紙の本
炎に灼かれて
2016/12/09 15:58
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「蒼路の旅人」から登場のヒュウゴの生はまるで炎に追い立てられて手探りで逃げ場を探しているような苦しみに満ちていた。そんな彼がリュアン父娘らと出会い自らが進む道を選択していく様は非常に読み応えがあった。彼が選びとった道は楽ではない。やはり炎が燃え盛っている道だが 彼の後に続く人たちが少しでも灼かれずに済むなら 迷う事無く突き進んで行くのだろう。正直 これで彼らと別れなくてはならないのは残念。
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番外編も引き込まれます。
2016/10/12 00:04
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投稿者:eri - この投稿者のレビュー一覧を見る
二つの番外編、どちらも切ないものがありました。著者はもうこれ以上この世界を描くつもりはないと思いますが、ジグロ視点の物語もあればいいのにな、と思いました。
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ヒュウゴとバルサと__。それぞれの少年期
2012/03/05 06:57
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投稿者:asura - この投稿者のレビュー一覧を見る
[炎路の旅人]
新ヨゴ皇国の若き王子を攫ったタルシュ帝国ラウル王子の密偵<鷹(ターク)>ヒュウゴ。何故家族を殺し故国を征服した国の兵となったのか。少年時代のヒュウゴが鷹となるまでの物語。
[十五の我には]
自分のためにジグロが何を失い過酷で理不尽な運命を負ったかを思い、世話をかけることが苦痛だった15歳のバルサ。三十を過ぎたバルサが昔の自分とは違う目で若き日を振り返る。
「炎路の旅人」は長らく存在は知られながら世に出ていませんでした。「蒼路の旅人」より先に誕生したにも関わらず本編の脇役であるヒュウゴを主人公で読めばタルシュに抗うチャグムへの感情移入が薄れることを配慮して見送られたもの。十五のバルサと抱き合わせることで出版されました。
蒼路~「天と地の守人」を読んだときヒュウゴは新ヨゴを侵略させまいと枝国になる道を示し、別の行動をとったチャグムに期待する複雑な人物でしたがその意志が炎路から繋がっていたと納得できます。
「闇の守人」でバルサはカンバルの地の底でジグロと過ごした痛みと苦しみを吐き出します。ですがシリーズを通してバルサが思うジグロはいつも温かいです。
「蒼路の旅人」で15歳の成人ノ儀を迎えたチャグム。ヒュウゴは生き延びたたのが12、13歳で人生の選択をした2年後はおよそ15歳。年齢も立場も違う3人を同じ歳の少年として読むことができます。
本編の流れに比べるとボリュームは少ないですがシリーズの補完として読むことをお勧めします。
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『蒼路の旅人』でチャグムをさらったタルシュの鷹アラユタン=ヒュウゴ。ヒュウゴはなぜ、自分の祖国を滅ぼした男に仕えることになったのか。そして、バルサは、過酷な日々の中で、思春期をどう乗りこえていったのか。題名のみ知られていた幻の作品「炎路の旅人」と、バルサの少女時代の断片「十五の我には」が収められた、「守り人」読者待望の作品集。
ああ、やっぱり上橋先生の世界が好きだなと思う。『獣の奏者』がお気に入りだけれど、出会った作品全ての根底に流れる、決して甘くはないけれど温かい言葉の数々にじーんとする。感情の揺れが、読んでいてまるで当事者のようにリアルに感じられる筆致には驚かされます。この人にしか書けない価値があると思う。守り人・旅人シリーズのときは気にも留めなかったヒュウゴの人生はなるほど・・・と思いつつ、いまだに彼の心の中にいる人の重み、人と人とのつながりの強さに震えました。どんな人生にしても、人との関係は大切。バルサに父として慕えるジグロの存在があって本当に良かったです。
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『蒼路の旅人』でチャグムをさらったタルシュの鷹アラユタン・ヒュウゴ。ヒュウゴはなぜ、自分の祖国を滅ぼした男に仕えることになったのか。そして、バルサは、過酷な日々の中で、思春期をどう乗りこえていったのか。題名のみ知られていた幻の作品「炎路の旅人」と、バルサの少女時代の断片「十五の我には」が収められた、「守り人」読者待望の作品集(「BOOK」データベースより)
