紙の本
そもそも
2019/03/31 18:59
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投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
未読であった本作を読もうと思ったのは、池澤夏樹版全集で『サルガッソーの広い海』
を読んだことがきっかけです。つまり、あちらを先に読んでいます。
こちらを先に読んでいたら作品に対して受ける印象はかなり違っていたことでしょう。
本作を読んで『サルガッソー~』を読んでいない方は
是非一度読んでみることをおすすめします。その後でまた本作を読み返す、と・・・
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作者シャーロット・ブロンテは妹たち(メアリとアン)が美しいヒロインを設定した話ばかり書くのが不満でした。「私同様無器量で小柄なヒロインがあなたたちの美しいヒロインに負けない位、興味深い人物になることを見せてあげるわ」と言って生まれたのがジェイン・エアです。見た目がなによ!人間中身が勝負よ!!
鹿児島大学 : いも娘
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今まで読んだ、名文学といわれるものの中で一番よかった、と思いました。
読みやすい翻訳のおかげかもしれないけど。(原文を読んでいないのでよくわからない)
冒頭部分はイギリスらしい、あまりにも陰気な展開で、その日は始終絶望的な気分で過ごすはめになりました。
否応なく「嵐が丘」を思い出してしまいました。
けれど場面もどんどん移行していって、期待や謎が次々に現れるので一気に読めてしまいました。
ドラマチックすぎていかにも作り話というかんじなので、少し醒めるのですが。
全体を通してカトリックの教えがちりばめられているのですが、とくにヘレン・バーンズの言葉にはぐっと来るものがありました。
「本を読むのは、自分の知らない考えを学びたいから」と友人が言っていたのですが、単なるエンタテインメントとしてしか小説を見ていなかったわたしは、今回その楽しみを存分に味わうことができました。
小説を読みながら、時代も国も違うその情景を想像することは、いままで観てきた映画やドラマなんかのおかげでそこまで難しいことではないけれど、それってとても不思議なものです。
100年経ってもジェインはすてき。
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19世紀イギリスの女流作家として知られるブロンテ3姉妹の長女Bronte Charlotteの出世作。
主人公ジェインの生きざまには、現代にも通用する女性の強さを感じる。少しメロドラマ的だけど、ジェインの波瀾万丈な人生の物語は読みごたえがある。
ヒロインが精神的にマッチョ。頭いいし。ロチェスターも、オースティン小説に出てくるような、ハンサム王子様じゃないところに好感をもてた。ジェインとロチェスターの会話のやりとりは面白いんだけど、ちょっと台詞が多すぎると思う。
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<上巻でジェインは様々な危機に直面するが、その克服の仕方に着目すると面白い。彼女はそのほとんどを偶然によって、しかも外からやってくる偶然によって克服している。いずれもが、幸福な克服とはいえない。上巻は、ゲイツヘッドにせよ学校にせよ、大切な友人との別れを伴っていた。
このことの意味は考えるに足る。>
上巻の感想でこう言ったが、下巻もこの仕方の危機の克服に溢れていた。
遺産の受領は言うまでもなく叔父の喪失を伴い、結婚はソーンフィールドにおける邸宅、視力、夫人の喪失と不即不離である。
偶然による危機の克服。人は努力や意志というよりも、天の配剤によって助けられる。しかし、素直に、というわけではない。喪失抜きに、人は前に進むことができない。そう言っているかのようだ。
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自分の考えを直球で相手に投げるジェインは感情的だけど、その一方で穏やかに過ごす術も知っている。どんな状況でも自分がどうあるべきかを考えて自分で決めていく姿はカッコいい。すべてがシンプルで、無駄がない。必要なものが必要な分だけあれば、人はこんなに活動的に生き生きとしていられるんだと思う。
貧しく境遇にも恵まれないなかでも、前向きでいることができることをジェインは教えてくれる。自分のやるべきことを知り実践していたら、嘆いたり不貞腐れたりしている暇なんてない。
ロチェスターとの結婚は、そんなジェインの唯一と言っていい望みだったんだと思う。何が自分の幸せなのかを知るジェインの夢が叶ってよかったなぁ。
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男が視力と片腕を失うことでようやく結婚に至るというのは、歪んだ関係性に見える。ジェインの望んだ自由というものは、自身の能力を十全に発揮できる場のことだと思ったが、それがこういう形で実現したことに違和感を感じざるを得ない。ジェインの望む女性の自由とは男の不自由によって齎されるものなのか…
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ロチェスター屋敷で伏線はいくつもあった。それが露見し、ジェインはさまよう。またも苦難。しかし、最後は胸が高鳴る、見事な大団円。自分で決める女性ジェインの勝利がみなの幸福、勝利にも関係したのだ。
