紙の本
わたしもそうだったかもと思わせるエッセイ集
2023/03/22 16:42
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
益田ミリさんは1969年の大阪生まれ。
26歳で上京し、すでに人生の半分近くを東京で過ごしていることになる。
「上京物語」というエッセイには
まだ仕事さえ見つかっていない彼女が
それでもめげることなく、実に豪快に東京での日々を過ごす様子が
描かれている。
益田ミリさんのコミックエッセイの原点がそこにあるように感じた。
また別のエッセイ(「のび太と遊んだ空き地」)には
こんな記述もある。
「東京では標準語で生活しているが、わたしの中にはいつも関西弁のリズムが刻まれている。
(略)とはいえ、わたしは東京も好きだった。」
なんだか、わかる。その気持ち。
このエッセイ集にはそのほかにも
朝日新聞に今でも連載中の「オトナになった女子たちへ」というエッセイの
2019年から2022年5月にかけてのものも収められている。
女子ではないが、
私は益田ミリさんの作品が好きだ。
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投稿者:302 - この投稿者のレビュー一覧を見る
益田ミリさんの作品は、少しだけ気持ちが沈んでいたり心が疲れているとき、または人混みや交通機関内で読むのに最適。
考えすぎずにサラサラ読めるから。
その中で共感や切なさを感じられて、少し楽になれる。
紙の本
サッと読めて、クスッと笑える。心温まるエッセイ
2023/06/30 21:02
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投稿者:みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
益田ミリさんが、上京してから今までの
東京生活を描いたエッセイです。
不動産屋を断られ続けて落ち込みながらも
強面の不動産屋さんに出会い
「どうしてこの街に住みたいの」と聞かれ
「東京の女性が住みたい街ランキングに載ってるぐらいだから、安全だろうと思って…」
と返したミリさん。さすがです。
その言葉から、縁あって、部屋を借りれることになり
最初はゴロゴロしつつ、アルバイトをしたり
出版社に持ち込みに行ったりと
東京色に染まっていきます。
上京に伴い、お父さんから通帳を渡され
「好きなだけ引き出してきたらええ」と言われたのに
全部自分でやりたい、けど父のプライドもある。
と10万円だけ引き出したお話。
上京してから今まで
お父さんがお亡くなりになったり
作中でも書かれていますが、コロナ禍に
「ミウラさんのともだち」を書かれていたりと。
益田ミリさんの作品は、全て東京で書かれているけれど
内容の根底には、幼いころから過ごしてきた
家族との関係があるのだな。と感じました。
(「永遠のおでかけ」も、お父さんとのお話ですし)
どのお話も、クスッと笑えて、サッと読める。
でも心が温かくなるものばかりでした。
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まずは気軽に読める一冊。
個人的にはページの後半の色々な話が面白く思えた。
他に、今まで考えなかった「目から鱗」なネタあり、人の死と心の澱について考えたりすることもあり、様々な話が読みやすく凝縮されてまとめられていた。
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益田ミリさんが好きで、色々と読んでいます。この本は可愛いイラストもところどころありますが、エッセイ集です。一つ一つが短いので、テンポよく読めます。
特に好きだったのが「宵っ張り」。「夜は優しい」というミリさんの言葉が好きです。
また、他の作品でも思うことですが、作品中に出てくる料理やお菓子が食べたくなります。「ポテトサラダが食べたい!」で、ポテトサラダが食べたくなり、ヨーグルトを入れるレシピもやってみたいと思いました。
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大好きなミリさんの新刊、読了♡
他の本を読んでいても必ずや
ミリさんの本を優先してしまう!笑
“無理をしないオトナ”
すごく分かるな〜と思った!
頑張ると無理をするって意味が全然
違うんだな〜てしみじみ思った。
上京してきた時の話も書いてあって
すごく読み応えがあった☺︎!