ヒュウゴってえらく格好良かったんだよなー(『蒼路の旅人』を思い出して、しばしぽわわんとヒュウゴの雄姿に思いを馳せる)。
少女バルサのおかげで「炎路の旅人」が一冊の本に納まることができてよかったよかった。
少年ヒュウゴが、大きなものに飲まれ同化するまいと、自分の住む世界の小ささを認めてそこから旅立っていく姿に惚れ直してしまいました。
「十五の我には」も、少女バルサの、早く自分の足で立ちたいというあせりがよく伝わってきましたね~。
それをドウドウと抑え諭すジグロさん、さすがです。
十五の我には 見えざりし、弓のゆがみと 矢のゆがみ、
二十(はたち)の我の この目には、なんなく見える ふしぎさよ
歯噛みし、迷い、うちふるえ、暗い夜道を歩きおる、あの日の我に会えるなら、
五年の月日のふしぎさを、十五の我に、語りたや
ジグロが呟くこの詩もいいな。
ジグロから与えられた手の温かさを、自分も伝えることができただろうか。
十五の自分に会えたなら、自分はその耳になんとささやくだろうか。
自分自身に問いを投げかけるバルサの胸の内に、思わず共感してしまうワタクシなのでした。
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本編でヒュウゴが大好きだったので、待ちに待ったお話でした。
この物語を何度も読み返してまた改めて本編を読み直すと、ヒュウゴの行動や想い、南の国々の状況なども感慨深くなります。
また、新たに幼いバルサの話が追加され、彼女の成長過程が垣間見れる内容(プラスかっこいいジグロ)にニヤニヤ( ´∀`)
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図書館で借りられるのを楽しみにしてたので、一気に読みました。
ヒュウゴの歩んできた道を想うと、もうなんかすごいなあって。ほかの武人たちよりも一番国を愛しているのがひしひしと伝わってきました。
バルサの短編に出てきた詩にはなぜかすっごく共感できました!
もう一回守り人シリーズ読みなおそうっと。
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待ちに待った守り人シリーズの新作。蒼路の旅人、天と地の守り人が生まれたきっかけにこの物語があったんですね。ヒュウゴは数ある脇役の中でも気になっていたキャラだったので、彼の過去の物語は興味深いものだった。高貴な家柄の暮らしを突然奪われ、鬱屈した思いを抱えながら下街で生きる少年時代。本編でのヒュウゴの思いや言動を思い出し、この少年時代がヒュウゴの生き方を決めたのだと納得。蒼路でヒュウゴが思い出したナユグに心惹かれる懐かしい人、リュアン。ラストで彼女があちら側の世界の流れが変わったと言い、指差したのは北。チャグムが精霊の卵を宿す最初の物語につながった気がして感銘を受けました。一方もう一つの短編はジグロへの負い目を感じる15才のバルサの話。この頃のバルサはまだまだ失敗もするし、半人前。ヒュウゴもバルサも苦悩や葛藤の果てに成長した今がある。チャグムも大人になった時に二人のように昔を回想するのだろうか。チャグムのその後の物語も読みたいなあ。
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守人シリーズ6作目『蒼路の旅人』から登場したヒュウゴの若かりし日の中編『炎路の旅人』と十五の頃のバルサを描いた掌編『十五の我には』が収められた作品集。
ヒュウゴの過去に起こった話を読むにつけ、上橋さんの創る世界に生きる人々にはちゃんと一人一人の物語があるのだな、と、そんな当たり前のことを深く感じ入りました。
ヒュウゴを愛しているので、この話を世に出したかった、と、あとがきで書かれてましたが、本当に、世に出してくれてありがとうございました!と言いたい気持ちでいっぱいです。
『十五の我には』では、ジグロのバルサへの愛情がはしばしで感じられて、読みながらにやにやにこにこしっぱなしでした。
これだけ愛情を注がれていたのに、バルサ本人には気づいてもらえなかったとは…なんとも不器用な父娘です。
話の最後でジグロが「おまえに会えれば、タンダも喜ぶだろう。」とバルサに言いましたが、本当はタンダに会えばバルサが喜ぶだろうと考えて言った言葉だったんだろうなぁ…と思えば、実にほほえましい限りです。
