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- カテゴリ:一般
- 取扱開始日:2015/04/24
- 出版社: 文遊社
- サイズ:19cm/314p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-89257-112-1
- 国内送料無料
紙の本
陰欝な美青年
この眩暈を止めなければ、この無意味な死を―ヴァカンスの倦怠を、不安に一変させる美青年、アランとは誰なのか?グラック初期長篇。【「BOOK」データベースの商品解説】夏を渡る...
陰欝な美青年
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商品説明
この眩暈を止めなければ、この無意味な死を―ヴァカンスの倦怠を、不安に一変させる美青年、アランとは誰なのか?グラック初期長篇。【「BOOK」データベースの商品解説】
夏を渡るために船のように艤装したホテル。そこへ夏の休暇を過しにきた客たち。海辺のヴァカンスにおける無為と倦怠を、ひとりの美青年アランの登場が、不安とおののきに変貌させる。彼は一体何者なのか?〔筑摩書房 1970年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ジュリアン・グラック
- 略歴
- 〈ジュリアン・グラック〉1910〜2007年。フランス生まれ。高校で教鞭をとりながら執筆活動を行い、38年「アルゴールの城にて」を発表。第二次世界大戦で捕虜となり解放される。著書に「森のバルコニー」など。
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紙の本
甘美な波間を漂う物語
2016/10/24 16:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ましろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
それと知っていても、そ知らぬふりをしようとも、どうしたって向かってしまう逃れようもない宿命の影をひたひたと予感させながら、物語が進むのをただただ読むしかなかった。憑かれたように死と近しい者、それにはたと気づいた時には、自分も引き込まれている。そうして、自分の内にある倦怠を意識する以上に見せられる心地になる。止めようもなく、止まるすべもなく、彼はどこまでも彼であり、その淵に立たされ、戻るすべを失くしている。思えば、始まりすら結末を待っていた。眩暈に似た時の訪れは、物語に漂う甘美な死を痛いほど知らしめた。
紙の本
<知>への小説的な試み
2018/10/10 09:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:une femme - この投稿者のレビュー一覧を見る
まるで、知を、小説という形にすることを試みたような作品。また、隙の無い完璧さな構成となっている。
海辺のホテルを舞台に、暗く、不可解な空気のなかで、謎解きをするかのように、物語は進んでいく。けれど、その謎解きは、あからさまに、何かを追及するというより、抽象的なもので常に覆われている。そして、ヴァカンス期が終わり、秋の気配が漂い始めるころ、その抽象性は、登場人物らの孤独と、詩的な描写のなかで、一気に現実味を帯びる。そして、最後に、その謎が解かれるとき、不思議に、読み手も、気持ちが解放されたように、軽くなる。まるで、それが、中心的登場人物の一人、アランの思惑通りのようであっても、決して、不快感は、残らない。
<知>が、小説に、どのように描かれる得るのか、また、非日常になりうるホテルで、その知的実験を、どのように体験し得るのか、そのようなことか試みられているかのようでもある。
独特の知的冒険を、静かに、辿ることのできる小説だった。また、詩的な言葉や、物語の完結の仕方など、とても、完成されていると思った。
(手に入ったら、原書を読んでみたい。)