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江南の発展
著者 丸橋充拓
ユーラシアを見わたせば,中国は,北は遊牧世界,南は海域世界へと開かれている.第二巻は,長江流域に諸文化が展開する先秦から,モンゴルによる大統一を迎える南宋末までの長いスパ...
江南の発展
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江南の発展 南宋まで (岩波新書 新赤版 シリーズ中国の歴史)
商品説明
ユーラシアを見わたせば,中国は,北は遊牧世界,南は海域世界へと開かれている.第二巻は,長江流域に諸文化が展開する先秦から,モンゴルによる大統一を迎える南宋末までの長いスパンで「海の中国」を通観.中原と対峙・統合を重ねながら,この地域が経済・文化の中心として栄えゆく姿を,社会の重層性にも着目しつつダイナミックに描く.
目次
- いま,中国史をみつめなおすために シリーズ 中国の歴史のねらい(執筆者一同)
- はじめに
- 第一章 「古典国制」の外縁 漢以前
- 一 長江流域の諸文化
- 二 「楚」の血脈
- 三 「古典国制」と対峙する人びと
- 第二章 「古典国制」の継承 六朝から隋唐へ
- 一 南からみる『三国志』
- 二 江南の「中華王朝」
- 三 六朝の貴族たち
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紙の本
一気に
2021/12/06 00:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:健 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に読み終えた。面白かった。この時代の概説書は類書があまりなく、一般向けの書籍としても貴重だと思います。大学での講義を意識して、とても読みやすい構成になっています。
紙の本
江南とそこから広がる水運で繋がる世界の話と共に専制国家と対置する民衆・アウトローの話についても著述
2020/02/20 14:33
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
劉邦は咸陽を落とした際に蕭何を使って秦の統治制度を支える図籍・文書を抑えた。長安のある帝国の西半分は郡県政、東半分は封建制とする現実主義的な郡国制をとったのは、旧六国への配慮だったが、功臣たちを王として処遇した後は、徐々に勢力を削ぎ(狡兎死して走狗煮らる)、劉一族を王に据える。やがてその王たちも封土を減らされ、反発した諸侯は呉楚七国の乱を起こす。アウトローの世界を感じるために副読として水滸伝は欠かせないな、と感じた。中国社会と欧州・日本社会との違いについても述べられていて改めて気付かされるところもあった。『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』(吉川忠夫、志学社)と一緒に読むと興味深い。
紙の本
新しい試み
2020/01/23 10:10
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史書、それも中国史の書籍は星の如くあります。本シリーズは、単にコンパクトで読みやすいだけでなく、歴史の縦と横を考えて構成されているのが良いです。歴史の縦は、時間の流れです。横は空間的(地域的)広がりです。本書は、シリーズ第2巻ですが、宋あるいは南宋(横)がメインでそれに至る歴史(縦)も説明されており分かりやすいです。第1巻の唐の時代などと重なることがありますが、また違った視点で説明されているので、復習にもなります。
紙の本
江南の発展に由来する中国社会構造の独特さ
2020/03/08 17:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国社会の特殊性として一君万民的な社会が未だに続いていること、日本の村落や西洋のギルドのような一定の法治共同体が発達せず社会的流動性が高いこと、従って真の民主主義がないこと、一方人民は個々には極めて逞しく活力に満ちていることが指摘されている。中国の統治は中原から江南に次第に広がるが、実質的な統治権力は地方の郷党にあった。ただ郷党内は利益で結びついており、西洋の教会や日本の天皇のような権威はないからいざと言う時は脆い。その代わりに幇と言う横の繋がりが発達する。こうした中国社会の特殊性を江南を舞台に歴史的に叙述しており大変勉強になった。中国と言う国は一筋縄ではいかない。