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- 発売日:2019/11/15
- 出版社: 晩成書房
- サイズ:298ページ
- ISBN:978-4-89380-491-4
紙の本
西京 バックステージ仕込み人 上
著者 陳 彦 (著),菱沼彬晁 (訳)
かつては長安と呼ばれた陝西省の省都・西京(西安)。その劇場の華やかな舞台を支える裏方集団。時間との闘いで最新の照明器材や華麗な舞台装置を現場で仕込むのは、中国では農村から...
西京 バックステージ仕込み人 上
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商品説明
かつては長安と呼ばれた陝西省の省都・西京(西安)。その劇場の華やかな舞台を支える裏方集団。時間との闘いで最新の照明器材や華麗な舞台装置を現場で仕込むのは、中国では農村からの出稼ぎ人たちだ。劇場管理者、演出家、照明家、美術家らの過酷な要求と対峙しつつ、裏方集団をまとめて幕を開けるリーダー・順(シュン)。
舞台以上に劇的でシュールでさえあるその生きざまを描く長編小説。
中国で連続テレビドラマ化決定/2020年春放映開始。【商品解説】
目次
- 目次 西京 バックステージ仕込み人 上
- 日本の読者のみなさまへ……陳 彦
- 西京 バックステージ仕込み人 上
著者紹介
陳 彦
- 略歴
- 1963年6月、陝西省鎮安県生まれ。小説家、劇作家。
劇作は『遅開的●瑰(遅咲きのバラ)』『大樹西遷』『西京故事』など数十作品。
テレビドラマは『大樹小樹』など。[●(攻のへんが王)]
長編小説は『西京故事』『装台(西京 バックステージ仕込み人)』『主角(主役)』など。
受賞は中国文聯・中国劇協の「曹禺戯劇文学賞」と中国文化部の「文華編(劇作)劇賞」に3作品、「国家舞台芸術精品工程・十大精品Top ten productions of the national fine stage arts project」に3作品。
テレビドラマ『大樹小樹』に国家新聞局の「飛天賞」。
『装台(西京 バックステージ仕込み人)』は中国小説学界選考の「2015年度長編小説部門ランキング 第一位」、国家図書学界の「2015年度中国好書・文学芸術部門ランキング第一位、2017年度「呉承恩長編小説賞」。
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紙の本
中国演劇人をテーマにした生命力ある喜劇
2023/04/07 11:05
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:天使のくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国の、どちらかといえば大衆小説というテイスト。莫言や残雪のようなマジックリアリズムではなく。読んでいると、60年代の日本の喜劇映画のようなどたばたとした感触。もっとも、そのわりにはけっこう長い上下二巻なのだけれども。
陳彦は中国の劇作家で小説家。演劇にかかわってきたからこそ、それを支える裏方の人たちをモデルに、この作品を書いたということになる。
主人公の順は、舞台設営の親方。社会的には苦力に近いけれども、演劇に携わっているというプライドくらいはある。もうすぐ50歳。3人目の妻、美しい素芬と結婚したばかり。家には最初の妻との間にできた娘、あまり美しくない菊花がいる。彼女は素芬に嫉妬し、家で乱暴の限りをつくしている。2番目の妻の連れ後で頭のいい韓梅は大学生で離れて暮らしているが、帰郷するとやはり菊花に虐げられる。
順の仕事はいつもつなわたり。無理難題の中をどうにか設営する。けれども、報酬はなかなか理由をつけて支払われない。親方としてみんなにお金を支払わなきゃいけないのに。少ない収入に対し、菊花は父親を虐げるように無駄遣いする。順の兄は働いたことはなく、麻雀でお金を稼ぎ、あるいは莫大な借金をする。そんなものの面倒まで見なきゃいけない順は、それでも実直に生きていこうとする。
とまあ、そんな設定で、次々と主人公が悪い運命に巻き込まれては、どうにか生き延びていくというストーリーだ。順はいつになったら救われるのだろうと思いながら読み進めていくが、どんどん悪くなるばかり。とはいえ、悲劇は喜劇的に描かれている、というのが、喜劇映画的なところ。主人公にとっては不幸でしかないのだけれども。それにしても、順の痔はどんどん悪化していって、自分のお尻まで痛くなる。という意味では、美しい女性と結婚できたことは、順にとって不幸中の幸いかもしれない。
日本と中国では演劇が置かれた状況でずいぶんちがうな、とは思う。役者はけっこう身分が保証されているほうで、そのかわり、小劇場がたくさんある日本とは違うんだろうな、とか、そんなところも感じるところではある。
多分にデフォルメされているのだろうけれども、貧しい社会にあってのバイタリティは強く感じるし、それでお腹いっぱいになったりもする。そんなことも含めて、愛すべき中国のベストセラーなのである。