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紙の本
生きながら火に焼かれて (ヴィレッジブックス)
一九七〇年代後半、中東シスヨルダンの小さな村で、ある少女が生きながら火あぶりにされた…恋をして、性交渉を持ったために。重度の火傷を負いながら奇跡的に生き延びた彼女は、本名...
生きながら火に焼かれて (ヴィレッジブックス)
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商品説明
一九七〇年代後半、中東シスヨルダンの小さな村で、ある少女が生きながら火あぶりにされた…恋をして、性交渉を持ったために。重度の火傷を負いながら奇跡的に生き延びた彼女は、本名を明かすことも素顔をさらすこともないまま、この知られざる事実を証言することを決意した。残された命のすべてを賭けて。—これは、遠い過去の話でも、フィクションでもない。今なお虐待と死の危険にさらされている女性たちの、衝撃のノンフィクション!文庫化にあたり、書き下ろし特別原稿「日本の読者のみなさんへ」収録。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
こんな現実があるということ
2008/07/24 01:34
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポムポム - この投稿者のレビュー一覧を見る
今週読んだ本の中で、これはかなり興味深いものでした。
2003年にフランスで刊行されてすぐベストセラーになったノンフィクション。
この本の表紙を飾る、仮面の女性が著者のスアドさんです。
この仮面の女性”スアド”が生まれた村では、女性は日々奴隷のように働き、学校にも行けず、ひたすら男性に服従し、男性と視線を交わしただけで娼婦呼ばわりされます。
結婚前の恋愛・性交渉は家族の恥であり、名誉を汚した娘は死を持って償わねばならず、名誉の為に娘を殺す行為は「名誉の殺人」と言われます。
しかもこの村では、犯人は賞賛されてこそ、非難される事はないのです。
そして、このスアドさんは、17歳の時恋をし、妊娠してしまったことで、家族に頭からガソリンをかけられ、火あぶりにされました。
重度の火傷を負いながら、奇跡的に救出され現在はヨーロッパで第二の人生を歩んでいます。
ちなみに、スアドさんが火あぶりにされたのは1970年代。
現在も、この因習は続いていて、年間6000人以上の少女が、家族の手で殺されているそうです。
世界中の女性にとって、こんな国はあってはならない国だと思いますが、男性にとっても自分の母親や娘に暴力を振るうなんて、考えただけでぞっとする人も少なく無いはず。
憎しみ支配するより、愛する事の方が絶対素晴らしい事だし気持ちいい。
たくさんの人がこの事実を知り、このような悪い因習を立ち切ることができたら・・・という、スアドさんの勇気と祈りが込められた一冊でした。
紙の本
悪しき因習への勇気ある一撃
2015/08/22 03:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
海外小説を読んでいた時期に、目にとまった一冊。
生きながら火あぶり? 魔女…とか?(これまた時代錯誤した連想)
1970年代でも、-100年くらいの生活が残っていた中東シスヨルダンの村に生まれた著者の
少女時代の日常から、この文化との決別のきっかけとなる事件とその後が綴られている。
「女の子だから」教育は受けられず、父や弟の召使いとして家庭で働き、
固い床で姉妹と寝起きしながら早朝から畑仕事・酪農・家事…奴隷である。
家長である父は、小さな失敗を見つけようものなら杖で殴ってこう言う。
「家畜の方がよっぽど役に立つ」。
この村の男たちは、彼女の弟のように姉妹や母に傅かれる事に慣れ過ぎている。
内容案内にある、「恋をして、性交渉を持ったために、火あぶりにされた」。
これだけだと、どうも誤解を招きかねない。
彼女は性に対して興味本位でも不貞でもなく、常識を持たない男尊女卑の青年に
半ば脅され、騙され、裏切られた末に、姉の夫の手によってガソリンと火を放たれた。
女性には意思を持つ権限さえここではなかった。
もちろん、処女でなければ嫁にいけないどころか一家も含め、
人生が終わる事を彼女はよく知っていた。
「俺が嫁にもらってやるって、あとで親父さんに話しつけとくからさ、いいだろ」
こういって逃げるのが、最初から青年の魂胆であった。軽んじるにもほどがある。
しかしながら、男女平等を声高に言うこの国でも同じような人間はまだいると
認めざるを得ないと読みながら思った。 他国でのベストセラーの背景には
同じようなくすぶりの火種が形を変えていくつもあるのではないだろうか。
身内の手で"名誉の殺人"未遂にあった彼女が搬送・入院した先には、
同じ目にあった娘たちが多数いる。
人生でもっとも輝ける時期を踏みにじられた彼女たちの心の苦痛は想像を超える。
最も恐ろしい事は、今もひっそり"名誉の殺人"によって大切な命が燃やされている事。
今できる事は、その事実を勇気ある著者の言葉で知る事。
そして、知らせる事ではないだろうか。「恥」を消すために非道な因習を行うのなら、
自分たちの行いが外部から異常だと否定されることこそ、最も恐れるはずである。