「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
共振する帝国 朝鮮人皇軍兵士と日系人米軍兵士
著者 タカシ・フジタニ (著),板垣 竜太 (訳),中村 理香 (訳),米山 リサ (訳),李 孝徳 (訳)
一見対照的な日米は総力戦下、多人種を統合した「帝国」として相似していく。朝鮮人と日系人をめぐる政策が排除と包摂の間で揺れ動きながら変容する過程、人種化されたマイノリティの...
共振する帝国 朝鮮人皇軍兵士と日系人米軍兵士
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
一見対照的な日米は総力戦下、多人種を統合した「帝国」として相似していく。朝鮮人と日系人をめぐる政策が排除と包摂の間で揺れ動きながら変容する過程、人種化されたマイノリティの経験と表象を描き出した名著。【「TRC MARC」の商品解説】
日本とアメリカ。一見対照的な二つの国は総力戦下、多人種を統合した「帝国」へと変貌するなかで、マイノリティ動員とレイシズムの形態において奇妙な「共振」を見せてゆく。朝鮮人と日系人をめぐる政策が、排除と包摂の間で揺れ動きながら変容しゆく過程、マイノリティの経験と表象をつぶさに描き出し、トランスナショナル・ヒストリーへと結実させた決定的名著が待望の邦訳。【商品解説】
目次
- 日本語版によせて
- まえがき
- 序章 多民族帝国と否認のポリティクス
- 第Ⅰ部 粗野なレイシズムから上品なレイシズムへ
- 第1章 殺す権利、生かす権利——日本人としての朝鮮人
- 第2章 「きわめて有用で、きわめて危険」——生死と人種のグローバル政治
- 第Ⅱ部 アメリカ人としての日本人
著者紹介
タカシ・フジタニ
- 略歴
- 〈T.フジタニ〉トロント大学歴史学部教授兼デイヴィッド・チュウ・アジア太平洋講座教授。著書に「天皇のページェント」がある。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
トンデモ本を後生大事に
2021/11/21 22:15
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
同著者の「天皇のページェント」は読んだ事があるが、あの吉田清治の「証言」を「ここでの私のポイントは、日本の植民地支配下の朝鮮人女性に対して広く見られる一般的イメージー私の見るところ根拠はあるが完全なものではないーに関わっている」と重宝しているので読む気も失せる。王公族の「内鮮結婚」について渡辺みどりの「李方子妃」を「私は本書から事実として問題ないと考えられる箇所をいくつか参照した」とある。この本は引用している書名が間違っている本田節子の「朝鮮王朝最後の皇太子妃」をパクったのか、あたかも本田節子の間違った書名の本が「存在している」かのように扱っている本だ。他にも立原正秋の「剣が崎」を「事実」と見做した金一勉の本や怪しげな田辺海兵団物語を裏を取らずに「事実」としたり「多ければいい」と言わんばかりに「沖縄戦での特攻隊には五機に一機は朝鮮人が搭乗していた」という「朝鮮軍司令部」を鵜呑みにした反面、公安調査庁の調査官が書いたものを下敷きにしているが、実際に朝鮮人の将校が何人いたのか確認していない「皇軍兵士にされた朝鮮人」といったキワモノが目につく。
そもそも第2次世界大戦時の日本軍の朝鮮人将兵とアメリカ軍での日系人とでは、まったく状況が違うので対比出来る対象とは思えない。まだ日本軍でのアイヌ民族とアメリカ軍での先住民ならば分かるけれど。
アメリカ軍での日系人については通り一遍しか知らないから分からないが、軍人となる事が義務づけられた王公族、韓国併合当時に親衛府などに勤務していた旧韓国軍人で帝国陸軍に勤務した人々、この本に少し出て来る憲兵補助員・憲兵補、韓国併合の直前に韓国武官学校が閉校となってから日本の陸幼に編入されて陸士に進学後、任官された朝鮮人将校、朝鮮人に門戸を開いてから陸士に入学したり少年飛行兵となった人々、などなど色々な人々がいるのに「日帝の侵略戦争に狩り出された朝鮮人」だけでは平面的だ。当方が関心があるのは王公族についてや韓国国軍の前史としての日満軍に入隊した朝鮮人なので、この本ではズレるだろうけれど。
北朝鮮の「主張」を鵜呑みにしたのか、実際は陸士の同期の金仁旭少佐なのに戦時下に「金鵄勲章に輝く金部隊長」と礼賛されたので、北朝鮮は金日成伝上、首をすげ替えた金錫源少佐が「金日成の部隊を鎮圧するため大日本帝国軍」の討伐隊の指揮官としている。「山下奉文少将のもとで服務した」とは山下大将が第14方面軍で関わった洪思翊中将と混同しているのか?もっとも彼は平壌兵事部課長だったから平壌学兵事件の公判で傍聴はしただろうが。
こういうテーマなので張赫宙の「岩本志願兵」が出て来るのは当然だろう。この作品は朝鮮人が日本に同化する事を描いているので志願兵訓練所についての「ルポルタージュ」として使っている平成初年の「皇軍兵士にされた朝鮮人」の頃とは違い、復刻される機会に「恵まれた」作品だが、戦後、彼は英王李垠の半生を「日本に同化しようとしても民族意識を捨てる事が出来ない人物」として描いた「秘苑の花」も描いている。渡辺みどりの本には「朝鮮王朝最後の皇太子妃」と同様、出て来ないが、彼女は多分、フジテレビが「秘苑の花」を下敷きにした「虹を架ける王妃」を製作した時に監修に関わるまでは読んでいないだろう。
宗武志が「旧津島藩主の末裔」と同音の対馬なのに誤変換(あるいは誤記)している個所があるので、著者ではなく邦訳者による間違いもある。