紙の本
タイムファンタジーです
2002/06/17 12:58
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投稿者:オオトリさま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロンドンに再建築されたグローブ座で「真夏の夜の夢」を演じる為にアメリカからやってきた少年シェークスピア劇団のナットがある朝目覚めるとそこは16世紀のロンドンだった。彼は同じナットと呼ばれる少年と間違えられたまま、シェイクスピアと共演する夢のような日々がはじまる。16世紀にも慣れ、シェイクスピアと離れがたい思いを抱いた頃ある朝目覚めてみると現代に戻っていた。がっかりした主人公だが、何故時を超えてしまったかの謎解きの過程で自らの過去の傷を真に乗り越え癒していくことになる。
エリザベス朝の風俗や習慣がわかりやすく書かれている。シェイクスピア当時の演劇の様子などは興味深い。
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タイムスリップ
2018/10/26 18:58
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
真夏の夜の夢でパック役をする少年ナットが過去へタイムスリップ。シェイクスピアと共演したりでわくわくした。
当時の様子が描かれていてよかった。
演劇も好きだし。
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詩を歌い、セリフを語る楽しみ
2002/11/04 21:50
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投稿者:うみひこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
もし、あなたが一度でも舞台に立ったことがあるならば(学芸会でも何でもいい)、あの瞬間のことを覚えているに違いない。自分ではない何かになり、自分ではない誰かが作ったセリフを観客に向かって語りだしたとき、自分がまるで別の人物に成り代わって他人に見られている事を知る。別の世界が、あなたの前に開けている。そう、あなたが役者となって舞台に立った瞬間、既に世界の方が変わっている。
この物語の主人公ナットは、役者になりたいと願う少年だ。地元の劇団で大人たちに混じって舞台に立ったこともある。イギリスへ行く少年劇団のオーディションに受かり稽古中だ。やがてはニューヨークの演劇学校へはいることを夢見ている。トンボを切るのが得意なナットは、身軽に跳ねまわる妖精『真夏の夜の夢』のパックの役をイギリスのグローブ座で演じることになっている。
自分ではない何かになって、この世ならぬ世界に常にいたいと願うこの少年を、物語はいきなり16世紀末にタイムスリップさせ、シェイクスピアの劇団に送りつけてしまう。何とかして16世紀の少年になりきって、パックを演じようとするナットの心の秘密の扉を、座付き作家にして俳優のシェイクスピアが優しく開く。シェイクスピアと共に自由に舞台の上を飛び回りこの世ならぬ妖精になり、真の俳優になる。心の枷をはずし、16世紀の舞台を演じきったナットは、このままここで、シェイクスピアの傍でと切に願うのだ。
だが、彼は又いきなり現代に戻されて、現代の芝居を演じなくてはならなくなる。混乱するナットに、そこである壮大な謎解きが示されるのだ。だが、そんなSF的解明より、物語の中に充満している『真夏の夜の夢』のセリフとソネットを楽しもう。あなたが軽やかなパックとなり、舞台の上で軽妙な受け答えをし、鮮やかなトンボを切って消え去っていく。そう、ただ、あの瞬間を心から味わって欲しいのだ。
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現代のロンドンから16世紀のロンドンへタイムスリップ!シェイクスピアと同じ舞台に立った少年のおはなし
2002/04/23 14:46
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投稿者:杜若 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカの少年劇団がロンドンの復元されたグローブ座でシェイクスピア劇を上演することになりました。演目は“真夏の夜の夢”と“ジュリアス・シーザー”。
パックを演じる少年ナット・フィールドがある朝目を覚ますと、そこは16世紀のロンドンでした。タイムスリップしたらしい。スーザン・クーパーの表現力によって、16世紀のロンドンが私たちの目の前に生き生きと映しだされます。(臭いや喧騒までも)
その世界でも少年俳優であるナットは、シェイクスピアと共にできたばかりのグローブ座の舞台に立ち、“真夏の夜の夢”のパックを演じ好評を博します。なんと、エリザベス1世にも拝謁し、おほめの言葉を頂戴します。
人間として、役者として、シェイクスピアともっと一緒にいたいと願いますが、芝居のはねた翌朝、現代のロンドンにもどってしまいます。ナットはなぜ自分がタイムスリップしたのか、16世紀にいた同姓同名のナット・フィールドはどんな人物だったのか、謎解きに挑みます。
ナットの過去への旅は癒しの旅でもありました。現代の中では向き合えなかった父の死を正面からとらえることができるようになったのです。
“真夏の夜の夢”の出来の良し悪しはパックの出来次第。ナットくらいトンボがきれるパックでこの芝居を見てみたい。シェイクスピアのオベロンも素敵でしょうね。16世紀のグローブ座で見たいなんて贅沢でしょうか?
