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- カテゴリ:一般
- 発売日:2020/03/10
- 出版社: エトセトラブックス
- サイズ:19cm/357p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-909910-04-2
読割 50
紙の本
彼女の体とその他の断片
著者 カルメン・マリア・マチャド (著),小澤 英実 (訳),小澤 身和子 (訳),岸本 佐知子 (訳),松田 青子 (訳)
【全米批評家協会賞】【シャーリイ・ジャクスン賞】【ラムダ賞(レズビアン文学部門)】首にリボンを巻いている妻の秘密、セックスをリスト化しながら迎える終末、食べられない手術を...
彼女の体とその他の断片
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商品説明
【全米批評家協会賞】【シャーリイ・ジャクスン賞】【ラムダ賞(レズビアン文学部門)】首にリボンを巻いている妻の秘密、セックスをリスト化しながら迎える終末、食べられない手術を受けた体、消えゆく女たちが憑く先は…。身体に新しいことばを与える作家が、クィアでストレンジな女たちを描いた短篇集。【「TRC MARC」の商品解説】
首にリボンを巻いている妻の秘密、
セックスをリストにしながら迎える終末、
食べられない手術を受けた私の体、
消えゆく女たちが憑く先は……。
ニューヨーク・タイムズ「21世紀の小説と読み方を変える、女性作家の15作」、全米批評家協会賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ラムダ賞(レズビアン文学部門)他受賞、いまもっとも注目を浴びる作家を、最高の翻訳家たちが初紹介! 大胆奔放な想像力と緻密なストーリーテーリングで「身体」を書き換える新しい文学、クィアでストレンジな全8篇収録のデビュー短篇集。
「マチャドの言葉は、女たちの記憶と飢え、そして欲望に、ありのままのかたちを与えた」
カレン・ラッセル
「消えゆく女たちと世界の終わり、すべてを手に入れてもなお多くを求める男たちの物語が、飽くなき想像力とたぐいまれな声によって美しく束ねられている」
ロクサーヌ・ゲイ
「巧妙に散りばめられた言葉や断片的な物語が、最終的にパズルのようにはまって大きな物語を作り上げているとわかった時の快感たるやない。訳していると胸が高鳴り、何度も手を止めた。ホラー、SF、リアリズム…ジャンルを越えて描かれる主体性を求める女性の物語は、私たちみんなの物語」
小澤身和子
「マチャドの言葉は、一語一語に肉体がある。だからおとぎ話めいているのに、とても生々しい。見知らぬ女たちの物語が、気づくと自分の物語に連なっている。そこがすばらしく、そして怖い」
岸本佐知子
「人間はいくつもの時間軸とルールを同時に生きている。たとえば、社会の一員としての、愛する人との、自分自身との。時にそれらは相いれず、衝突を起こし、正しさなどどこかに消えてしまう。でも、そうやって交差することでしか生まれない喜びや瞬間もある。マチャドの物語を読むと、その途方もない感覚を思い出す」
松田青子
「『女性や非白人やクィアな人々にとって、書くことはそれじたい政治的なアクティヴィズムだ』とマチャドは言う。そして、政治的であることと芸術的であることは両立する、とも。マチャドの作品は、それをなにより見事に体現しながら『男だけの世界』の景色を書き換えていく」
小澤英実【商品解説】
収録作品一覧
夫の縫い目 | 小澤身和子 訳 | 7−44 |
---|---|---|
リスト | 松田青子 訳 | 45−59 |
母たち | 松田青子 訳 | 61−87 |
著者紹介
カルメン・マリア・マチャド
- 略歴
- 〈カルメン・マリア・マチャド〉1986年フィラデルフィア生まれ。アイオワ・ライターズ・ワークショップへ参加、修士号を取得。ペンシルベニア大学で教える。「彼女の体とその他の断片」でデビュー。
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紙の本
ストレンジでフェミニンでクイア
2023/04/07 11:15
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:天使のくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストレンジでフェミニンでクイアでユーモラスで残酷な短編集。アンジェラ・カーターやケリー・リンクや小川洋子から影響を受け、カレン・ラッセルに支持される、というのはなんかもう、それだけでいいなあ、と。
ざっくりと言ってしまうと、テーマは身体とジェンダーということでいいのかな。「本物の女には体がある」という短編が、そのことをよく示している。この作品の中では、女性の間である種の病気が拡大している。身体が消えていくという症状だ。ほんとうに消えていく。だんだん透明になってなくなっていく。主人公たちレズビアンのカップルもこのことに直面する。そこには、元々この社会において、女性の体なんて最初からいなかったようにしか扱われない、という感覚があるのだろう。そうした悲しみがある。というか、体は当人の物になっていないというか。
「八口食べる」というのは、そもそもスタイルを維持するためにダイエットする、ということをデフォルメした話だ。自分の体であるにもかかわらず、社会が与える価値観にコントロールされている。
セックスは体と不可分だ。さまざまなセックスと性欲の処理がリスト化された「リスト」には、ただあきれてしまう。でもその多様性もまた、世界の1つの断面である。
「とりわけ凶悪」は、心地よいほどの社会に対する皮肉だ。アメリカのテレビドラマ「性犯罪捜査官」の12シーズン272話のタイトルにあらすじをつけただけの作品なのだが、もちろんそれらしく書いているものの、実際の話とはまるでちがう、らしい。主人公のステイブラーとベンソンという二人の捜査官は、クイアな事件に直面するだけじゃなく、BL的に接してみたり、いつのまにか性別が変わっていたり、マチャドのやりたいほうだいにいじられる。性犯罪そのものも問題なのだけれど、それをとりまく社会そのものが多様な性欲を抱えていて、それはそれでいいんだけど、認めろよな、という、そうした意味での凶悪さを指摘している。
マチャド自身もレズビアンで、妻がいる。社会の女性に対するミソジニーってあるけど、とりわけレズビアンにとっては居心地悪いだろうな、と思う。ということでは、最近読んだ、モニック・ウィティッグの「Across the acheron」も同様で、ここではガイドのマナとウィティッグによる地獄めぐりが描かれていたりする。ウィティッグもレズビアンで、フランスからアメリカに移住したのだけれど、ぼくが読んだ英訳はそのパートナーによるものだ。
気付くと女性の生きにくさが描かれた小説ばかり読んでいたな。偶然ではあるのだけど。
紙の本
心地よい混乱。
2020/09/01 17:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人称で語られる。語り手はほぼ女性、付き合う相手は男性だったり、女性だったり。異性であれ、同性であれ、恋に落ち、素敵な性行為をするのに差がない。読んでいる方は、あれ、と語り手を何度か確認する。そして別に好きになるのに性別を確かめなくてもいいじゃないという気になってくる。
規範の中でもがき、逸脱を試みる。そんな彼女たちの物語。