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商品説明
放射線を正しく評価するには、それが人体に与える影響を分子レベルから理解することが必須だ。「放射線の実体」から、生物影響・医学利用・環境放射線・放射線防護・原子力災害までを幅広く解説する。【「TRC MARC」の商品解説】
人の体には修復機構がある。しかしそれは万能ではない。福島の事故から5年を経ても、根拠のない楽観論の一方で過剰な恐怖が語られることがある。放射線を正しく評価するには、それが人体に与える影響を分子レベルから理解することが必須だ。「放射線の実体」から始め、生物影響・医学利用・環境放射線・放射線防護・原子力災害までを幅広く解説。【商品解説】
著者紹介
小松 賢志
- 略歴
- 〈小松賢志〉1949年秋田県生まれ。東北大学大学院医学研究科博士課程修了。京都大学名誉教授。医学博士。京都大学放射線生物研究センター教授、同センター長を歴任。専攻は放射線のDNA修復学。
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紙の本
大学出版会ならでは
2021/10/12 22:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Eternal Kaoru - この投稿者のレビュー一覧を見る
専門書の中には「売れるわけはないが、存在してくれなければ困る」といったタイプの本があります。本書はそういった専門書であり、かつ名著です。明らかに商業ベースでは引き合わないので、このような本は大学出版会が出してくれるのを期待する他ありません。本書の出版に踏み切った京大出版会の見識に敬意を表したいと思います。
本書は放射線基礎医学の本ですから、重点は当然DNA損傷、DNA修復にあります。小松先生の記述は明晰、詳細で、ご自身の研究成果も含め、最新の知見まで紹介して下さっています。特筆すべきは進化の観点からDNA修復機構の起源がきちんと考察されていることで、非常に勉強になります。ドブジャンスキーの指摘する通りNothing in biology makes sense except in the light of evolution.ですから、すべての生命現象は進化の観点から眺めて初めて理解できます。
難点を言えばDNAの模式図が小さすぎてフォローが難しいことで、もう少し図が大きければなお良かったと思います。しかし本質的な瑕疵ではありませんし、本書全体の価値を考えればごく些細な欠点でしかないと言えるでしょう。
放射線基礎医学の教科書は本書出版まで金芳堂の『放射線基礎医学』しかありませんでした。この本も真摯に書かれた良い本ですが、ある領域の教科書が1冊しかないというのはやはり異常事態であって、本書が出版されたことは非常に喜ばしいことです。実際、『放射線基礎医学』に書かれていない興味深い記載が本書には多数あります(例:DNA架橋損傷)。
結論として、放射線基礎医学に限らず、DNA損傷・DNA修復に関する最良の参考書です。