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上京したての頃と最近の出来事。
さすがに益田ミリさんでも、間はあっという間だったかな。
お父さんの思い出多め。
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上京物語、めっちゃ面白かった。心の機微がとるようにわかって、心も打たれる。
p.21 自分を試してみたい気持ち。家族と離れたくない気持ち。行くか行かぬかずいぶん迷った末に出てきた東京だった。迷ったり選んだりする必要もなくなり、睡魔が来たのかもしれなかった。
p.37 東京駅まで母を送った。母を乗せた新幹線がいってしまうと涙があふれた。次から次から溢れ出た。それは寂しさから来る。涙ではなかった。私を案じて来てくれた人が去っていく状況に関係を持った。涙であり、その証拠に夜にはもうケロリ。
p.95 大人ばかりだった。そして、みんな1人だった。こういう時、子供なら、親が付き添ってくれて、「横になってもいいよ」と膝枕してもらっているところである。しかし、我々大人軍団は、1人うつむいた耐えねばならず、それは耐える練習のようにも思えた。いつの日か自分の人生を終える時、一緒についてきてくれる人は誰もいないのである。
p.105 ところで、私のような「あたふた族」には、相容れぬ1族がいる。「全部結族」だ。その名の通り全部言わないと気がすまない人々である。
p.128 姫野薫子さんのエッセイ集「何がいただくぢゃ!」には、おいしそうな食べ物、いや、食べ合わせがたくさん出てくる。例えば、京銘菓の生八つ橋。ひめのさん曰く、生八つ橋はコーヒーに合うのだそう。和菓子とコーヒーの組み合わせは私も好きだが、ひめのさんは、ここにもう一つ、意外な食材を組み合わせている。それは後ほど発表するとして、意外な組み合わせの「どら焼き」をもらったことがある。記事にブランデーが染み込んだ、大人のどら焼きである。ちょっとやそっとのブランデーじゃない。持つとずしりと重く、液体が絞れそうな位。お酒に弱い。私などは、食べ終わる頃、ほんのり、顔が赤くなったほどである。気にいって、その和菓子屋の近くに用事があるときには、毎度立ち寄っている。冷蔵庫で冷やし、お皿に出してスプーンで食べるのが好みなのだが、こちらもやはりコーヒーに合う。
さて、さて、ひめのさんの生八つ橋。コーヒー(お湯を目で入れた浅煎りキリマンジャロ)、生八つ橋(ニッキ味)、紅玉りんごを交互に飲食するのが合うらしい。嗜好には個人差があるから、ただの紹介とのことだが、試してみたくてうずうずしている。
p.138 宵っ張り
午後10時。夕食を食べ終えたあたりから、私の夜が始まっている感覚がある。宵の口。宵の明星。宵待草。
この美しい日本語シリーズに「宵っ張り」が堂々と入っている、と私は思う。長あるのは仲間がいる証拠。星空の下、カーテンを引いた部屋で自分と同じようにごそごそしている人々の存在に安堵する。
夜は優しい。表出て、たくさんの人に会い、自分を高めよ!なんて急かしてこない。
p.148 小学校の友達のお誕生日会に呼ばれ、その子の家に向かっていたときの高揚感。朝に渡された、手書きの地図を頼りにはじめての路地を進む。その道はやがて「〇〇ちゃん家に行く道」と言う名になるのだった。
p.166 47都道府県すべて度はしたけれど、まだまだ訪れていないところがたくさんある。新潟県の佐渡島にも行きたい。��田県の、男鹿半島にも行きたい。北海道の知床や洞爺湖、広島の鞆の浦、徳島県の阿波の土柱。そうだ、阿波踊りだって見てみたい。
p.169 「わしは老人になったら車の運転を止める」と父はよく言っていた。しかし、いざ自分がその年齢になると次はなかなか車を手放さなかった。そのことで何度か喧嘩もしたが、あれはちょっぴり寂しい思い出になっている。自分の親に対して「もう歳なんだから」と言わねばならない。寂しさ。わが子に「もう年なんだから」などと言われて、悔しかろうと、親の川になって想像する寂しさ。若き日の父が未来の自分宛に注意事項を書いてくれていたら、どんなに助かったか。誰も何も言わなくなると、父は1人で免許の返納に行っていた。
