紙の本
身近な問題を考える契機
2018/10/15 13:38
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
公務員制度改革、その多くは組織改革と定員削減という結果に終始しているように思う。改革後の結果についてフィードバックはあるのだろうが、元がよかったからといっても戻れない。特に現業部門と言われる部署の業務は委託化やまるごと一括管理を委託する方式になることもある。自治体業務ではこうした現業部門の仕事は住民生活の健康や安全に直結する重要なものが多い。経費節減のために民間委託化する方向に流れ行くことには慎重さが必要だ。元々労働集約的な業務であり、質の優れた人的資源が枯渇してしまっては元も子もない。一儲けできる業務ではなく、労働者の賃金をいかに安くするか、安い賃金でも働く人材を集められるか、が業者の経営となるからだ。
行政サービスの質を落とさず、財政面でも節減できる方法・システムを常に模索しなければならない。サービスを受ける住民にもその意識を大きく変化させなければならない。たとえば、防災事業は行政側でしっかりとやり過ぎてきてしまったために、行政依存となった住民の防災意識が萎えてしまい、災害被害が激しくなってしまった。自らの防災意識を高めなければ自分の生命財産を守れないことを自覚すべきだろう。同様のことが、清掃事業にも水道事業などにもいえるだろう。
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ゴミから見える街と人
2022/04/23 20:35
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投稿者:hachiroeto - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際に清掃事務所の職員としてごみ収集に従事した研究者による、文字通り地べたからの実践と考察。ゴミから見えてくる、意外すぎる街の姿と、思ったより複雑なごみ収集の現場に驚く。
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「実践から構築する理論」「人情味のある視座」を研究スタンスとする研究者が、自治労の「次世代を担う研究者」に採用され、新宿区の清掃現場で、いち現業職員として9か月間はたらいた体験をもとに書いた本。いまどきこんな体を張った気骨のある学者さんがいるんですね。
自治体では、行政改革の流れの中で定数管理(削減)と委託化が進んできました。とくに清掃などの現業部門に顕著に表れていますが、筆者は、そうした清掃行政の委託化が進んでいる現状に警鐘を鳴らします。そして単なる現場のルポルタージュではなく、今後の清掃職員や清掃部門のあり方への展望を示し、それらを通じて、公共サービスの提供のあり方やそのための行政組織運営に関して広く提言も行っています。
直営の現場の仕事は、過酷な労働環境のなかでのごみの収集のみならず、分別や指定した日や場所、ルールにもとづいてごみを出すよう住民への啓発活動にまで及びます。住民の不当な要求に対しても諍いを避けながらも毅然とした対応で住民の理解を得ようとする職員の姿は感動的でさえあります。
一方で、委託化は限られた予算のなかで業務をこなさなければならず、必然的に人件費にしわ寄せが及びます。ギチギチの業務では、労働者がいくらよい仕事をしたいとおもっても、サービスが低下する傾向にあります。
公務員である職員と委託された民間職員の壁。あるいは職員同士でも事務方と現業職員には壁があると筆者はいいます。仕事に対する思いや生活の苦楽などそれぞれ異なる立場の職員からの聞き取りは、やはり現場のナマの声として読みごたえがあります。筆者は今後も清掃現場との関わりを持ち続けようという構えのようなので、仕事を終わった後に職員さんと一杯やる機会でもあれば、より本音の声が引き出せるのではないでしょうか。
行政サービスに対する住民の満足度を数値化や可視化することは簡単ではないでしょうが、納税者としてはサービスの質は大いに気になるところです。市民としてどういうサービスを選択するのか声を出していくべきだと思いました。
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心意気やよし。だけど、今の世の中、これだと色々大変だろうなあ。20年前とあまり変わっていなくてびっくり。
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「ノンフィクション」というジャンルではなく、
学者が地方自治の実態を知るための手段として
ごみ収集作業員になり、それをレポートした内容
