紙の本
性犯罪者は二度と社会に復帰して欲しくないというのが正直な思いです
2008/10/29 06:19
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本でも少女誘拐監禁事件というとても卑劣で悲しい事件が起こっていますが、こちらはベルギーで誘拐監禁をされてしまった当時わずか12歳だった少女の作品です。
まず最初に、21歳となり実名で顔写真を載せてこの本を書かれた著者にただただ感服せざるをえませんでした。
レイプされるというのは女性にとって心を殺されるということです。
体につけられた目に見える傷よりずっと深く、誰も想像することもできない一生引きずってしまうような傷害となります。
そしてそのことを公の場に実名で公開するのは、他人に想像で自分の内面を犯されることのような気がします。
誰もがその場面を想像してしまいませんか?
その想像を基にしてして、「かわいそう、許せない」という感情が生まれてくるのではないでしょうか。
12歳でまだ初潮も迎えていない少女が穴倉に監禁され、何度も犯されてしまう状況。
親から捨てられたという犯人からのマインドコントロール。
腐った食べ物を与えられ、歯を磨くこともオフロに入ることも許されず、自分の排泄物の入ったバケツと一緒に過ごす様子。
あまりにむごい状況が書かれていました。
そんな彼女を支えていたのが「なんとしても殺されたくない強い思い」です。
80日間という長い間、本当に戦い抜いた記録です。
このような事件が起こると、日本では本当にフィーバーのように連日連夜、それこそ被害者の心情など考えずに報道が過熱していきます。
それは外国でも同様だったようで、世間は彼女をほっておいてくれませんでした。
彼女の手記には「忘れてしまいたい」「思い出したくない」という言葉が本当に何度も出てきます。
自分の受けたレイプの様子も思い出したくないからという理由でカットされています。
そんな切に願っている著者の記憶をたたき起こし再度傷つけたのは、実際に監禁もレイプもされたことの無いテレビや雑誌でした。
読んでいただけでも悔しくて怒りがこみ上げてきます。
けれども著者は決して屈することなく、裁判では証言台に立って悪魔のような変質者と再度対面をしています。
同じ女性として自分では決して無理だろうと断言できます。
泣き寝入りになるのでしょうが、戦っていくことより逃げる方がはるかに楽で、世間から身を守るのにはそれが一番だということを、多くの女性は知っていますから。
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...人々の関心をなによりもひきつけたのは、驚異的なサビーヌの不屈の精神だった。死と隣り合わせの絶望の淵に追い込まれても、「今出来る最善のこと」を絶望の周囲に探し出し、生きる望みにつなげていった生へのゆるぎなき執着心は、涙なくして読むことはできない。その並外れた忍耐力は、単なる好奇心を超えて素直な感動を人々の心に呼び起こした。
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著者はベルギーで起きた有名な少女連続誘拐殺人事件
「マルク・デュトルー事件」の被害者です。
淡々と進む語り口の裏に想像するだけでも耐え難い
時間が流れていて、読んでいてつらくなります。
本当に助かってよかった!と思うけど
その後の好機の目にさらされ彼女の受難が続いて
行くのもつらい。
助からなかった8歳の女の子二人の話は
今、8歳の娘がいる私には号泣せずには
読めませんでした。
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ああほんとうに。酷いヤツが酷いのは当然として、なんで無関係な他人ってこんなに酷いことができるんだろう。
こどもが幸せになるためにはあと何人犠牲が必要なんだろう。
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男は6人の少女を誘拐し、
性的虐待のすえ4人を殺害した。
地獄を生き延びた女性による、
渾身の告白。
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タイトルにある事件の被害者が記した、体験録です。
犯人は小心者だけど頭が良く、少女をうまく脅して狭くて息苦しい地下室に閉じ込めます。
被害者の少女はかなり強気でしっかりしていたけれど、犯人に逃げたらもっとひどい奴に捕まって殺されると脅されます。
逃げるチャンスがあっても、その言葉のために途中で止めてしまったり、もどかしい。
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久々に読んだ、虐待された子供の話。
作者がまだお若いようで、事件からそう時間も経過して
いないからか、まだ気持ちの整理がなされていない、怒りの
ままかかれた話という印象を受けた。
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出版社 / 著者からの内容紹介
12歳の朝。通学中の私は、見知らぬ男に誘拐された
監禁生活の実態とその後の人生真実の告白
男は6人の少女を誘拐し、性的虐待のすえ4人を殺害した。地獄を生き延びた女性による、渾身の告白!
「メディアと政界を巻きこみ、世の中を震撼させた少女誘拐事件の渦中に、私はいた。奇跡的に生き延び解放されたあの夏からこれまでずっと、私はかたく口を閉ざしてきた。子供時代を乱暴に奪われた私が望んだのは、普通の女の子に戻ること、それだけだった。しかし世間はそれを許してはくれない」……本文より
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本当に読んで良かった一冊です。
「レイプは魂の殺人」― 全くその通りで、一生を左右し、生涯を侵食するものだと、想像するだけでもわかります。
だけど、魂を殺されてしまった、その後は・・・。
魂は再生できるのか、屈辱の記憶を乗り越えることは本当にできるのか・・・。誰も教えてくれなかった、そのことを、小さな少女(小さかった少女)が教えてくれました。
邦題は、「ここから出して!」というものに変更されてしまっています。
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淡々とかかれているのが、余計に辛さを感じさせる。忘れたいけど、忘れられない、世間が忘れさせてくれないからこそ、このタイトルがついているのだと思った。
監禁事件そのものより、セカンドレイプとも言える、その後の生活を過ごしてきた戦いの日々を思って、涙が出た。
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12歳の朝。通学中の私は、見知らぬ男に誘拐された
監禁生活の実態とその後の人生真実の告白
男は6人の少女を誘拐し、性的虐待のすえ4人を殺害した。地獄を生き延びた女性による、渾身の告白!