「これまで、たくさん送り迎えしてくれてありがとう」
あの頃の私は、そんなことすら言えなかった。でも、もうしょうがない。人生は前にしか進めず、過去の自分に手紙を出せないのである。
p.180 本の用語
本の洋画、なかなか覚えられず、仕事の打ち合わせをしていても「あれ?文庫って小さいやつだっけ?と考えていたら話が終わっている、なんてこともあったものだ。今はもうわかる。単行本が大きいやつで、文庫本が小さいやつだ。文庫本も出版社によって違いがある。幻冬舎文庫は、他社よりも幅がやや狭く、手のひらにすっと収まるのが特徴だ。ズボンの後ろポケットにも楽々入れられるので、手ぶらで散歩に出て、公園のベンチでちょっと読書、なんて時にもぴったり。新潮文庫にはしおりがある。業界では、このしおりを「スピン」と呼ぶらしい。以前、打ち合わせしていた編集者が、「私、新潮文庫のスピンに憧れてるんです」と言ったのを聞き、笑、他社の分後にはなかったんだっけ?と家の本棚を確認してみれば、スピンがあるのは新潮文庫だけなのである。何度も読み返している村岡花子さん役「赤毛のアン」のスピンの先は、畑みたいにモハモハになっていた。
講談社文庫でびっくりしたことがある。初めて自分の方が講談社文庫に加わる時の事だった。編集者から電話があり、「増田さん、背表紙の色何色にします?」聞かれて驚いた。うんこの背表紙の色に注目したことなんて、人生で1度もなかった。どうやら作者が色を選んで良いらしい。「ちょっとお時間ください」私は自転車で書店に行ってダッシュした。本当だ。いろんな色がある。講談社文庫の店の前で腕組み。せっかくだし(何が?)村上春樹さんと同じ色にしよう!「黄色でお願いします」とメールした。
p.201 寄り道わんこ
犬の種類がわからない。大きくて可愛い、昼位でかわいい、小さくて可愛い、すごく小さくて可愛い。大体そんな感じですれ違っている。
生まれ育ったのが団地だったので、隣近所で犬を飼う家がほぼなかった。なじみがないのはそのせいかもしれないし、単に覚える気がないとも言える。
夕暮れ時、運動がてら、近所を歩いていると、ちょうど犬の散歩の人々と一緒になる。店主がわからずとも、どの犬もそれぞれ味わいがある。子犬と並んで歩くわんこ、やたら先を急ぐワンコ、寄り道ばかりのワンコ。選挙前、張り出した立候補者のポスターを見上げる中サイズのワンコもいた。「どの人にしようかな」まるで投票に行くみたいな���剣な顔。「もういい?帰ろ」飼い主さんは苦笑い。たまに緊張するのが、大きい犬とに小さい犬が遭遇する場面である。どうなるの?彼らが接近するのをハラハラと見守る。飼い主さん達は慣れた様子で、リードの長さを調節しつつ、あれはなんだろう、お尻を書かせる?などなどして和気あいあい。「どうも〜ありがとうございました〜」と別れていく。「今、何歳ですか?」たまに犬を介して、おしゃべりが始まっているのを見ると、良いものだなぁと思いつつも、少しばかり胸がざわつく。もし私が犬を買ったとしよう。散歩に連れて行くとしよう。前方から犬の散歩の人がやってくるとしよう。「触れ合うのめんどくさ」などと思うのは、やはり非常識であるのだろうか…。犬を飼う予定もないのに案じてしまう。私であった。とは言え、よその犬の散歩を見るのは楽しいものだ。たまに苦痛のようなものを履いているおしゃれな犬もいる。
1番好きなのは、飼い主が犬に話しかけながら歩いている時。あんなに優しい声をかけられて、どんなに幸せだろう。こちらまでなんだか幸せになるんだった。
p.206 無理をしたくないと言うのは、ガンバラナイのとはちょっと違う。頑張らないとできない事はあるものだし、頑張る事は時に楽しい。けれども、無理は辛い。無理はいつでも楽しくない。無理をすると言うのは、例えば睡眠時間を削るとか、食事の時間を削るとか、そういうものだけではなく、散歩の時間を削るとか、あるいはぼーっとする時間を削るとか、そういうものを削ることもまた「無理」である。ぶり位してくれてもいいじゃないか。と思うのは、私ではなく他人だった。
