アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版

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投稿者：オタク。　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ソ連から引き渡されてからラーヴェンスブリュックにいたマルガレーテ・ブーバー－ノイマンの本には娑婆にいる家族と文通を交わし差し入れを受けていたのを読むまで第三帝国の強制収容所はソ連の類似施設のように文通や差し入れが可能だったと知らなかった。この本にある強制収容所に送られたユダヤ人がまだ移送されていない同胞に送った手紙については読んだ事がある。柘植久慶のようなヒトラーの崇拝者がアウシュヴィッツとダッハウの葉書を紹介していたのは「ホロコースト否定論」の一環だとしても知られていない一面を紹介したとは言えるが。
　本当に何故、旧版にあったヘースの写真を新版には収録しなかったのかが分からない。ヘースの回想録にある彼が第一次世界大戦での叙勲歴が紹介されているが第二次世界大戦開戦直後に制定された一級剣付き戦功十字章を佩用したヘースは「ユダヤ人問題の最終的解決」に対する「功績」で貰ったのは一目瞭然なのに。ヘースは規格帽をかぶっているので1943年以降に撮影された写真で芝健介の「武装親衛隊とジェノサイド」などに掲載された彼がヒムラーとのツーショットでは一級剣なし戦功十字章を佩用しているのと見比べれば分かる。
　またアウシュヴィッツではなく解放直後のベルゲン・ベルゼンで撮影された写真（アウシュヴィッツが赤軍に解放されたのは1月なので雪が積もっていたし死体を積んだトラックの前に立たされて映っているフランツ・ヘスラーSS中尉は他の関係者同様アウシュヴィッツに勤務していたが着ている制服に階級章や徽章類はつけていない）や戦後に撮影された映画のスチール写真らしきものが混じっている。