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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.5
- 出版社: TOTO出版
- サイズ:28cm/142p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-88706-188-9
紙の本
宮脇檀の住宅 1964−2000 (ギャラリー・間叢書)
幅広い活動の中心であった住宅建築に焦点をしぼって作品を紹介。状況が変化するごとに計画された9つの自邸案「自分の住まいを考える」や、建築雑誌誌上で発表された言説などを収録す...
宮脇檀の住宅 1964−2000 (ギャラリー・間叢書)
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商品説明
幅広い活動の中心であった住宅建築に焦点をしぼって作品を紹介。状況が変化するごとに計画された9つの自邸案「自分の住まいを考える」や、建築雑誌誌上で発表された言説などを収録する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
宮脇 檀
- 略歴
- 〈宮脇檀〉1936〜98年。名古屋市生まれ。東京大学大学院建築学科修士課程修了。宮脇檀建築研究室を設立。著書に「父たちよ家へ帰れ」「男と女の家」ほか。
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紙の本
宮脇檀の住宅建築が、美しい写真と図面でよみがえる。スタイリッシュだった宮脇美学がすみずみまで。
2000/07/10 20:49
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投稿者:永江朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
晩年の宮脇檀さんに何度かお目にかかったことがある。白熱灯を使った間接照明の薄暗い部屋で、宮脇さんは脚を組んで寝そべるように座って話した。とてもかっこよかった。できることなら、こんなふうに年齢を重ねたいものだと思った。
話の内容はなかなか過激だった。たとえば、「中古マンションを買うときは、夜、下見をしなさい。蛍光灯の部屋の多いマンションはよしたほうがいい。明るさをありがたがるのは貧乏人だけ。蛍光灯の多いマンションは、将来スラム化する。」なんて。「闇を演出するほうが、快適な空間を作れます」なんていったほうがカドが立たないのに、あえて挑発的で傲慢ないいかたを選ぶ。しかし、宮脇さんがいうと、嫌味がないのが不思議だ。ハンサムでかっこいいからだろうか。98年、宮脇さんは62歳で亡くなった。
宮脇檀さんは最後まで住宅を愛した建築家だった。そして、亡くなるまでたくさんの住宅を設計した。これは有名建築家としては異例のことだ。というのも、設計費は総工費のパーセンテージとして算出されるから、小規模な個人住宅はやればやるほど赤字になる。事実、宮脇さんは「住宅の仕事が増えると、事務所のスタッフが青くなるんだよ」と苦笑していた。それでも住宅を作り続けたのは、住宅が好きだったからだ。
この『宮脇檀の住宅』には、64年の「おにぎりの家」から2000年(つまり宮脇さんの没後)に竣工した「長部・石川邸」までの全住宅が収録されている(ただし、建築専門誌などジャーナリズムに発表されたもの以外はデータのみ)。基本的な構成は、代表作の写真と図面を年代順に並べ、そのあいだに「宮脇檀の言説」として建築専門誌に発表した文章の抜粋が載っている。植田実や中村好文による座談会も収録されている。
魅力的なのはなんといっても各作品の写真だ。宮脇さんはたしかに名エッセイストだったけれども、それでも彼が設計した住宅の美しさやチャーミングさには及ばない。使いやすさとかかっこよさとは別次元の、造形としての美しさ、モノの塊としての迫力が伝わってくる。「松川ボックス」の屋根の勾配や柱と床が作る空間の緊張感、「グリーンボックス#2」の、立方体に円形の窓を穿った人を喰ったような佇まい、「Choi Box」のかわいらしさ。ページを繰るごとに気分が高揚してくる。
宮脇さんがこんなことをいっていた。「大金持ちでも貴族でもない個人が、住宅の設計を建築家に依頼するなんて、ヨーロッパなどではまったく考えられないことなんだよ。でも、それが可能なんだから享受しなくっちゃ」しかし、この本には施主との打ち合わせ回数も載っていて、たとえば「ブルーボックス」などは81回にも及ぶ。家を建てるということは、八百屋で大根を買うようにはいかないのだ。 (bk1ブックナビゲーター:永江朗/フリーライター 2000.7.11)