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収録作品一覧
EU世界を読む | 下田尾誠 著 | 1−10 |
---|---|---|
EU統合への経緯 | 長谷川重四郎 著 | 11−32 |
EU統合の将来 | 増田正 著 | 33−56 |
著者紹介
小倉 襄二
- 略歴
- 〈小倉〉1926年生まれ。同志社大学名誉教授。著書に「市民福祉の設計」ほか。
〈有沢〉1939年生まれ。新島学園女子短期大学国際文化学科教授。
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紙の本
いよいよ“欧州の復権”をめざして動き出したEUが,今かかえる諸問題を提示したタイムリーな一書
2001/02/23 00:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:長谷川 公昭 - この投稿者のレビュー一覧を見る
20世紀は,欧州が政治,経済,文化,その他あらゆる部門で,世界の盟主としての地位から転落した時代であった。その主たる原因は2度の世界大戦であるが,その底流にはドイツ,フランス両国の絶えざる確執があった。
欧州が,これ以上の地盤沈下を食い止め,かつての栄光を少しでも取り戻すには,独仏両国の融和と協調が不可欠であるとの認識から生まれた構想がシューマン・プランであり,それにもとづいて設けられたのが欧州6カ国による石炭鉄鋼共同体であった。これを母体に,経済を主体としたEC(欧州共同体)が生まれ,さらにこれが発展して1993年には,新たに政治や社会をも視野に入れたEU(欧州連合)が成立した。 その間,加盟国も増え,現在は15カ国の参加を得て,国際社会での発言力も増した。そのEUの歩みのなかで特筆されるのが,1999年に域内共通の単一通貨,ユーロが登場したことで,それに伴い,域内各国の通貨・金融政策を一元化するための欧州中央銀行の設立も見た。こうして新しい世紀を“欧州復権”の時代にしようとの遠大な目標に向けての布石は打たれたわけで,これからはこれを生かして,いかにして目標を達成していくかがEUにとっての課題となる。
目を世界に転じると,米欧日三極のうち,長らく経済的繁栄を享受してきた米国ではようやく「リセッション」を懸念する言葉が聞かれるようになり,日本も長い不況から脱出する気配がいっこうに感じられないありさまである。そんななかで,第3世界の目も,このところとみに血色のよくなったEUに向けられる局面が多くなった。このような時期に,EUのかかえる多くの問題,特に言語,宗教,社会保障といった分野にまで踏み込んで考察した本書が世に出たことは,欧州史の展開を追っていくうえで,これまでとかく見のがされがちだった部分に光を当てているという点で,一般読書人にも役立つものと考えられる。
(C) ブッククレビュー社 2000