をまとめた本です。
前半はそのルポの内容が非常にリアルで、まさしく
ノンフィクションとしての真骨頂が発揮されて
います。
後半はそれらの業務を一部民間業者へ外部委託
していることによる弊害など、学者目線での提案
が取りまとめられています。
なので、リアルな現場というよりはゴミ収集という
システムをどう考えるべきか、という論調を定義
する一冊です。
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☆大学教員が体験する。
p.47 熱中症対策:塩分補給用のタブレットが区から支給。タブレットの注意書き(塩分補給用のタブレットです。必ず水分も補給してください。※塩分が多く含まれています。塩分コントロールが必要な方はご注意ください。
p.214 現場での配慮が住民の信用を築き、行政全体の信頼感を涵養する。不適正な住民にはお願いベースで真摯に向き合い、ぶれない姿勢を貫くことで後の信用や信頼につながる。
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地方自治・行政の研究者のごみ収集作業の現場体験記。収集作業自体の過酷さ・行政による業務委託の弊害が綴られています。作業員の方を見たら「ありがとう」と言うようにしましょう。あと、ゴミ袋の結び目はしっかり締めましょう。
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前からゴミ収集の仕組みが気になっていたところにタイムリーな本があったので読んだ。
ゴミ収集の実際の現場、現場の人の生の声、労働力供給の仕組み、今後の展望という構成。
学者が書いてるだけあってところどころ小難しいけど読み飛ばして読んでだいたいの仕組みがわかったのでよかった。
ゴミ出し指導の細かさとか住民への配慮がすばらしく、自分のたちのように小難しいことをそれっぽくやってる職種よりよっぽと社会貢献してるよなあと思った。
本の最後のほうでも触れられてるけど、常に地域をまわってる清掃員たちが持ってる情報の潜在的価値がものすごく高そうなので何か出来そう感がある
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飛ばし飛ばし読んだ。ゴミはちゃんと捨てよう。裁判員制度みたいに国民に順番にやらせるってどうかなって思った。
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新宿区の清掃部門で実際に一年弱働いた学者による地方自治(のごく一部)のルポと問題意識の提示。
ゴミ収集は地域住民と密接に関わり、また作業員が差別的な言動を税を払い、サービスを受ける側である住民から受けやすい状況でもある。その中で、業務を一生懸命やり、コミュニケーションも取ろうとする区の清掃員とその業務を紹介。
一方問題意識としては、地方自治の業務は予算制約により委託化が進み、ゴミ収集も委託業者が多くなり、コミュニケーションが清掃員同士、住民とも希薄になり結果としてトラブルを誘発、コストダウンや満足度の向上に繋がっていないのではないかという懸念。
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大人の社会科見学。
ゴミ処理の実務、運営と、外注の状況がわかりやすく説明されている。
職員の意欲、倫理観など綺麗すぎる書き方だと思うけど、実際もここからそんなにかけ離れてもいないんだろう。
作業に関わり町の美化に尽くす人に尊敬の気持ちと、ゴミ処理をちゃんとやらないといけない気持ちが強まった。
みんな、自分の仕事を一生懸命にやってるのかも。
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自治体の仕事というと地域活性化など華々しい分野にスポットライトが当たりがちで、そのような分野では「スーパー公務員」として取り上げられる職員も少なからずいるが、そのような「檜舞台」の裏で住民生活を根本から支えている現場密着の地道な行政分野が存在する。その代表が、清掃行政、すなわち「ごみ収集」であろう。
本書は、行政学者の著者が、「参与観察」という形で実際に新宿区の清掃職員と一緒に9か月にわたってごみ収集の仕事を体験した経験をもとに、自治体の「裏舞台」としての清掃職員がどのような重要な役割を担っているのかを様々な角度から伝えて清掃職員の実態に迫り、そうした役割にもかかわらず清掃行政の委託化が進んでいる現状に警鐘を鳴らし、今後の清掃職員や清掃部門の在り方への展望を示している。
