紙の本
ロシアが侵略に至った歴史的バックグラウンドを知る上で役に立つ
2023/08/13 13:34
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投稿者:巴里倫敦塔 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウクライナについての情報を多角的に提供する入門書。歴史、民族、言語、宗教、地理、芸術、文化、軍事力、軍需産業、EUやNATOへの加盟問題など、ウクライナについて知るべき情報をほぼ網羅している。日本との外交関係や経済関係、ロシアやポーランドとの関係、汚職など抱える問題などについても言及する。本書は2011年に企画がスタートしたものの、紆余曲折の末に出版されたのは2018年。ロシア侵略の歴史的バックグラウンドを知る上で役に立つ1冊である。
本書には、「ヨーロッパ第2の大国」「歴史なき民」「コサックの末裔」など、「そうなんだ」と思わせる記述がいくつも登場し勉強になる。各項目は数ページほどで完結するので、就寝前など空き時間を見つけて細切れで読むのも良い。ロシアの侵略で情報ニーズが急上昇しているウクライナだが、よくまとまっている本書は必読の1冊だろう。
30人を超える執筆陣は実に多彩である。大学教授、高校教師、厚労省の職員などのほか、「物語 ウクライナの歴史」の著者で元ウクライナ大使の黒井祐治、ロシアの侵略以来引っ張りだこの小泉悠も加わっている。掲載する写真に執筆陣の手によるものを基本的に使うなど手作り感にも好感が持てる。
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ウクライナはもう出ていると思っていたのが、2011年に企画されたものの、ウクライナ危機で延期となり、ようやく出来上がったとのこと。現地で出す訳でもないのに、ウクライナ危機で延期される理由がよく分からんし、むしろ危機の最中に出した方が貴重な情報源として売れそうな気がするのだが、書き手が内容に関して現地と確認作業が取れなかったということなのだろうか。ウクライナ人が書いているのもあるが、別に通信が遮断されたいた訳でもなかろうし。情勢の変化を見届けるという必要はあったかもしれんが。アマゾンでカテゴリー1位のマークが付いていて、珍しいなと思ったのだが、ロシアの地理・地域研究というカテゴリーはどうなのよ。服部倫卓以下ベラルーシの知るためのと被っている人が多いみたいで、旧ソ連=ロシアという括りになるんかな。ウクライナは実はロシアよりポーランドと近似性があるという話は聞いていたのだが、ウクライナの脱露入欧を阻んでいるのは単純なウクライナ系対ロシア系ではない多民族、多言語を背景とした地域対立の構図がある様だ。
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エリアスタディーズシリーズからようやくウクライナが出版されたので、早速買ってみた。ウクライナの歴史や言語、現在社会問題として注目されているチェルノブイリやユーロマイダン革命、ドンバス紛争、クリミア併合までウクライナの周辺知識を広く知ることができる。ソフトな面でウクライナの観光やポップカルチャー、日本との交流の話も盛り込んであり、読み物としても面白く読むことができる。参考文献もしっかり記載されているので、ウクライナについて研究したいと思う初学者にうってつけの入門書だと思う。
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図書館で借りた。
国際関係では今話題のウクライナ。日本人の印象は薄いが、実はヨーロッパ第二の大国。国旗が表す地平線まで続く小麦畑の農業国でもあり、そういう面ではフランスに近い。また最新のIT含め科学技術のレベルもとても高い。
されど旧ソ連や他民族の支配が長かったことも有り「歴史なき民」とも言われる。旧ソ連解体・独立後、核兵器を世界で3番目に持っていたものの、それを全て廃棄した過去がある。その事実を見ると、平和的な政策に見える。
しかし、2022年現在、ロシアから侵攻されようとしている。
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2022年2月上旬現在、ロシアのウクライナ侵攻への現実性が高まる中、ロシアやヨーロッパ諸国、アメリカの動きはニュースである程度知ることができますが、肝心のウクライナのことは、直接の当事国にも関わらず、その報道量が驚くほど少なくよくわかりません。
そんなウクライナについて、特に歴史や政治的なことを知りたいと思い本書を手に取りました。
本書はテーマが様々で、テーマ毎に執筆者は異なっています。気になったところをパラパラと読んでいます。
