紙の本
『with you』
2020/11/21 19:01
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学3年生の悠人(ゆうと)
父は家を出て別居、できのいい兄と、兄にしか関心がないような母の3人で暮らしている
受験を前に陸上部を引退したものの、受験や家族のもやもやを吹き払うために、夜、ランニングをしている
悠人はある夜、公園のブランコに一人ぽつんと座っている少女に出会う
少女の名は朱音(あかね)、近くの高級マンションに住む中学2年生だった
朱音とことばを交わすうちに、悠人は朱音の抱える厳しい状況を知り力になりたいと思うが……
《恋をするって かっこわるいことかもしれない》──帯のコピー
ヤングケアラー[=十八歳未満で、家族の世話や家事をしている子ども]をテーマにした中学生の恋と成長の物語
「手伝いなんて、してないっていったよね」
「…………」
「それって……」
「家事の手伝いじゃなくて、家事なんだよ」
子どもの本からYAまで社会問題をテーマに取り入れ、Twitterでも積極的に発信している濱野京子の最新作、2020年11月刊
『カーネーション』『てのひらに未来』『拝啓パンクスノットデッドさま』などYAの意欲作が並ぶ「くもんの児童文学」から
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ヤングケアラーという、下手をすると白けてしまったり、上滑りしてしまいがちなテーマが、読みやすく上手にまとめられています。
社会問題だけでなく、思春期の恋愛模様や、兄弟間での葛藤など、10代らしいテーマが、軽やかにテンポ良くつづられていて、最後まで興味を持って、集中して読むことができました。
小学校高学年のお子さんをお持ちの方は、ぜひ家族で読んで頂きたい一冊です。
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中三の悠人は、夜の公園をランニングの途中で一人の少女を見かける。心配になった悠人は自宅まで送って行く。隣の中学の二年生・朱音だった。病気の母親に代わって家事をし、年の離れた小学生の妹の世話もしている。夜の公園は、朱音の息抜きの時間だったのだ。
最近新聞で知ったヤングケアラーという言葉。家族の介護をしなければならない十代の若者たちの事を言う。まだ世間に認知度が低く、理解されていない。中学生の家族の悩みをいろいろな角度からとらえ、悠人と朱音をさわやかに応援している。
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またもヤングケアラー。
それぞれ悩みを抱えた中学生の悠人と朱音。その現実から逃れるための場所で出会う。
二人は少しずつ近づいていくがその中で悠人は朱音の家庭環境を知って何とか力になりたいと考えるようになる。
中学生の淡い恋愛物語であり、今世間でも少しずつ認知されつつあるヤングケアラーの物語でもある。
中学生という難しい年ごろだけに簡単に周りに助けを求めることもできないのだろう。
悠人は朱音の問題を通して家族との関係も微妙に変化していく。
関連書籍を読むごとに気になる問題だ。
現実はこの話より厳しい状況が多々あるのだろう。
子どもの貧困問題とも絡んでくることも多いと思う。
私にも何かできるだろうか、と読み終わって思った。
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全体的には面白いがテーマが先立ちすぎ
知識の説明的なところで気持ちが止まる
言葉遣いにも違和感があるところがある。
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中3の悠人が夜の公園で思わず声をかけた女の子。お互い違う学校だと知り、少しずつ誰にも言えない悩みを吐き出せるように。ヤングケアラーをはじめ、さまざまな家庭事情をからめながら進む正統派ラブストーリーでした。
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中学3年生の悠人は、出来のいい兄に比べら、自分の存在意義を見出せない。家にいるのがいやになると、外に走りに行く。そんな夜、上着も着ずに公園のブランコにすわっている少女に気づき、なぜか気になって声をかけた。その少女朱音はひとつ年下で、少しずつ親しくなっていくが、彼女は重い事情を抱えていて…。
ヤングケアラーの問題を正面にすえた物語。少年少女の痛々しさ、清々しさが心に残ります。
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ヤングケアラーについて書かれた恋愛小説。もう少し深みが欲しいところ。これだけしっかりした家庭で、こういう問題が起こるのか、リアリティに欠けるような気がする。