「メディアと政界を巻きこみ、世の中を震撼させた少女誘拐事件の渦中に、私はいた。奇跡的に生き延び解放されたあの夏からこれまでずっと、私はかたく口を閉ざしてきた。子供時代を乱暴に奪われた私が望んだのは、普通の女の子に戻ること、それだけだった。しかし世間はそれを許してはくれない」
淡々をした文章なので、あまり悲壮感とかが伝わらなかったのは訳がよくないのかな。
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6人の少女が監禁・暴行され、
そのうち4人までもが殺された
ベルギー至上最悪の凶悪犯罪事件。
その生き残りの少女が、殺人犯と過ごした
80日間の記録を「自ら」綴った衝撃のルポ。
文章はお世辞にもうまいとは言えないし深みもないが、
犯人に脅され、犯され、傷つけられたその体験は
衝撃という言葉で表すにはあまりにも軽すぎる。
ちなみにこの犯人は本犯行の前に強姦で服役しており、
「模範囚」ということで罪を軽減されてシャバに出ていた。
本犯行後、死刑のないベルギーでは「終身刑」になったが、
一度脱獄に成功している。
最近自分の思想もマイルドになって死刑制度廃止にも
理解を感じ始めていたけど、こういう事例を知ってしまうと
何が正しいかなんてまたわからなくなってきますな…
成人した少女はいま、
犯人に何を思っているだろう。
「すべて忘れてしまえるように」
その願いはあまりにも重く、切ない。
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12歳の朝。通学中の私は、見知らぬ男に誘拐された
監禁生活の実態とその後の人生真実の告白
男は6人の少女を誘拐し、性的虐待のすえ4人を殺害した。地獄を生き延びた女性による、渾身の告白!
「メディアと政界を巻きこみ、世の中を震撼させた少女誘拐事件の渦中に、私はいた。
奇跡的に生き延び解放されたあの夏からこれまでずっと、私はかたく口を閉ざしてきた。
子供時代を乱暴に奪われた私が望んだのは、普通の女の子に戻ること、それだけだった。
しかし世間はそれを許してはくれない」……本文より
私が それは辛いってば そっとしておいて ほっておいてあげればいいのに、と思うのは
安心が脅かされたものは自分にとっての安心をとり戻そうと必死だし
声を上げることの困難さは体験が違うけど 理解出来るからだ
声を上げるのはソレを思い出すこと もうあんな体験は2度としたくない
なのに語ることは何度も再体験すること それはどれほどの痛みを伴うのか、リアルに感じた体験があれば イメージが出来る
だけど そんな体験がなければ なにがあったか話しなさい、
あなたには話す義務があるのよと言えるのだろう
「すべて忘れてしまえるように」というのは 忘れる、ということじゃない
逆の意味だって思った
封印することも沈黙することも許してもらえないなら
ソレが過去になるように 記録する、ということだろう
この本を読みながら考えたこと
だからと言って 声を上げた人のみを 称賛するのは 違うって思う
上げない人に対して 泣き寝入り、とか言う人もいるけど
それも違うって思う
当事者ではない人がどうこう言って強制するのは違うよなって思うだけ
だって口を出すだけで その後 なにがあっても
責任取らなくていいんだもん
自分の人生じゃないでしょ・・・?
どういうことかと言うと
もし 「あなたが言ったから こうしたのに」と言われても
「いや最終的に決めたのはあなたじゃないか
私はあなたのためによかれと思って言ったのに
なんでこっちが責められなきゃいけないんだ!」って切れて
とっとと自分の世界に戻ればいいだけだから 何とでも言える
当事者と傍観者の溝は埋まらないのだろうか・・・?!
事件後 声を上げようが上げまいがそれはその人が選択する権利だ
つらい目にあって生還した人が安心できる場があってほしいって思うのだ
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再読。
私はサビーヌではないから、彼女の恐怖や痛みを、完全に理解することはできない。
ただ、推察することしかできない。
そして、推察するだけでも、十分恐ろしく、辛く、おぞましい。
彼女たちが、今、平穏であることを祈るばかりだ。
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サビーヌの精神力の強さに驚愕した。家庭できちんと愛されて育ったんだろうなと思っていたけど後半の方で書かれていた母親との確執のような記述を見てさらに驚いた。この人が生まれ持った力なのだろうか?
同時に、親に捨てられたと信じ込まされても、恨み言を抑え込んで「みんなに会いたい、愛していると伝えたい。」といじらしく手紙に綴っていた描写を読んで、人を物理的に支配下に置いた上で精神までコントロールするのは本当に簡単なことなのだろうと思った。これはなにも被虐待児や年端もいかない子供に対してだけのことではなくて、大人に対しても同じこと。今ニュースになっている、誘拐・監禁された人達、DVを受けている人達に対して「そんなひどいことされていたなら、なんで逃げないの?」という言葉がどれだけ見当違いで無意味で人を傷付けるか、ということを改めて強く思った。
桐野夏生の残虐記はこの本をかなり参考にしたんじゃないかと随所で感じた。