ボルシチはロシアではなくウクライナ料理だということも本書で初めて知りました。あと愛のトンネルも。
ウクライナの歴史は複雑で、現在の様々な出来事や多民族多言語である背景を知るにはそれを紐解かなければいけないのですが、いかんせん歴史の知識が乏しく、知らないことばかりで理解するにも時間がかかってしまいます。
2014年2月のユーロマイダン革命(尊厳の革命)について、最近これをテーマにしたNetflix のドキュメンタリー「ウィンター・オン・ファイヤー: ウクライナ、自由への闘い」を見ました。この作品は当時の反体制派と政府側(親ロシア)の衝突がリアルに描かれているのですが(暴力、出血、死の生々しい描写があるので注意)、なぜこの革命が起きたのか、デモ参加者はどのような人達なのか、などの背景的な説明は全くありません。反体制派が明らかに善として描かれていますが、それを鵜呑みにしていいのか判断できません。
本書では、この運動は単に親EUの願いというわけではなく、経済不振、政治の腐敗への不満もあり、反体制派には極右も含め多様な人達が合流していた、との記載がありますが、なぜこれほど大きな運動になったのかの詳細な分析はありませんでした。ちょっと残念。
いずれにしてもユーロマイダン革命により親ロ政権は倒れて新政権が発足。ヨーロッパ化とともにウクライナ民族主義的な運動が進み、親ロシア派やロシアとの関係がどんどん悪化し、ドンバス紛争、クリミア併合が起こっています。
ちなみに本書の出版は2018年10月。
本書の出版後、ウクライナは2019年2月に憲法改正を行い、将来的なEU、NATO加盟を目指す方針を明記、2019年5月に親EU派のゼレンスキーの大統領就任(元コメディアンで、就任前にドラマで大統領を演じている)、ロシアはますます反発を強めています。
現在、ロシアは軍隊をウクライナ国境に配備、NATOも東欧に軍備を増強、情勢の緊迫が強くなっています。
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ウクライナ侵攻があってから、ウクライナのことをほとんど知らないと思い手に取った。「ロシアの」「ソビエトの」人、と思っていた人がウクライナ出身だったことがわかった。
またウクライナという呼び名も、語源が「分かつ」という意味の印欧祖語由来の「クライ」という語根を含んでおり、分かつという意味が、「境界」という意味で、区切る、という意味と、区切ったまとまりという意味で「国」という相反する二つの概念の意味を含む、というのが興味深い。
その「クライ」が「ウクラヤーティ(分かつ)」、「ウクラーヤナ(分かたれた)」となる。
また、黒海北岸のステップ地帯は歴史的に「荒野」と呼ばれていた。これは、ロシアの南、リトアニア・ポーランドの東、トルコの北、という感じでこの3地域の先、諸国間の係争の絶えない危険な国境地帯であり、3地域から見れば最果ての「辺境の地」であり、「荒野」とならざるを得ない地政学的な地、というのも今の状況につながっている・・
辺境は大国の取り合いの領地となる。紀元前にはギリシャの植民都市が沿岸地域に多く作られ、スキタイが入り、キエフ大公国ができるも、東から遊牧民のキプチャク・ハン国が入り、中世には西部はポーランド、リトアニア、クリミアはオスマン・トルコの支配下に、さらにはロシア帝国下では「小ロシア地方」、そしてソビエト連邦の自治共和国となる。
第二次世界大戦のクリミア半島のヤルタ会談で、領地の議論がされ、ポーランド、ルーマニア、チェコスロバキアとの境界部分がソ連のものとなる。(たぶんこれが現在のウクライナ国境線なのだと理解した)ここで初めてウクライナ人の居住地域は、「クリミアの地でスターリンによって」、ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国の名に統一した、とある。
1954年、クリミア半島は、ソビエト・ロシア連邦共和国からウクライナ共和国に移管。1654年に締結されたロシア帝国とウクライナ・コサック国家の同盟から300周年の記念として、ウクライナとロシアの永遠の友好の証として。ウクライナ出身のフルシチョフが主導。
2014年 60年後、プーチンはクリミア併合。
ウクライナ出身の人
〇イリヤ・メチコフ(1845-1916) ハルキフ生。ユダヤ系細菌学者。1908年ノーベル医学生理学賞受賞。ブルガリアヨーグルトが長寿によいと推奨。
〇ワックスマン(1888-1973) キエフ生。ストレプトマイシンを発見 1952年ノーベル医学生理学賞受賞。
〇シコルスキー(1889-1972) キエフ生。ヘリコプターの実用化に貢献。
〇ジョージ・ガモフ(1904-1968) オデッサ生。宇宙のビッグ・バン理論提唱。DNAの先駆的研究。
〇ゴーゴリ(1809-52)キエフ州東ポリタヴァ州生。 1835年「隊長ブーリバ」17世紀を舞台にコサックとポーランドとの闘争を描く
