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「みんなみんなぼくのともだち」と思えるような学校や地域こそが、本当の意味で幸せな社会なのではないでしょうか。
2011/09/15 22:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
からだが よわくても、ちえが おくれていても、
どんな 子どもでも、みんな おなじ人間。
うつくしい 心をもった人間や。
そして、ぼくの
ともだちや。
だから、ぼく
わるくちをいう ともだちを、
「かわいそうやなあ。」と おもっているんや。
深い慈しみに満ちたこの詞の作者は福井義人君。小学校三年生の時に書きました。義人君は、知能に重い障害を持つ子ども達の施設「止揚学園」で生まれ、学園の子ども達と共に育ちました。学園の創立者である福井達雨氏の長男です。
1980年に出版された本書は、精神年齢推定六か月くらいの園児たちの絵と義人君が小学校三年生のときに書いた日記を組み合わせて作られました。絵本を開くと、学園の子ども達の素朴で力強いイラストにほっとします。そして、義人君の目を通して見た学園の子ども達の精一杯の生きざまに心打たれます。
本書の背景には厳しい障害者差別があります。周囲の大人たちが「アホと遊ぶとアホになる」「悪いことをしたり、勉強ができなかったら止揚学園に入れるぞ」と教えたり、おどしたりしていた時代です。義人君が、算数で5点をとったとき、学校の友達から「おまえは止揚学園で生まれたからアホや、赤ちゃんのオミソ(脳みそ)や」とからかわれます。小学校で友達が遊んでくれず、一人ぼっちになった義人君はとうとう登校拒否をするようになりました。
そんな理不尽な偏見に対して、義人君は「あたまはよわいけど、やさしい心をもっている子どもたちやで」と心の底から訴えています。義人君は決して、障害児を美化することなく、ひとりひとりの命の輝きを真っ直ぐに捉えています。傷つきながら育った義人君の深い洞察力に頭が下がります。
あとがきの「義人の悲しみとは…」で父親である福井達雨氏が、「…その心を育ててくれたのは、止揚学園の重い知恵おくれの子どもであったのだ」と述べています。学校の先生方に、ぜひ、読んでいただきたい。健常な人間の持つ傲慢さに気づかされ、教育の原点に立ち返ることができるのではないでしょうか。日本の社会は知的な障害児・者への関心が薄く、未だに、その理解が進んでいません。社会から隔離されなくては生きていけない重い知恵おくれの子ども達の存在を忘れてはならないと思います。ぜひ、ご家庭で、お子さんと一緒に読んでいただきたい。
義人君のように「みんなみんなぼくのともだち」と思えるような学校や地域こそが、本当の意味で幸せな社会なのではないでしょうか。大胆な絵と洞察力に満ちたことばと、本書には時の流れを経ても古びない魅力があります。本書が読者に愛され、長く読み継がれていくことを願ってやみません。止揚学園の子ども達による『ボスがきた』、『みなみの島へいったんや』とあわせて、お薦めします。