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シェイクスピアの時代にタイムスリップして
彼と夢のような体験をする少年。
かなり感動しました。
主人公ナットの心の傷といやし、そして成長・・・
さすがスーザン・クーパー!
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現代からシェイクスピア時代にタイムスリップしてしまった演劇少年。ただ時を旅するだけではなく、深みがあって壮大な物語。
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読み終わってから気がついた(笑)あらら著者はスーザン・クーパーなのね。『闇の戦い』シリーズが有名ですねA5判ハードの完璧な児童書ですがなかなか読ませてくれます。現代生きるを子役の少年が「真夏の夜の夢」の芝居の稽古中、16世紀のグローブ座にタイムスリップしてしまう、そしてそこで有名になる前のシェークスピアに出逢ってしまう。流行のファンタジーに比べると地味な作品ですが面白いです。16世紀の芝居小屋の雰囲気が芝居好きには又たまらない!
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シェイクスピアの時代が好き。
タイムトラベルものも大好き。
こんな作品があったとは!
出会えて嬉しいです。
ナットらは、シェイクスピア劇を上演するために、指導者アービーの訓練を受けていた。
アメリカ全土から集められた、11歳から18歳までの少年俳優達とスタッフ24名はロンドンに渡る。
シェイクスピアの時代のグローヴ座を再建した新グローヴ座で、400年前のままの様式での公演が行われるならという条件で、資金を提供してくれた人があったのだ。
当時のままとは、女性の役は少年が演じるということ。
ナットは、アクロバットが得意で、「真夏の夜の夢」のパックの練習をしていた。
ある日、悪寒がして眠った朝、ナットは1599年にいた!
一週間前に聖ポール少年劇団から来た同じ名前のナットという少年と思われていて、年恰好も似ているらしい。
悪臭と喧騒、ろくなベッドもない生活。
熊いじめといった当時の催しにも驚くが。
憧れのシェイクスピアがいる宮内長官一座の舞台に立てるのだ!