〇トロツキー(1879-1940) ウクライナ南部生。オデッサのドイツ人学校で学ぶ。
〇フルシチョフ(1894-1971)ハリコフの北クルクス県生。15才でドンバス地方で鉛管工として働き始める。
<コサック>
隷属・抑圧からの解放を求める者たちが周辺諸国から、この��力の空白地帯に集い、軍事能力を備えた自治共同体を形成するに至る。
<屋根の上のバイオリン弾き>
オデッサはユダヤ人が多く住み、オデッサのジャーナリスト、ショーレム・アイヘムの原作が1964年にブロードウェイでミュージカル化。「ポクロム」と呼ばれるユダヤ人排斥が描かれる。
<第二次世界大戦での日本人捕虜>
シベリア抑留、ではウクライナに6555名。うち死亡者227名。ハルキフ・ドンバス地方、沿ドニプロ地区、沿アゾフ海地区の3地区。・・今回の侵攻があったのでドンバスがすぐ分かった・・ 抑留者が飢えをしのいだ食べ物はシベリアでは松の実だが、ここウクライナではひまわりの種だったという。
2018.10.25初版第1版 図書館
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目下、戦争中のウクライナの本。
図書館で借りた。
黒土の広がる肥沃な穀物地帯、ドネツクを中心とした製鉄産業、コサックの末裔。
独立したのはまだ最近で1991年。
地名などは馴染みのないものばかりで、キエフくらいしか知らない。
内容は馴染みがないことばかりで難しかったが、1冊読んだことで少しは理解したこともあると考えよう。
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プーチン、速やかに愚行はやめるように。あなたも日本で言えば東大を卒業したような秀才だと思います。天使のようなナイチンゲールの爪の垢を煎じて飲むように。北朝鮮の指導者や中国の指導者と同じぐらい、いえ、今はそれ以下になっています。 服部倫卓&原田義也 編「ウクライナを知るための65章」、2018.10発行。
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いろいろな人が書いてる。中には、フルシチョフがクリミアをウクライナ共和国に移したのはほんの軽い気持ちでやったとか書いてある。笑笑、流石にそれはないだろう。編集さんも偉い方にはなかなか言い出せないのかなぁとか邪推するのはよくないか。
これから、現代に入る。
歴史を読んでるとスキタイはイラン系でそのあと、ポーランドやリトアニアに支配、ロシアに支配とか政権や王朝が変わるんだけど、その時の一般市民はどんな感じで暮らしてるんだろうか。外国人支配の場合の市民の暮らし。言葉は通じないの?に支配とかどんな感覚なんだろ。日本は外国人支配ということがなかったからなかなかその感覚が想像できない。
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<「分かつ」(クライ)を内包する国>
2月末に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻は、多くの市民を巻き込みつつ、いまだその行方は予断を許さない。人道的観点からも早期の収束に向かうことを願う。
かの地の歴史的背景を知りたく手に取った1冊。
エリア・スタディーズ169とあるが、こちらは世界各国・各地の概要をわかりやすく解説した入門書のシリーズ。「~を知るための○○章」という体裁が共通である。現在、シリーズ186冊目の「モルディブを知るための35章」までが出ている。
1章ずつは数ページで短く、編著者を中心に、複数の専門家がそれぞれのテーマで執筆をする。最近のニュース解説で時々見かける諸氏の名前もある。
本書発刊自体は2018年で、現ゼレンスキー大統領が就任するよりも前である。編著者のあとがきによれば、企画は2011年に立ち上がっていたが、マイナー領域であるためになかなか刊行に至らず、2014年のクリミア危機で状況が一変したためにさらに難航、2017年に体制を立て直し、できていた原稿はなるべく生かす形で上梓に漕ぎつけたという。そのため、クリミアに関する記述も多いが、騒乱後に一から立ち上げたのであれば、章立ては変わっていたかもしれないという。だが、この地の複雑さを感じさせるという意味では逆によかったのではないかと一読者としては思う。
大きく四部に分けられ、「ウクライナのシンボルと風景」「ウクライナの民族・言語・宗教」「ウクライナの歴史」「ウクライナの芸術と文化」「現代ウクライナの諸問題」、それぞれが10~20のトピックを扱うという形である。
通読してもよいし、興味のある部分を拾い読みしてもよいという作り。