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最近ニュースで耳にするようになった「ヤングケアラー」。そんな立場の中学2年生の朱音と、高校受験を間近に控えた悠人との恋の物語。悠人の心の動きから、朱音の抱える問題の大きさがよく伝わってきます。大人の理解者を得ることの大切さもきちんと描かれていて、中学生におすすめしたい作品です。
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2021年 中学の部 読書感想文課題図書の中の1冊。
両親が別居中で、出来のいい兄を持つ中3の悠人。くも膜下出血の後遺症で麻痺が残り、精神的に不安定な母の介護、小2の妹の世話、そして家事全般を背負う「ヤングケアラー」の朱音。朱音の状況の打開と2人の成長と恋がメインストーリー。
最近よく聞く「ヤングケアラー」問題がストーリーの軸になっていますが、悠人側の家庭内での鬱屈とした悩み、友達とのやりとり、受験、そして朱音との恋愛、それらの要素が「社会問題の提議ぃ!!」っていう硬さを和らげていて、いい意味でハードルが低い。物語として無理なく読めるし、感想文としても掘り下げどころが明確で、大変優秀な課題図書と言えるかと。
兄を贔屓して悠人にはさして期待をしていない母。それはあくまで悠人からの見え方で、本当は兄弟両方をそれぞれの特性に合った柔軟さで愛している母。親の心子知らず。
ふむふむ。しかしこの母が作品上優秀なのは、市役所非常勤職員(福祉関係部署所属)という肩書きをぶん回し、きっちり「ヤングケアラー」問題の方の水先案内人をも務めるという八面六臂っぷり。
かと思えば朱音が家に来て社会福祉の仮面装着時なのに「彼氏の母ちゃんから言われたら痺れる一言ランキング第2位」的どストレートなセリフに悠人と一緒にあたふたするという。
斜めから見ちゃうと、要素多すぎてどれも浅掘り。でも、あくまで児童文学であって、読みやすいがゆえの間口の広さ、その間口から入ってきた若者にとって「ヤングケアラー」について考える上での端緒になると思えば良作ですよね。
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助けたい。支えたい。
気持ちは真実。そう思っていることに間違いはない。
でもどこまでのことができるだろう。どこまでの覚悟があるだろう。
中途半端なその言葉は、余計に相手を傷つける。
しかし、どこまでの覚悟があればその言葉を言う権利があるんだろう。
それでは助けを求めている人の手をおいそれと握ることができなくなる。
正解がないんだ。
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2021年夏の課題図書。
ヤングケアラー→18歳未満で家族の世話や家事をしている子供のこと。
働いている人は介護休暇が制度としてあるが、
子供は介護のために学校を休んでも、ただの欠席。
本人が話したがらないケースが多く、そういう実態があることを知らない人が多い。
中学生の恋愛ストーリーだけど、
ヤングケアラーという言葉を初めて知った。
作者の濱野京子さんも小さい頃に介護をしていたらしい。なるほど。
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ヤングケアラーを題材とした小説、
ケアラーの彼女を見守る、という目線で描かれているので、当事者の苦しさからは ワンクッション分遠くなってしまった。
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2021年の課題図書。
中学生の恋愛物語であると同時に、ヤングケアラーについて取り上げた作品でもあります。
高齢化がすすむ日本では介護について考える機会が増え、支援を受けることができないなかで家族の介護をしている人も多いのだろうと想像します。
身の回りにヤングケアラーがいるかどうか定かではありませんが、見えにくい・また当事者が見せないようにしている、などという事情もあって、なかなか顕在化してこない今の日本の課題なのだろうと思います。
この作品の主人公は「出来のいい兄と比較され、自身の存在意義が良く分からなくなっている、成績中位の次男坊」ですが、彼の抱える家族への複雑な思いや、気づかなかった(表には出されてこなかった)友人たちの抱える悩みや過去、気になる女子との関係性など、中学生にとって魅力がある内容が豊富に含まれているように思います。
YA文学として、完成度が高い作品だと感じましたし、主人公や登場人物の描かれ方は「中学入試の問題文」としても使われやすい作品であるようにも感じました。
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家族の中から自分がいなくなっても何も変わらないんじゃないかと思っている男の子と自分がいなくなれば家族が壊れてしまうと思っている女の子。
ヤングケアラーをテーマにした物語。
大人でも介護や支援が必要な家族がいるとしんどい。ましてや子どもであったら。
今ではなくても、いつか必要になったときに相談するところがあること、まわりで困っている人がいることに気付ける大人になれますように。
胸がぽかぽかする恋のお話でもありました。