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商品説明
自分の中に外からかすかに聞こえてくる音ともいえない音、声ともいえない声、光の筋ともいえない光の筋に少しでも近づくために書く…。書くこと、考えることの自由を体現する小説家によるエッセイ。『みすず』掲載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
「私がこの“試行錯誤”ということを最初に思ったのは、パブロ・カザルスの、バッハの『無伴奏チェロ組曲』を弾いているときに聞こえる、弦の上を指が動いてこすれる音と弓が弦に触れる瞬間の音楽になる一瞬間の音だった。どちらもノイズということだが、私はこれを最高級の蓄音機でSPレコードを再生してもらって聴くと、奏者と楽器が自分がいまいるまったく同じこの空間にいると感じられるほどリアルという以上に物質的で、その音からブルースが聞こえた。
弦の上を指が動いてこすれる音や弓が弦に触れる瞬間の音はだからノイズではない。その音が弦楽器を弦楽器たらしめ、チェロをチェロたらしめる。カザルスが弾いた音の中にブルースの響きまであったのではなく、そのこすれる音の中にカザルスの演奏がありブルースもあった。弦楽器が譜面=記号で再現可能な行儀のいい音の範囲を出るときに、奏者の指も体もそこにあらわれ、肉声もあらわれる。(…)
表現や演奏が実行される前に、まずその人がいる。その人は体を持って存在し、その体は向き不向きによっていろいろな表現の形式の試行錯誤の厚みに向かって開かれている」
(本書「弦に指がこすれる音」より)
「私」をほどいていく小説家の思考=言葉。
芸術の真髄へといざなう21世紀の風姿花伝。【商品解説】
目次
- 1 弦に指がこすれる音
- 2 方向がない状態
- 3 果てもなくつづく言葉の流れ
- 4 書き手の時間・揺れ
- 5 小説という空間
- 6 未整理・未発表と形
- 7 ランボーのぶつくさ
- 8 一字一句忘れない
- 9 読者の注意力で
- 10 作者の位置から落ちる
著者紹介
保坂和志
- 略歴
- 〈保坂和志〉1956年山梨県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。「この人の閾」で芥川賞、「未明の闘争」で野間文芸賞を受賞。
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