穀倉地帯を抱え、炭田も持ち、交通の要衝を擁しつつも(いや、だからこそ、なのかもしれないが)、各国に蹂躙され、長らく独立を果たすことが出来なかった地である。
「ウクライナ」の語源は定かではないようだが、この語の中の「クライ」は印欧祖語由来の「分かつ」を意味する語根であるという。これはひいては「境界」や「領域」を意味する。「分かたれた土地」≒「辺境」を意味する語が国自体を示すようになったというのはなかなか象徴的であるようにも思える。
国土面積は日本の約1.6倍、4千数百万の人口はヨーロッパで7番目の多さという。
民族構成はウクライナ人が78%、ロシア人17%、その他の5%にベラルーシ人、モルドヴァ人、クリミア・タタール人、ブルガリア人、ハンガリー人などが含まれる。原語的にはスラヴ諸語、ゲルマン諸語、ロマンス諸語、テュルク諸語などを含む。
ロシアとの結びつきは古くから強く、文化的には共通の地盤を持つ部分も多い。ロシアの文豪ゴーゴリはウクライナ生まれであり、ロシア料理の代表のように思われているボルシチはもともとウクライナ料理である。
ロシア語とウクライナ語は言語的には近縁だが異なる言語である。首都「キエフ」はロシア語読みで、ウクライナ語では「キーウ」となる(*今回のロシア侵攻を受けて、日本政府も「キーウ」表記に変更)。一般に東部・��部でロシア語ネイティブが多く、西部ではウクライナ語優勢となる。
ロシアの他、ポーランド人・ユダヤ人との関わりも深い。
ゼレンスキー大統領は、ロシア語ネイティブのユダヤ系ウクライナ人である。就任後にウクライナ語の特訓を受け、現在では演説等はウクライナ語で行うと聞いたが、それだけでも複雑さを感じさせるエピソードである。
西部のある街にはこんな小話があるという。
「私はオーストリア=ハンガリー帝国で生まれ、チェコスロヴァキアの学校に通い、ハンガリーで結婚し、ソ連で働き、ウクライナで余生を送っている。しかし私は一度も自分の村から出たことはない」
「自由な戦士」を指す「コサック」は、国歌に歌われ、紙幣にその指導者の肖像が描かれるなど、ウクライナの一種の象徴となっている。
古くはタタール軍を撃退し、ヨーロッパ諸国で傭兵としても働いた。17世紀には、コサックを中心とする国家の建設も成し遂げたが、18世紀末、ロシア帝国による完全併合でその歴史は一度途切れる。
その後は、ある種、民族統合の精神的な拠り所のような存在となっているようだ。
キエフ独立広場の像(「ベレヒーニャ(竈の女神)」)や日本文化の受容、伝統工芸など、興味深い話題も数多い。
複雑な歴史を背負う地は、豊かな文化も内包する。
まずは何より戦闘が止み、現地に平和が戻ることを祈る。
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国名の由来から始まり、シンボル、民族・言語・宗教、歴史、藝術と文化、現代の政治・経済・社会・軍事・欧州との関係など広範囲について充実の1冊。1992年のソ連からの独立以来のこの国の右往左往が悲劇を招いている可能性を強く感じさせられた。隣国ポーランドとは複雑な歴史があり、リヴィウはかつてはポーランド領だったとか、ポーランドからは格下としての差別意識があるなどの事情を知ると、この国の不幸な歴史を思わざるを得ない。そのポーランドが今は良好な外交関係にあり、ウクライナを支えているのは喜ばしい出来事だと思った。文豪ゴーゴリは実はウクライナの人だったとか、詩人シェフチェンコはロシアでも愛されているなど…。ロシアと分離しづらい深い関係はシャム双生児のように見えて、それがむしろプーチンの憎悪に繋がっているように思う。そしてウクライナ料理の代表は実はボルシチ!これもロシアと誤解されているものの一つ。
ウクライナの東西はロシア、オーストリアに分割統治されていた時代が長いとのことで、日本のように一つの国としての一体感が自明ではなかった国であることを改めて知ったが、今回のロシアとの戦争でむしろ一つになったという皮肉な結果に思える。
日本の武士道とコサック魂。これが同国からの日本への親密感に繋がっている。ぜひこの国の今後の復興を応援していきたい。
「ウクライナの栄光も自由も未だ死なず / 若き兄弟たちよ 運命はきっと我らに微笑むだろう / 我らの敵は日の下の露の如く滅びるだろう / 兄弟たちよ 我らは我らの地を治めよう/ 我ら自由のために心と体を捧げ 示そう / 兄弟たちよ 我らコサックの一族であることを」(ウクライナ国歌)
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「ウクライナ」は「俄かに話題に上ることが多くなったような事物」の最たるモノのように思う。図書館で出会い、拝借して通読したが、なかなかに為になった。