私は私張本人なので「無理くらい」と思っている立場ではないのである。自分は今ここにいる。1人だけ。地球に似た星に私と対になっている生物がいたとしても、それは私ではないのだし、私は、地球にいるこの私を大事にしてやれねばならぬ。あれやこれやの苦い経験から、そういうことが少しずつわかってきたのである。
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益田ミリさんのエッセイはどれもおもしろいですが、特にこの本は共感することや、益田ミリさんならではの視点にハッとさせられることが多かったです。あっというまに読み終わってしまいました。疲れた日にも読めて、癒されました。
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(2023/2/26読了)
出産を除いての、人生初の入院時に読んだ。入院のために用意したのではなく、本を持っていた時に、入院することになったのだ。
腹を抱えて笑うこともなく、深い悲しみに暮れることもなく、短い文章でまとまったエッセイ。
合間に少しだけ、益田ミリさんのゆるい挿絵が入ってる。
もし、日常の中で読んでいたら、星はひとつ少なかったかもしれない。
タイトルと同じ章もある。間の怖いあたふた族。
あたふた族同士の会話って疲れるよね。共感。
そして、全部言う族。ニュアンスで察して欲しいことってあるよなぁって思うけど、入院中は全部言う族にならないとね。
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題名ほどあたふたしてない益田ミリさんの日常にほっこり。
小学生の頃の話“ワニの公園”が好き。
ふわっと子供の頃の気持ちが蘇った。
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改めて、益田ミリさんは日常の中で細やかなことから、気になること、幸せに思うことなど切り取るのがお上手だなと思った。
日常にはこんなにも色々な事が溢れているんだなと気付かされる。
今回はコロナ前からコロナ禍までを描いているから余計にそう感じるのかもしれない。
文章中に気になる視点があちこちに散りばめられていた。
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わかる〜 と、ほっこり の連続♡
犬の散歩中、ワンコに向かっておしゃべりしながらお散歩してる人を見ると幸せな気持ちになるの、めっちゃわかる〜
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無理をするとは何か、メガネを壊した(?)クレームのお話、散歩中の出来事、路地裏のネコ。
深いなぁ分かる。テキトーなところにクスッと笑える。独り立ちの苦労ってこんなことがあるのか。とせわしなく読んでいるとあっというまでした。何でもない日常を美化しすぎるでもなく、悲観し過ぎるのでもなく書くところが良い。
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三つの章からなるエッセイ集。
「上京物語」「東京あたふた族」「終電後」
ほんわかっとした温かな親しみを感じさせるエッセイで、敵を作る人じゃないよなって思わせるミリさんの日常がたっぷりと詰まった一冊になっている。
たとえば、上京物語の中の真夜中の事件。
おじさん目がけて、全力で謝るミリさんや上の階の人の騒音に対して、柔らかいことばのメモと一緒にスタバのコーヒー詰め合わせをドアノブに…なんてなかなかできないこと。
東京あたふた族では、マスクと美容院に思わずクスッとする。私もヘアスタイルの写真は持参できないタイプで、思いきったスタイルにはできない…というか手入れの簡単さを優先する。
そして、無理しないオトナに共感。
無理をしたくないというのは、がんばらないのとはちょっと違う。
がんばらないとできないことはあるものだし、がんばることは時に楽しい。
けれども無理はツラい。
無理はいつでも楽しくない。
そう言うミリさんが好きである。