紙の本
2002/03/18夕刊
2002/03/26 22:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年院、刑務所、暴走族、現代演劇など様々な領域で体験的なフィールドワークを試みてきた著者が、自分自身の方法を分析した。言ってみれば己を知るためのフィールドワーク。他者との出会い、現場メモ、聞き取り調査の実際といったことを検証していく入門書でもある。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001
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15年前に発行された名著『フィールドワーク:書を持って街へ出よう』の続編です。こちらで「フィールドワークとは何か」「なぜフィールドワークなのか」が語られているのに対し、本書では「どのようにして実際にフィールドワークを行えば良いのか」が語られています。つまり方法論でありマニュアルです。具体的な調査の進めかたや細かい技法について知るには最適の本でしょう。
でも、実際にフィールドワークをやってみる前に関連の本を読むのにあまり時間を費やしてはいけません。
というようなことも書いてありまして。むむむ。
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フィールドワークに必要な基礎知識とその技法について、初めての人向けに説明しています。
丁寧に書かれているので、取っ掛かりの本としてお勧めです。
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前読んだ(20年前の技法本)のよりさらに具体的。あたりまえだけど。研究は日々進んでゆくのですね。
オーラルヒストリーの時も思ったけど、フィールドワークに必要なスキルを身につければ、超商売上手になれる。目的を常に忘れず、人と人との距離感を忘れず、下準備を怠らず、引き際を忘れず。考えてみれば当たり前のことなんだけど、まぁそんなに上手くいかないもの、だからこんな風にまとめてくれるのは嬉しい。外でやる作業もそうだが、中でやる仮説の検証はかなり骨の折れる作業のようだ。足腰口を使った後は、じっと事務作業、そしてまた足腰口・・・・。社会調査は大変な学問だ。
調査実習は来年からだから、この本の真価が発揮されるのはそれからだろうけど、講義での議論の武器探しにと読んでみた。とにかく方法論の話しかしないので、ってかそれ以外話すこともあまりないだろうけど、知識にハンデがあっては話にならないし。まぁ、次の勝負が楽しみで楽しみで。
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この本も質的研究の解説書である。しかし質的研究に限らず,人文系の研究を目指す人には必ず役に立つ本である。というのはほとんどの研究手引書は,すでに問題がはっきりしている人に対して,どのような手順でその問題を解決していけばよいかを解説しているのに対し,この本は,フィールドの中から問題を発見し,それを問いとして発展させていく過程そのものを解説してくれているからだ。しかも具体例として,自らが行った暴走族や大衆演劇についての調査研究の進行プロセスを,失敗やつまずきも含めて詳細に語ってくれているので読みやすいし,わかりやすい。特に暴走族についての調査は読み物としても十分に面白い。(菅)
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社会科学的な調査手法・質的調査がわかりやすく記述されています。佐藤先生自身がこれまで学んでこられたことに基づいて、どのような視座で調査を行っていくのかが鮮明に描かれている一冊。
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学問における「フィールドワーク」の価値、その具体的な方法および注意点、そして心構えと学習法が平易な文章で鮮やかに描かれている。良著。
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暴走族や現代演劇でエスノグラフィーを実施した佐藤郁哉氏による、フィールドワークの書き方の本。単なる全体の記述で終始するのではなく、そうした記録をどのようにすればアカデミックなものに昇華できるのか、また、適切な仮説や問いを提示できるのか、そのヒントがあった。(第3章の「正しい答え」と「適切な問い」は再読の価値多いにあり)
①根本的に間違っているのは、答えではなくて問いの方である(p86)
調査の失敗は、問題設定を誤っているため、そこから導きだされる答えも間違うことである。学術的に意義のある問題設定を行うために、この点は下記②とともに研究の際には意識して取り組んでいきたい。
②適切な問題設定のために必要なこと(p139)
単なる思いつきを学術的な仮説にするためには、「先行研究ではどこまでわかっているのか?」、「この問題設定の意義は?」など、問題設定とその答え(仮説)を明確にしていくことが必要である。
