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商品説明
病者の隔離と排除を目的とした施設は、連帯と解放の拠点たりうるか。近代日本のハンセン病療養所に生きた人々の苦難と希望を、外島保養院(現・国立療養所邑久光明園)と長島愛生園で取り組まれた入所者の自治から迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
病者の隔離と排除を目的とした施設は、連帯と解放の拠点たりうるか。瀬戸内の島で当事者が行動し、社会や人間を問うた百年の精神史。
発病によって隔離され、それまでの生活を失った人びとが人間や社会のあり方を問いつづけながら、身近な場所をよりよい世界に変えようとした百年の軌跡である。
岡山県瀬戸内市の長島には、二つのハンセン病療養所がある。1909年に大阪府西成郡に開設された外島(そとじま)保養院が1934年の室戸台風によって壊滅し移転した邑久(おく)光明園、もう一つは、隔離を牽引した光田健輔を園長とする初の国立療養所として1930年に開設された長島愛生園である。
入所者が主体的に療養生活上の課題を解決していく「自治」の起点と、その広がりや葛藤を、手紙や日誌、会議記録、行政文書などから読み解いていく。大正デモクラシーの時代と呼応しながら外島で産声をあげた自治会は、プロレタリア運動・エスペラント運動に関わった人びとが追放された「外島事件」(1933年)、入所者が作業ゼネストやハンストで処遇改善を求めた「長島事件」(1936年)をへて、アジア・太平洋戦争のなかで解体を迫られた。
だが、こうした経験は、戦後の治療薬の登場と社会の民主化のなかで、当事者自らが闘い、社会復帰していく土台となり、ついにはらい予防法の廃止、国家賠償請求訴訟に至る。
彼らの歩みは鏡のように、近代日本を映し出す。苦難と希望が刻まれた記憶は、現在もさまざまな場所で自由や自治の実現に取り組む人びとへの励ましであり、未来への伝言であろう。【商品解説】
目次
- はじめに
- 序章
- 1 近代日本のハンセン病問題のあらまし
- 2 「検証」と記録
- 3 「自治」の射程
- 4 本書の対象
- 第I部 第三区連合府県立外島保養院
著者紹介
松岡 弘之
- 略歴
- 〈松岡弘之〉1976年広島県生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程哲学歴史学専攻単位取得退学。博士(文学)。尼崎市立地域研究史料館職員。専門は日本近現代史。
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