足に敷かれた花

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「足に敷かれた花」と「見かけ倒しのお姫さま」の二篇を収録し、全部で300ページ近くある本書。
50ページくらい読み進めても、どんなテンションで物語を楽しめばいいのか分からず困惑しながら読んだ。
これは耽美でエロティックな恋愛物語でいいの！？それともギャグ！？ここ笑うとこ！？舞台設定分からん！！どう解釈すればいいの〜！？
こんなに振り回された小説は初めてだ…笑
でもあまりにも展開の予測が掴めなさすぎて気になって最後まで読んでしまう、不思議な物語。
けれど最後まで何が言いたいのかは結局分からない。
これって、私の読解力不足なんでしょうか？助けて翻訳者さん！！

…ということで訳者さんによる解説の部分。
まず本書の作者であるアーサー・アンズリー・ロナルド・ファーバングは日本であまり知られていない、耽美的な作風を持つ小説家として語られてきたとのこと。
ブクログの紹介文にもあるように、日本海外問わず多くの著名な文豪が影響をこの作家から受けている。
それなのになぜ今まで主な邦訳が無かったのかと言うと、ファーバングの小説が難解極まるから…とのこと。
ネイティブにも読みづらいらしく、あっ、読みにくいのは原文の雰囲気の再現だったんだとなんだかホッとした。
解説でも「読者を相手にしていないかのように主筋とは関係なく登場すら人名や物の名前、オチに繋がるのかと思えば全く繋がらない描写、活躍しない主人公、誰が発話しているか分かりづらいセリフ、仄めかしを含む独特な表現」と収録作について語られている。
いや、マジでその通りでした…本当にこの通りなんです…。この引用部分を読んで、本作についてそう感じたのは私だけではなかったんですねん！とまたもや安心したところ。
しっかし、それにしても強烈な翻訳。
作中に登場する侯爵夫人とかが語尾に「ですん」とか「あはん」とか「〜ですぅ」とか付けた喋り方をしていて、私の中の侯爵夫人のイメージが崩れていく笑。
極め付けはボクっ子で口が悪いお姫様、お姫様と公爵夫人の間の会話で出てくる単語として、「ぴえん」「激おこぷんぷん丸」などなど…ありなのか！？初めて見たなぁ！といろんな意味で300ページずっと新鮮。
とても二十世紀前半にイギリス人が書いた作品とは思えない衝撃。
もはや漫画化を希望(なんで？)。

なんでしょう…物語に感動！とかはあまりなかったけど(個人の感想)、奇妙なクセになる感じがある、つよつよな小説でした。
でも「足に敷かれた花」の最後の数ページ、主人公のラオラの描写にグッと胸がつまり、印象に残った。
カオスな部分が大半ですが、ぜひ読んでみてください。
ちなみに表紙イラストを手掛けたのは、個性的で素敵なボカロ動画などをたくさん作っている頃之助さんによるものとのこと。
この方のイラストや動画大好きなので、この方の装画とは知りませんでしたが、無意識に本書に惹かれた一因になったのかもしれませんね。



最後に備忘録がてら目次を

足に敷かれた花
見かけ倒しのお姫さま
解説