住民に身近でその生活に不可欠な重要な行政分野・職種でありながら、ほとんど日が当たることのない清掃行政・清掃職員を取り上げ、その日々の業務がどのように行われているのか、その地域における役割はどのようなものかが克明に描かれており、行政学系の本として非常に貴重な一冊となっている。まさに著者の9か月の実際の清掃職員としての体験の賜物といえる本である。
現場での機動的な対処や、地域情報の集約など、清掃行政を直営で行うことによる「強み」についても理解を深めることができた。こういった強みは、委託化による人員削減等で失われると、なかなかすぐに復元できるものではなく、安易な委託化には慎重であるべきという著者の主張にも一定共感するところがある。
一方で、現場で深く接したが故に直営の清掃職員を好意的に描きすぎではないかという印象も持った。著者が公務労働者の側に立つ自治労と関係が深いというのも、中立客観性にやや疑念を生じさせる。
また、委託化に慎重であるべきという主張に対しても、直営の職員と委託先の職員との間で職務意識等に実際どの程度の差があるのか、直営と委託とのコストの差は職員の待遇の切り詰めだけの結果なのか(実際に生産性に差はないのか)、委託によるブラックボックス化は、直営であっても管理部門と現場の職員との間で同じ問題が生じているのではないか(ひいては、対策可能なものなのではないか)、といった種々の疑問も持った。その一因として、本書は、ルポタージュ的な定性的な記述がほとんどで、直営と委託を数量的に比較するといった側面に乏しいということも挙げられると思う。
そのような疑問点はあったものの、全体として現場に立脚した有益な地方行政の一般向け研究書であり、その論旨も理解できる部分は多く、行政職員や住民が一読する価値のある本だと感じた。
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私たちが日ごろ、集積所に捨てている各種の「ゴミ」は、午前中にゴミ収集車がやってきて積み込み、処理されています。私たちにとって、このことは当たり前で、日々の生活を送る中で強く意識することはありません。
この、いわば「裏方」であり「影」でもある部分に焦点を当て、実際に収集業務を9か月(夏や冬、それぞれの天候や年末年始などの時季的な変化も含めて)経験してきた筆者による、清掃業務から見る地方自治(現業職員と業務委託のバランスなど)についての論考。
実際にごみを収集している過程については、私たちの生活に必要なことでありながら、私たちが「きづかないように」「意識されないように」努力しながら業務にあたっている職員たちの姿が浮き彫りとなり、面白く読むことができました。
一方で、正規職員(現業職員)の技術力や職業倫理等を高く評価し、その「強み」を活かすことの重要性、また業務委託をすすめることのデメリット(委託の職員の業務の質が低い、ということではなく、専任の職員がいることの重要性の強調)が繰り返し語られる部分が後半には多く、筆者の印象論・感情論であるような主張も少なくなかったように思います。
業務の割り振りや契約様態に関しては、それなりに複雑であることもあり、流して読んでしまった部分もありました。
実際に「現場を見てきた」とはいえ、日々の仕事として従事したわけではなく、あくまで「体験した」という立場から、理想を語っているような印象も受けました。
どちらかというと、現場で長く業務にあたっている職員の体験に基づく話などをもっと読みたかったです。
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研究者が実際に新宿区のごみ収集業務を経験し、それを元に清掃という仕事やその業務委託化、そして地方自治にまで幅広く言及している一冊。
この本が最も興味深いのはおそらく「委託」の話。正直直営と委託の違いがこれまで朧げにしかイメージできなかったけれど、本書を読むとその違いや問題点がすっと入ってくる。
それ以外の所はそれほどインパクトがある訳ではないと思うけれど、委託の部分は必読。
それにしても、清掃に携わる人の懐の深さには驚いた。そしてその優しさにつけこむ住人の何と多いことか。本書は新宿区の経験から作られているので地域的な特殊性もあるのだと思うけれど、直営でなくすことの問題点はおそらく普遍的な話。
一度読むことをオススメします。
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大学の研究者が9ヶ月に渡って新宿区で清掃の現場体験をした結果から地方自治という観点でまとめたレポート。
実際にごみ収集車に乗って体験したり、いっしょに仕事をした人にインタビューした話は説得力がある。
ゴミを出す側がいかに自分勝手なのかわかるし、それがコスト増につながっている。
ただ、文章が論文のようで読みにくい。もうちょっと一般人向けの文章だといいのだけど。