「おわりに」と題された編者の言によると、本書の企画は2011年頃に起こったもので、順次準備を続けていた中で2014年に色々な情勢変化が起こったことから、様子を観ながらそれに関連する事項も盛り込もうとした。そして2018年に登場している。
結果として、また「異常な事態」となっているウクライナに関して「現状の“前史”を含めた様々な事柄を知る一冊」として「現在読む」ということでも好適な内容になっているように思う。
本書は世界中の様々な国や地域の情報を供する「エリア・スタディーズ」と銘打ったシリーズの一冊となっている。様々な分野に通じた執筆者が、各々の得意な話題に関して綴ったモノを集めている。本書の場合、それが65篇なので題名に「65章」と在るのだ。
国旗や国章のことから起こして自然環境や主要な都市の様子という地理系統の事柄、民族や言語や宗教という外国の様子に触れてみようとする場合によく話題になる事柄、古代から近現代までの通史的な事柄、文学から料理やスポーツまでに観光的な事も加えた文化関係の事柄、1990年代の「独立」の後の経過や最近の様々な問題に関連する事柄と、大きく5つの章に65篇が割り振られている。
5つの章の各々が好く、或いは「章毎に分冊にしたリーフレット」的なモノが在っても善いのかもしれないと思った。殊に「1990年代の「独立」の後の経過や最近の様々な問題に関連する事柄」の章に関しては、「ウクライナ」が「異常な事態」になっている「今」であるからこそ、「その“前史”」としてより多くの人が知るべきことだと思った。内容は「知ろうとする」という素人に必要なことであると思った。
「自身に向けたメモ」ということで敢えて要約しておく。
1990年代に「最早“ソ連”が維持出来ない…」ということになり、(少し先に“離脱”のバルト3国を除く)12の共和国が独立した。ユーゴスラビア等で見受けられた武力紛争のようなモノが程無く発生するのでもなく、スムースにスタートは切った。
それでもウクライナはロシア等との摩擦のタネも抱えて、経済運営も苦しかった。そして「脱露入欧」というような路線と「共存」という路線で随分と揺れた。「ウクライナ!」というアイデンティティーも作られ、確立して行くようなプロセスも在った。
2014年の<ユーロマイダン革命>でヤヌコーヴィチ政権が排されてしまった頃、クリミアのロシア「併合」という問題が生じ、ドンバスの紛争が先鋭化した。そしてそうした紛争を巡るウクライナとロシアとの話し合いは、行っては戻りを繰り返し、話が拗れてしまった。そしてクリミアやドンバスの問題だが、既にウクライナの経済活動にネガティヴな影響ももたらしてしまっているという。
というようなことだ…
「1990年代の「独立」の後の経過や最近の様々な問題に関連する事柄」の章では、産業や軍事や、周辺諸国との関係や、日本との関係等の話題も取上げられている。
各章、各々に非常に興味深いが、多彩なモノを含むウクライナは「国」としては未だ新しく、様々な課題を抱えながら色々と努力していて、現在でも色々と愉しい文化的発信も為されている。何処へ進んで行くのか?そういう興味深い地域であるだけに、昨今の「異常な事態」は哀しむべきだ。
哀しむ他方、彼らを少しでも知りたい。そんなことで、偶々出くわしたことを切っ掛けにゆっくりと読んでみた。広く御薦めしたい。
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ウクライナの国名の中に含まれる『クライ』は分割を表す言葉らしい。世界に稀な豊かな黒土や資源を有する場所ながら、その地勢から周りの国々から侵略され、分割され、それらの国々から人々が入って人種が入り混じってしまい、なかなか一つに纏まれない歴史を重ねてきた。そして、それらの国の下に位置づけられてきた。ロシア、ポーランド、ベルギー、モンゴル、ルーマニア、ハンガリー、トルコ、チェコ、ドイツなどの列強諸国のパワーバランスの中で生きていかざるを得ない国。最も、これらの国もそうだし、ベラルーシ、ジョージアなどもそう。ずっーと昔からだ。ウクライナをはじめこれらの国々の平和と安定を祈らざるを得ない。
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65のテーマに分けてウクライナを説明してくれる。
面白そうな、知りたい章だけつまみ食いしてみた。
章ごとに独立している(書き手も違う)のでそんな読み方で良いかと。今のロシアとの戦争がリアルに解説されている訳では無いが、成り立ちや背景がわかってとても興味深く読みました。
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現在のロシアのウクライナへの侵略に関連して、その資料として求められている本である。活字が細いので老眼にはつらい。ニュースでこの本よりも詳細に説明されていることがある。2018年で4年前であるが、戦争以外は新しいことである。