③形式的な質問とその答え(p228)
面接、サーベイ、インタビューは効率よく質問した項目から聞き出すことができるものの、ある意味で決まりきった答えしか出てこない。普段に近い場所で、自然に話を聞く方が、内容的に濃い話が聞ける。これがエスノグラフィーの利点。
他の本の仮説や問題設定の方法の項目と比較し、この考え方が身につけられるようになりたい。
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インタビューなどでデータを集めても、それをどのように意味のある論文としてまとめることができるか。
戈木クレイグヒル滋子さんのグラウンデッドセオリーアプローチの本を1冊読んだ時には分析の仕方は書いてあったけれど、それを論文としてまとめる方法については書かれていなかったので、そのあたりのヒントが得られれば、とこの本を読むことにした。
この本を買ったのはずいぶん前のことだけれど、ちゃんと全部読んだのは今回が初めて。
佐藤郁哉さんの文は読みやすく、説得力がある。
データを集めたら、こまめに分析しながら文章の形でフィールドノーツをつけていくことが大事、だということ。
「問題を発見し明確な形に整理していくことは問題を解くこと以上に難しい」 84
インタビューではなく、「問わず語り」から知ることのできることも多くあるのだ、ということ
ただ、具体的な分析の仕方はまた別の本を読む必要がありそう。
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研究の仕方を学ぶときに役立つ。フィールドノートの付け方も参考になる。失敗の過程が書かれているのもよかった。
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ザ社会学の人のためのフィールドワークの本だと思った。目的は民俗誌を書くところが、先生の目的。でも読む人それぞれが違う目的を持ったとしてもとても参考になる良書だと思う。フィールドワークに出かけたときにバイブルのように持ち歩き、私が迷ったときに先生の本を引いては、今の行動にどのような意味が有るのかを再確認したりしている。
社会学でフィールドワーク調査をしたい人には必読本。研究方法を学ぶには本当に良い本だと思う。
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著者の実践的ノウハウがぎっしり詰まっているマニュアルとしても有益で、読み物としても面白い。フィールドワークやエスノグラフィーを学ぶ人にとっては必読書。
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ここで紹介される創造手法には、びっくりするくらい興味を惹かれた。フィールドデータから「コーディング」を経て構造を導き出す、という考え方は、初めて知った。
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著者のフィールドワーカーとして長年の試行錯誤の結果が、この本には詰まっているように感じる。
・フィールドワークの心構え/聞き取り方法
・フィールドノーツをいつどこで取るか/書き方
・データの管理や分類手法
など著者の経験談を踏まえて、細やか過ぎるまでに記載されている。0から手取り足とり教えてくれているので、これから民族誌を書きたい人にはとても良い教材になるはずだ。
だが、あえて注意喚起をしておきたい。それは「熱心に調査したい対象やテーマに向き合うことができない人」にはお勧めを出来ないという事だ。例えばどんな人かというと、大学の論文で卒業する為だけに、どんなテーマでも良いから手っ取り早く終わらせたいなど、”調査したい対象やテーマに対して執着がない人”だ。そういった方は、かなりの確率で挫折してしまうと思う。
この本には、フィールドワークで問題定義を何度も磨いて、壊しを繰り返しピカピカの民族誌に仕上げる多くの努力が滲み出ている。なので、それ相当の根性が必要なのだ。根性と探究心があれば、きっとその道しるべになってくれる一冊。
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「フィールドワーク」という調査方法を聞いたことがありますでしょうか。
「エスノグラフィー(民族誌)」の具体的な書き方を知りたい方にとって本書は非常に役立つ一冊になります。
現地社会の事象に参与観察し、見聞きしたことを記録していく「フィールドノーツ」の書き方について、著者が長年取り組んでいる「暴走族」や「現代演劇」の調査事例を踏まえて紹介しています。少年院や暴走族の組織に接触するプロセス、その人たちと仲良くなってヒアリング調査を進めるプロセスなど、小説のように面白く読むことが出来ます。
さらに、調査資料の整理、分析方法から民族誌の執筆まで、技法面の紹介もあります。社会学だけでなく、教育学、心理学など人間活動と関係する分野においても適用できると思います。
(ラーニング・アドバイザー/芸術 LIAO)
▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/1446812