「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
日本留学、日本人伯爵との政略結婚の果てに、心の病を得て「もの言わぬ人」となった朝鮮王朝最後の王女、徳恵翁主。彼女には「詩の天才」と呼ばれた少女時代があった。その「言葉」を追い、新発掘の資料から描破する評伝。【「TRC MARC」の商品解説】
「むくむくむくと
黒い煙が
空の御殿へ上がったら
空の神様けむいので
涙をぼろぼろ流してる」(童詩「雨」)
――詩がたたえるみずみずしい感性、ひとりの人間としての想い。時代の強いた困難を、「文の林」=「言葉」によって乗り越えようとした人――朝鮮王朝最後の王女、徳恵(トッケ)翁主(オンジュ)。
日本の植民地支配下、生まれながらに日本と朝鮮の狭間に生きる運命を強いられ、日本留学、日本人伯爵との政略結婚の果てに、心の病を得て「もの言わぬ人」となった悲劇のプリンセス。
だが彼女には少女の頃、童詩に和歌に才能を発揮し、輝くばかりの言葉の精華を紡ぎ「詩の天才」と呼ばれた時代があった――。
「もの言わぬ人」の「言葉」を追い求め、新発掘の資料から描破するラスト・プリンセスの真実。徳恵翁主評伝の決定版。【商品解説】
目次
- プロローグ
- 第Ⅰ部 朝鮮
- 第1章 徳寿宮の歓び――幼年時代
- 第2章 日本人児童とともに――京城・日出小学校 その1
- 第3章 花開く詩才――京城・日出小学校 その2
- 第4章 朝鮮にこのプリンセスあり――京城・日出小学校 その3
- 第Ⅱ部 日本
- 第5章 異郷につむぐ和歌――東京・女子学習院 その1
- 第6章 別れの数々――東京・女子学習院 その2
著者紹介
多胡 吉郎
- 略歴
- 〈多胡吉郎〉1956年東京生まれ。NHKに入局。ディレクター、プロデューサーを経て、作家。著書に「漱石とホームズのロンドン」「生命の詩人・尹東柱」「韓の国の家族」など。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
知られざる肖像
2021/09/18 22:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本馬恭子の「徳恵姫」が徳恵翁主の童歌や和歌の存在すら触れていないので、この本の著者が執念のように童歌や和歌を探し出す光景は目を見張るものを感じる。著者は「徳恵姫」の問題点は気がついているだろうが、ほとんど触れていない。敢えて書かないのだろう。
また「徳恵姫」は宗正恵の夫の「鈴木N氏」の正確な年齢を明らかに出来なかったのは、著者の親族が知らなかったのだろうか?それとも宗武志は徳恵翁主と離婚してすぐに宗正恵と1つ年上の女性と再婚した事が「外聞が悪い」と判断したのか触れていないように、恋愛結婚の相手がお気に召さなかったのか。「鈴木N氏」が詩人の宗昇らしい事は知っているが、当の本人が生年月日と最終学歴以外は明かさないのでイマイチ確証が持てなかった。この本の著者は本馬恭子が触れていない宗武志の再婚相手に取材しているから、宗正恵の遺骨が発見された時に、おそらくそれほど面識がないはずの宗昇に連絡したので、「記憶のみなわ」に収録されてインターネット上で引用されているブログに全文が掲載されている「手帳」になったのだろう。「手帳」は宗正恵の五十回忌で詠まれたのか?、と思っていたが、聞いた事、見た事を詠んだようだ。
53頁の「李方子の自伝として刊行されたもの」についての記述を読むと、どうやら本田節子の「朝鮮王朝最後の皇太子妃」は読んでいないようだ。この本は昭和63年に出て、文庫化もされているので、平成元年の展覧会で徳恵翁主に関心を持ったのならば書店で新本が買えるだろうに。また昭和53年に出た本から引用するより初出の昭和43年刊の「動乱の中の王妃」を使うべきだ。
権藤四郎介の「李王宮秘史」は彼が旧韓国宮内部に勤務した明治40年から刊行された大正15年までを調べるには必読だが、この本から引用されている「1916年」の「エピソード」ならば寺内正毅は朝鮮総督ではなく内閣総理大臣だ。権藤の間違いまで引きづらなくてもいいのに。金用淑は「朝鮮朝宮中風俗の研究」を書いた時に、そこに気がついたらしく「日本人総督」と曖昧にしている。
ここで権藤が書いている事が大正15年に制定された王公家軌範に結びつくのか、時間が空いている。しかし、新城道彦が「天皇の韓国併合」で書いているように、王公家軌範の条文によって徳恵翁主の身位が確定したという方が正しいと思う。この本の著者は新城道彦の「天皇の韓国併合」と「朝鮮王公族」も読んでいないような気がする。版元からして「朝鮮王公族」は山本七平賞の推薦賞受賞作だから使わないのだろうか?
参考文献目録がないから、本文で言及されている出版物等以外、分からないのが難だ。その上、索引もない。
版元は小説と映画の「徳恵翁主」(映画の邦題は副題で使われている「ラスト・プリンセス」)のフィクション性を批判しているが、「朝鮮朝宮中風俗の研究」で「片目で身長も低く、大変な醜男であったという」と事実に反する中傷めいた肖像画の宗武志が別人のように変わっているところは「徳恵姫」に遡るだろう。まあ張赫宙の「秘苑の花」のように、英親王を調べるにはどうしても使わないといけない小説でもないから本文で触れる必要はないだろうけれど。