紙の本
自分自身が生きる場所
2006/08/25 21:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生の時、生物の先生が「人間も植物と同じで、良い種と悪い種がある。生まれる前から決められているのだ」と、教育者としては思い切った発言をなさいました。「だが、植物と違って」と先生は続けました。「人間は、育つ環境を自ら選ぶことができる。自分に相応しい生きる場所を見つけ、持って生まれた種を100パーセント開花させることが、人間の責務だ」と。確かに、植物は育つ場所を選ぶことはできません。とても良い種でも苗でも、水のない場所や光のささない場所では、やがては枯れてしまう。
でも、本当に植物は動けないのでしょうか?
「あるきだした小さな木」の主人公の小さな木は、まさに、そんな疑問を持ったのです。本当に木は歩けないのか? みんな絶対に無理だと言うけれど、それは今まで本気で試した木がなかったからではないのか。
小さな木は、自分がその最初の木になろうとします。
小さな木は、最初にはえていた場所に不満があるわけではありませんでした。両親がいて、友達がいる、安全な深い森です。ただ未知なる場所への憧れや、何より人間というものに対する興味で、木は歩き出すのです。小さな町、野原、大金持ちの紳士の庭。なかなか安住の地は見つかりませんでした。
小さな木が求めているものは、自分の居場所と、自由。
表紙で、小さな木が町の広場に立っています。沢山の人に囲まれて楽しそうですが、やはりそこは、木の場所ではありませんでした。物語の最後、小さな木がたどり着いたのは?
チャレンジすること、そして自分が自分らしく生きられる場所の大切さを、そっと教えてくれる、ちょっとお洒落な絵本です。
紙の本
植物になくて人間にあるもの
2016/04/03 06:50
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
花輪莞爾紹介の作品とは意外な気がする。小さな木がよちよち歩く姿はほほえましい。人間にとって大切なことは、自分の居場所を求めることなのだろう。
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一本のちびっこの木が小鳥たちの話に出てくる人間と一緒に暮らしてみたくなり、とうとう歩き出します。いろんな所へ行って根をおろしますが、なかなかいい場所が見つかりません。ある日、一人の金持ちの家に植えられたちびっこの木は、そこの娘さんが好きな人と結ばれるように手助けをします。そして、ちびっこの木もそこを抜け出し、砂漠へと歩いていきます。
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木は歩けっこない、そう決め付けられているけれども、「歩いて外の世界を見てみたい」そう強く願った小さな木は、ついに歩きだします。
そして、いろいろな世界を見、さまざまな人間に出会い、ついに、自分の住みたい場所にたどり着きます。
できると信じれば、なんだって実現可能なこと、求め続ければ必ず自分の居場所が見つかること…易しい文章とカラフルな絵で、そんな力強いメッセージを伝えてくれます。子どもに読んであげたくなる一冊です。
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優しくて素朴だけど、大人が読むとまた違った深みを感じる素敵な物語だなあと思った。挿し絵がとてもおしゃれでかわいい作りの本。自由、独立、愛情の3つを求め、その意味をかんがえ、自分のものとすることが、成長すること、という訳者のことばも良かった。1、2年生にも薦めたい1冊。
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小さい頃に読んで、深く印象に残っていた絵本。
小さな木は、パパとママの近くに生えていることに幸せを感じていました。ある日、人間に興味を持ち、根っこを使って歩き出します。色々な場所で、色々なことを見聞きし、人の役に立つことに喜びを感じる大きな木に成長する。あとがきにもあるように、それはまるで子供が大人に成長するのを見ているよう。
異国を感じさせる挿絵は、今見ても素敵です。息子は大きくなった木を見て、「きれい」「砂漠についてよかったね」と言いました。
(読んだ時期:4歳9ヶ月)
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木が歩くというお話を、楽しくあらわしています。
自由、平等、友愛という視点で読み直すと、自由、平等、友愛というフランスの三色旗に現されている考えを示してくれるようなお話です。
絵も、きれいで、読み進んでいくうちに、木が歩くことが不思議ではなく感じられます。
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フランスの童話。
絵がとにかくチャーミング。プラス、小さな木が思うがままにひょこひょこ歩く姿がかわいいのと、ひょうひょうとしてる様子が心地よい。読んだ後に、さわやかな風が吹いたような気持ちに。
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木が歩き出す様がユーモラス。
カラフルな色使いはフランスっぽい。
とにかく世界を見たいと歩き続け、その内に、根を張り、気づけば大人だったというのは、人生のようだ。
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大きくなる、成長するって、ワクワクすることなんだ。誰だって。いつからだって。やさしいきもちを忘れずに、まだまだ良き日々を送りたい。そんなことを、大人のわたしだって、この美しい本で感じられた。
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とにかくシルビーセリグの絵に惹かれる!!!
シンプルながら模様のいれ方に絵を書きたくさせる魅力あり!
映画にできるのでは…?
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キラキラ読書クラブ掲載本。
フランスの童話。
初版は1969年。
シンプルだけど、内容は今でも通用する「自由、独立、愛情」を求めるもの。
「『木はあるけないじゃないか。』
でも ほんとうに
木は あるけないかしら。
それは、いままで、
ためしに あるこうとした 木が、
一本も なかったからです。
ほんとうに いっしょうけんめいに
あるこうと おもった 木が
一本も なかったからです。」
カラフルなイラストも見ているだけで勇気を与えられる気がします。
短いし、ほとんどひらがなで書かれていますが、
年少児限定ではなく、いくつになってもお勧め。
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絵がおっしゃれー。人間と一緒に暮らしたいとなんとか土から出て森からぬけだし歩き始めた小さな木。さまざまな人間に出会ってさまざまな経験をして成長し居場所を見つける。親の側の心地いい森にいることより何があるかはわからないが好奇心と行動力で自分の道をいった小さな木。自立。動き出さなきゃ見えないものがあった。これが私の生きる道ってな。自由と独立と愛情。ここではないどこか、自分のいるべき場所、納得の生き方。自分で考えること、自分で動くことね。
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小さい頃に読んだことがある本。
大人になってから読むと置かれた場所で咲くのではなく咲ける場所を自分から探しに行くことの大切さを教えてくれた。
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森の中の小さな木は、人間といっしょに暮らしたい。
からだをゆすって、根っこを抜いた。
そして、ゆっくり歩きだしたよ。
(『キラキラ子どもブックガイド』玉川大学出版部 より)
絵もストーリーも味があって良い。
自由に世界を見て回りたいと思った小さな木が、
にょこっにょこっと地面から根っこを引き出して歩き出す。
そばにいるパパとママの木に別れを告げて旅に出る。
いろんな場所を見て、いろんな物に出会い、時間をかけて自分の居場所を見つけ、大きい木に成長する。
元気をもらう、さわやかな本。こんな感じでひょいひょいっと私たちも自分の目でいろんなものを見ていこう。