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- カテゴリ:一般
- 発売日:2020/03/01
- 出版社: たばこ総合研究センター
- サイズ:26cm/102p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-88065-483-6
紙の本
談 Speak,Talk,and Think no.117(2020) 〈特集〉因果論の戯れ
著者 たばこ総合研究センター (編集),松浦壮 (著),吉田伸夫 (著),大澤真幸 (著)
時間とは、おそらく人間に残された最後の、そして最大の謎。物理学における時間の崩壊が因果論に何をもたらすのかを考える。松浦壮、吉田伸夫、大澤真幸のインタビューを収録。書物の...
談 Speak,Talk,and Think no.117(2020) 〈特集〉因果論の戯れ
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商品説明
時間とは、おそらく人間に残された最後の、そして最大の謎。物理学における時間の崩壊が因果論に何をもたらすのかを考える。松浦壮、吉田伸夫、大澤真幸のインタビューを収録。書物のフィールドワークも掲載する。【「TRC MARC」の商品解説】
no.115より始まったシリーズ企画「虚、擬、戯」の最終回。最新物理学が解く虚、擬、戯の世界だ。
量子力学の世界には、神に比せられる普遍的な観察者は存在しない。であるとすれば、量子力学的な態度のなかには、個別性への関心が支配的であって、普遍性への志向は失われているのか、といえば、事態はまったく逆である。たとえば、量子力学的な観察を通じて、われわれは粒子としての物質を捉えることになる。しかし、われわれはそれがすべてではないことをすでに知っている。つまり、波動としての半面を知っているのである。観察者を通じて、「このX」を捉えた時、われわれは同時に、「このX以上の何か」「このX以外の何か」を直感する。このように、単一性についての体験のなかに常に随伴する、「これですべてではない」「これ以上の何かがある」という残余の感覚をもつ。このことが、普遍性への通路となるのだ、と社会学者・大澤真幸氏は言うのである。
量子力学にあっては、真空でさえも単なる無ではない。真空もまた、「それ以上の何か」であって、そこでは、ゆらぎを通じて物質が出現したり、消滅したりを繰り返している。これと対応することを、われわれは、親しい〈他者〉が亡くなった時に体験する。この部屋には、もう彼/彼女はいない(真空)。ただ、彼/彼女が使っていたシャープペンシルやベッドがある。この時、ますますわれわれは、彼/彼女の現前を感じ取ってしまう。無に対する残余として、〈他者〉の実在をむしろ強く感覚するのだ。
虚、擬、戯とは、ここでいう残余の感覚に他ならない。時間もしくは因果(法則)には、この残余の感覚、すなわち、虚、擬、戯として表出するいわば「このX以上の何か」が漏れ出ているのだ。そして、「このX以上の何か」が漏れ出ていることによって、人間界の秩序は維持されている。「虚、擬、戯」は、その意味で普遍性の通路となっているのである。因果論を凝視する意味も、ここにあるのだ。【商品解説】
目次
- ・〈時間とは何か〉時間は巨大な構造物の一部にすぎない…最新物理学から〈時〉の正体に迫る
- 松浦壮(慶應義塾大学商学部 自然科学研究教育センター教授。専門は、素粒子物理学、超対称性、超弦理論、格子理論)
- たとえとして適切かどうかはわからないと断ったうえで、素粒子物理学が専門の松浦壮氏は、次のように言う。人間は、心臓なら心臓、皮膚なら皮膚というように、からだを構成するさまざまな部分が、それぞれ固有の役割を果たすことで命をつないでいる。その一方でからだをつくるあらゆる細胞は同じDNAを共有している。このDNAは、ひとつの受精卵に由来していて、発生の過程で、その細胞がからだのどこにあるかによって役割が固定される。最初から役割が決まっているわけではない。iPS細胞も、細胞の固定化された役割がリセットされて、あらゆる細胞に分化する能力を取り戻せるという点が注目されたのだ。物理学の最前線では、時間・空間・物質・力のすべてに共通するDNAに、今まさに触れようとしているのであって、このDNAこそが時間の正体なのだ。
- 時間とは何か、という問いの果てに見出したのは、時間が、空間・物質・力を含む巨大な構造物の一部であるという事実である。時間は独立した概念ではなく、時計に代表されるような指標(基準)でもない。時間は、「時空」・「重力」・「量子場」と刻まれた建造物を絶妙につなぐ要石であり、その建造物もさらに巨大な構築物の一部にすぎないのだ。最新物理学が探り出した時間の正体とは。
- ・〈時間は存在しない〉なぜ、〈時の流れは存在しない〉に至ったか…解題『時間は存在しない』
- 吉田伸夫(東海大学と明海大学での勤務を経て、現在、サイエンスライター。専攻は、素粒子論〈量子色力学〉)
著者紹介
たばこ総合研究センター
- 略歴
- 松浦 壮
1974年生まれ。京都大学理学部卒業。同大学で博士号(理学)取得。その後、日本、デンマーク、ポーランドの研究機関を渡り歩く。現在、慶應義塾大学商学部 自然科学研究教育センター教授。専門は、素粒子物理学、超対称性、超弦理論、格子理論。 著書に『時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体』(講談社ブルーバックス、2017)、『宇宙を動かす力は何か 日常から観る物理の話』(新潮新書、2015)、他
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