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ヒュウゴの物語と、バルサの物語。ごく短い邂逅はあったが二人の人生は物語の中では重ならなかった。しかしこの二人の過去の奇妙な相似こそがチャグムとの縁を呼び寄せたのだと、この本を読んで納得。
どちらもが過去のある一点から更に過去を振り返るという組み立て。ヒュウゴはチャグムと別れた船上で、自分の幼い日を振り返る。バルサもやはりチャグムと別れた庵で、自分の若き日を振り返る。
読んでいるこちらはその先の物語も知っているのだけど、「人は未来へ進むもうとする時、過去を振り返って自分の足跡が曲がっていないかどうか確かめるのだ」としみじみと思う。
《王の楯》の息子ヒュウゴと、《王の槍》だったジグロの養い子バルサ。二人が権力と民衆のはざまで採る道はそれぞれ異なるが、運命に頭を振り上げて流されまいとしてきた二人の過去に泣けた。
以下蛇足。ヒュウゴの物語に出てくるあの人はヒュウゴがチャグムに語った人とは別人なのか、書き直して設定が変わったのか、『蒼路~』のヒュウゴの話から想像していたのとはちょっと印象が違った。
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守り人シリーズの、蒼路の旅人からのスピンアウト。
己の国を滅ぼした国のために働くヒュウゴは、何を思い、どうしてそうなったのか。
15歳のころ、まだまだとんがっていたころのバルサはどう生きていたのか。
読後、思わず蒼路の旅人から天と地の守り人まで読み返してしまいました。また守り人の世界観や登場人物たちの気持ちに、一段と入り込めて読めました。
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2部構成になっています。1部はタルシュの密偵ヒュウゴのお話。ヨゴ人でありながらなぜ敵国タルシュの密偵になったのか、一番肝となった時期の話です。2部はバルサが思春期になった頃のバルサと彼女を見守る養父ジグロの物語。私はやっぱりバルサとジグロの物語に思い入れが大きいので、短い物語だけれどそっちのほうに引っ張られます。
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(No.12-10) 守り人シリーズ外伝です。中編「炎路の旅人」と短編「十五の我には」の2編。
やっと出会えました!少年ヒュウゴに。
守り人に登場する人たちは、どの国のどの陣営の人も薄っぺらな感じがしません。背景がきちんと書き込まれているので、生きている人みたいに思えるのです。
タルシュのヒュウゴは断片的にしか過去のことが分かりませんでした。それでもとても魅力があって、彼のことが知りたいとずっと思ってました。
なんとすでに書いたのに諸般の事情でお蔵入りになったと知って、なんてもったいない~と叫んだのは私だけではなかったでしょう。
物語の全体の姿が見えたためヒュウゴの話を途中で出せなくなり、そのまま完結してしまった守り人シリーズ。
今回書き直して、バルサの短編と一緒に本にしてくださって作者様、出版者様ありがとう!
この二編はただ一緒に抱き合わせたわけではなく二編で一つの意味を持っていて、それも嬉しい。
読み終わって、これ一冊でもひとつの物語として読めるし、守り人シリーズを読んでない人に勧めても良いんじゃない?と一度は思いました。
でも上橋さんのあとがきを読んで、やっぱりこの本は本編を全部読んでから読むべきなんだろうと考え直しました。
だから内容は特に紹介しません。
読む前からというより買う前から期待してしまって、自分の期待が高すぎることを心配していましたが、満足しました。
読めて幸せです。残念だったことは一冊をたちまち読み終えてしまったこと。もっともっとこの世界にいたかったのに・・・・。
感動しました。
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ヒュウゴの昔話とバルサ15歳の話。
さっくり世界観にひきつけられる。武人のプライドは高いんだろうなー。
児童文学ではあるのだろうけど、その枠を越えて考えさせてくれる。
人としての生き方、国家のあり方に内情。人の優しさ。
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守り人シリーズは、相変わらず素晴らしい世界観でした。
満足。非常に満足。
久しぶりに読了後すぐに再読開始。
出会えてうれしかった一冊。