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とにかく地の文ーー語りが良い。油断して意識が語りにふっと吸い込まれて、何ページも何時間も経ってしまったこともあった。途中、3度くらい「このパートナー運の(男運とはいうまい、彼女の果敢な魂に懸けて)なさは何なの!?」と本を置いて溜め息を吐いたものだが。全体は主人公ジェインの、「その自由な魂のほんとうに充ち足りる『愛』」を指向して、大きく波立ちうねりながら進み、その愛に呼応したものの述懐が示すところによって閉じられる。前巻導入部に勝る「美」はない、けれど、ふたりが場所を越えて感応する箇所はまさしく完成されたもので、とても、うつくしい。
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期待せずに読み始めたものの、正月に読み通す。何かの小説の主人公が、続きが気になって仕方なかったと言ってましたが、そんな感じ。
作中人物の感じ方に共感できなかったり、考え方が古い?ときもありますが、それはそれで面白いかも。
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有名すぎる作品をやっと読む。
やはり文学としては妹エミリーによる嵐が丘の方が格があるように思ったけど、こちらはストーリーの起伏が大きくてよりエンターテイメント性があるというか、分かりやすく面白い。解説によると妹たちのエミリーとアンの作品が世に出るきっかけはシャーロットの本作が成功したおかげだというから、その意味でもやっぱり文学上の重要作品。セントジョンのキャラクター付けとか、なかなかこれまで昔の文学作品で見ない感じだけどわかる!という描写だし。他にも稚拙な作品ではただ嫌な俗物と描写されそうなリード夫人とその子どもたちの描き方もすごく冷静で、ある種の同情も持って描かれていたり。
サルガッソーの広い海をはじめ、この作品のスピンオフ?翻案?的な作品を読みたいがために読んだところがあるので、それらを読むのが楽しみ。本作ではロチェスターの前妻が火事で亡くなったことが知らされてから全く彼女に触れずに2人は結婚したところにもやもやしまくったので、特にサルガッソーが楽しみ!
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頑固すぎるのでは、とこちらが当惑させられることも多いジェインだが、それゆえに、自らが求め、納得の上に得た幸せに浴することができるのかもしれない。
最後にはいつも、流されることなく、自らの決断と能力で新たな道を行く姿に、鋭い強さを感じる。
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ジェーンの怒涛の人生を一緒に駆け抜けて、面白かった、ジェーンが好きになった。多くの人に愛されるのが分かる小説。この時代のハッピーエンドは結婚だから、最後はロチェスター氏と結ばれるけれど、それは完全に独立した女性としての彼女の意志で、しかも男は身体も不自由にされているという作者の徹底したジェーンの精神の自由への配慮に感心した。貧しくて不器量で身分が低くても毅然としたジェーンの生き様を見習いたい。
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ジェインは事あるごとに「容姿に恵まれていない」と色んな人から言われるが、そんなにブスだったのʕʘ‿ʘʔそれに「頑固」だとか性格までケチョンケチョンに貶される。
一番腹が立つのが、牧師のセント・ジョンで、彼はジェインの命の恩人ではあるのだけれどジェインのことを「労働するように生まれた人」と言って、愛がないのにジェインと結婚して助手としてインドへの宣教に連れて行こうとした。
セント・ジョンは容姿に恵まれているし、きれいな女の人にもモテるのに、自分の過剰な野心を「神からの使命」と勘違いした人。
かつてお金持ちだったロチェスター様の妻の座を狙っていたミス・イングラムのような人は容姿にも家柄にも恵まれているのに「金の亡者」。これも可哀想。
血筋は悪くないが、孤児となったために、意地悪な親戚の家→貧窮院→ロチェスター家の家庭教師→ムーアハウス、貧しい子供達の学校の先生→ロチェスター家 と巡り歩き、最後に盲目となってしまったロチェスター様と再会し、彼の目となり手となる愛を結ぶシーンは本当に素敵。
四半世紀くらい前に読んで、このシーンに感動して、私の「愛のバイブル」となっていたが、ストーリーは99%忘れていた^_^
「強い女の人のストーリーが好きなんだね」と言われたことがある。うん、はい。確かに強い女の人の話は好き。でも、私が好きなのは「芯が強い人」であって、自分や同胞の権利を求めて、回りを攻撃するタイプの人はキライなんだな。
ジェインは何度か絶望の中、一筋の光を求めて荒野の中を彷徨う。それがジェインの心象風景でもあり、イギリス人の心の原風景でもある(たぶん)ヒースの丘や曇り空なんだなあ。暗いけれど、時々見える晴れ間が美しい。
自分に近しい人だと分かったムーアハウスの住人を喜ばせるために、ムーアハウスを女中と一緒に蜜蝋などでピカピカに磨きあげ、敷物やカーテンを変えて、料理を準備するシーンも好き。「上流階級→教養があって働かない人、働く人→教養がない下層階級の人」という認識のあった当時のイギリス社会の中で、自分の足で歩ける教養を身につけ、ある程度の身分になっても主婦のように働くことにも喜びを見出す、今の働く主婦のようにバランスの良い女性になっていったジェインの成長は気持ちが良かった。
そしてまた、机上の空論ばかり並べたて、貧しいものに対して上から目線であった聖職者に対しても「本当の愛」とは何かということを身を持って突きつけるような心地良さがあった。
今、「多様性」文学がもてはやされているが、「ジェイン・エア」もこの頃のイギリスの中では「多様性」を認めた文学だったのではないだろうか?ブスが幸せになるというだけでもʕʘ‿ʘʔ