビュー。映画「ゆれる」で毎日映画コンクール・日本映画大賞などを受賞。小説「ゆれる」が三島由紀夫賞候補となる。
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紙の本
全5編からなる僻地医療を中心の題材とした短編集。映画監督と言うことで、作者には失礼ですが“直木賞候補”は話題作りの一環かと思ってました。ところが読んでみて驚きました。作品全体として命の尊さを訴えており、私たち読者の襟を正すことのできる作品ですね。「きのうの神さま」と言うタイトル名も素晴らしいですね。いろんな人生、いろんな生活があることを結構リアルにかつ的確に描いています。
2009/09/04 20:14
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画『ゆれる』の監督で著名な西川美和さんが書かれた映画『ディア・ドクター』の外伝を含む5編からなる短編集。
まず直木賞候補に上がったということで手に取った作品であることは否定しないのであるが、予想以上に素晴らしい作品であったことに驚きそして作者に敬意を表したいと思う。
これは恐るべき才能ですね。
5編からなる短編集であるが、おもに僻地医療を題材としています。
まず5編とも甲乙つけがたいほど素晴らしい出来であり読者である私たちを叱咤激励してくれる作品集だと言えます。
全編を通して言えることはそうですね、ある人にとっては非日常のことがある人にとっては日常である。
まあ当たり前のことですが(笑)、読んでみてそれぞれの主人公の気持ちに没入することが出来ます。
やはり女性の登場人物を上手く描いていると唸らされました。
まず冒頭の「1983年のほたる」の市内の中学受験を目指し塾通いをする小学校の少女に度肝を抜かれます。
風変りなバスの運転手と事故に巻き込まれます。小学生の彼女の世界と現実の世界のギャップが非常に面白くかつシビアに描かれてハッとさせられますね。
この作品だけ僻地だけど医療に関係ないですね。
あとの4編は医療関係にたずさわる様々な人々を描いてます。
「ノミの愛情」での女性主人公で元看護師の妻も印象的である。
表向きと実態の違う医師の夫をコミカルにかつ毒を持って描いている本編、女性の大変さを男性読者の私がかなり理解できたのは作者の筆力の高さ所以でしょう。
そして個人的に胸を打ったのはラストの「満月の代弁者」の孫娘ですね。
自分の人生を捨ててまでアルツハイマー病の祖母の介護に人生を賭けます。
その背景として自分の両親を満足の行くように看取れなかったということがあります。
何といっても祖母と孫娘との親子を超えるような愛情ですね。
特筆すべき点はこの孫娘が主人公で無い点ですね。
ちょうど僻地での勤務を終えた医師である主人公が新しい医師と引き継ぎでアルツハイマー病の祖母の家を訪れます。
ラストはドラマティックに終わります。
これはまるで読者の明日に貴重なエネルギーを与えてくれているような結末でした。
いろんな人生があります、私たちが日常的に抱いている不安を払拭してくれる効果がある本作、作者の取材力の高さと非凡なる感性を確認しつつも“人と人との絆”そして“人生にとって大事なもの”を考えさせてくれる傑作作品集と言えるでしょう。
それぞれの物語に登場する人々の息づかい、あなたも是非しっかりと聴いてください。
紙の本
映画からこぼれ落ちた物語、西川美和の「きのうの神さま」。
2010/05/26 19:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ディア・ドクター」の監督西川美和のこの短編集は一編を除け
ば映画と同じく医療に携わる人々の物語だ。「ディア・ドクター」
という話もあるのでまぎらわしいが、映画とは基本的には関係がな
い。作者が最後に書いているように、これは映画の取材でこぼれ落
ちた「様々なエピソードや人々の生き方を」小説として蘇らせたも
のなのだ。映画の原作的な物語も読みたい気はするが、これはこれ
でスゴくおもしろかった。
西川映画のファンならば5つの短編のうち最後の「満月の代弁者」
に強く惹かれるだろう。彼女の映画の魅力は、なんといっても虚実
がない交ぜになったストーリーだ。虚が実であり、実が虚であり、
結局、あいまいなまま…そのスレスレの感じがたまらない。さて、
「満月の代弁者」。古い港町から都会に戻る若い医者がお別れに患
者の家をまわっている。そのうちの一軒、そこには92歳の患者と彼
女の面倒を見る30代後半の孫娘がいる。その家で医者は孫娘にちょ
っとしたウソをつく。「早く逝きたいよ〜」とうそぶく92歳、女盛
りで仕事もできるアラフォーの孫娘。医者が彼女にささやいたこと
は…。いやぁ〜楽しい。2人のアブナいやり取りがたまらない!ラ
ストも素晴らしくまさに西川ワールドだ。セリフのうまさもさすが
で、西川美和の才能を再確認できる短編集である。
ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より
紙の本
不気味さが前向きに爆発
2023/12/19 10:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ノミの心臓」の抑圧されていた奥さんの不気味さが、
ラストで前向きに爆発していたのが印象的でした。
生きることが迷惑をかけ続けることと同義になるって、
わかる。迷惑かけたくない。
どなたかのレビューで教えていただきました。
「きのうの神さま=今日の人」
なるほど!
紙の本
読み応えのある人間ドラマの数々
2009/09/19 15:13
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆこりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
収録されている5編の中で一番印象に残ったのは「ディア・ドクター」だ。父を尊敬し父と同じ医者をめざしたけれど、結果的にまったく別の人生を歩むことになった兄。それは父の態度に大きく関係があった。兄が父を尊敬すればするほど、父は兄に背を向けた・・・。父の心情は語られていないが、おそらく戸惑う気持ちがあったのではないだろうか。「自分はそんな人間ではない。」そういう思いが心の中に渦巻いていたに違いない。純粋な気持ちで尊敬のまなざしを向けられ、うろたえる父の姿が目に浮かぶようだ。父は兄が嫌いなわけではなかったと思う。むしろ、愛情を持って見つめていたはずだ。ちょっとした心のすれ違いが父と息子の間に大きな溝を作ってしまったが、新たな絆がまた生まれていくのだろうという期待を持つことができるラストで、ほっとさせられた。そのほかの4編も、味わい深い話になっている。会話の描写も絶妙で、息づかいまで伝わってくるような生々しさを感じた。さまざまな人間ドラマがちりばめられている、読み応えのある作品だった。