同じ少年俳優のローパーには嫌がらせをされるが。
シェイクスピアはまだ30代。四大悲劇などの傑作を書く前だった。
知られている肖像とはちょっと違う顔で、深みのある豊かな声をした威厳のある人物だった。
ナットに何かを感じたのか、ローパーに困らせられる彼を家に引き取って住まわせてくれる。
ナットは早く母を亡くし、それで気力を失った父が自殺するという悲しい経験をしていた。
シェイクスピアと暮らすうちにそのことを話したナットに、シェイクスピアは美しいソネットを送ってくれる。愛は失われることはないのだと‥
このまま傍にいたいと思うほどになったナットだが、突然、現代に‥
入れ替わりに16世紀から来た少年は、現代でペストの治療を受けていたと知る。
シェイクスピアとも突然別れることになったナットは苦しむが‥
ナットの話を聞いた仲間が色々当時のことを調べてくれて、救いを見出す展開に。
晩年の最後の芝居。シェイクスピアはずっと、あのナットのことを忘れなかったのだ‥
スーザン・クーパーは、1935年イギリス生まれ。
アメリカにわたって新聞の特派員として活躍。
ハイ・ファンタジーのシリーズで高い評価を得ている。
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妖精パックは時を越え
【内容】
アメリカの少年劇団員ナットは公演でロンドンに行き、1599年にタイムスリップ。
それは旧グローブ座ができた年。
ナットはすぐに順応。
それはタイムスリップした先でも同姓同名であり、同じように俳優だったからでしょう。
そしてシェイクスピア本人と出会ったから。
【感想】
短い話ですが、デキがいいです。
喪ったものと、喪わないもの。
せつない読後感ですが、晴々とした気分にもなります。
(2013年01月11日読了)
簡単なリスト
【アービー】児童劇団のヌシで根っからの俳優。真剣で厳しい。
【アービーの児童劇団】全米でも最高の少年俳優たちが集う。裏方も入れて全部で24人。少年たちは皆、遊びよりも芝居にのめり込んでいる。
【ウィル・シェイクスピア】ウィリアム・シェイクスピア。過去における宮内長官一座の座付き作者。役者でもある。茶褐色のすてきな声をしていた。
【エール酒】ビールの一種でエリザベス朝のイギリスでは老若男女を問わず弱いエール酒を飲んでいたらしい。いつもほろ酔い。
【エセックス伯爵】危険な人物。
【エリザベス一世】老いた女王。
【エリック・ソーヤー】児童劇団員。いつもナットにひっつきまわる。
【ギル・ウォーマン】児童劇団員。ほとんど大人の背丈で顎に三角ひげをはやしている。「父さん」とか「父ちゃん」とか呼ばれている。プロ志望。
【宮内長官一座】過去においてナットが参加することになった劇団。グローブ座を根城にし、座付き作者にシェイクスピアがいる。
【クマの穴】盲目のクマと数匹のイヌが命がけで闘わされている闘技場。
【クリンク自由区】シェイクスピアが暮らしている。ちょっと物騒な街。
【グローブ座】過去におけるグローブ座はバーベッジらが、以前の劇場を解体し、他の土地で再現した。
【劇場】「劇場のにおい。ほこりっぽくて、とっても安心できるみたいな」(byナット p.21)
【サム・ギルボーン】過去の少年役者。少し年長。そろそろ女役はきびしくなってきた。親切な人。
【ジェン】ナットを引き取っている叔母。高校の英語の先生。親をなくしたナットに演劇をすすめた。
【ジュリア】アービーのパートナー。
【新グローブ座】シェイクスピア時代のグローブ座を復元したもの。
【トーマス】ヘンリー・コンデル親方の弟子の少年。ぽっちゃりの金髪でとんでもないぶきっちょ。でも道化師としては天才的。
【ナットの父さん】詩人だったらしい。「スター・トレック」が好き。
【ナット】主人公。ネイサン・フィールド。児童劇団員。妖精パックの役をする予定。過去では聖ポール少年劇団からグローブ座に借りてこられた。《万事がうまくおさまったことなどぼくにはなかったけど》(p.252)
【バーベッジ】リチャード・バーベッジ。俳優。グローブ座設立者の一人。画家としても腕がたち、特殊メイクをしてくれる。
【ハリー】過去の少年役者。バーベッジの弟子。
【フィッシャー家】ナットがロンドンでホームステイすることになった。
【フォーセット夫人】シェイクスピアが暮���している家で彼の世話をしている。
【メイジー】ステージ・マネジャー。
【レイチェル・レヴィン】ヴォイス・トレーナー。アメリカ演劇アカデミーの学生。
【ローパー】ヘンリー・コンデル親方の弟子の少年。身が軽い。性格は悪そう。ナットを敵視する。
【ロビン・グッドフェロウ】妖精パックのこと。
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シェイクスピアの時代にタイムスリップしシェイクスピアと一緒に演じるナット少年。「真夏の夜の夢」、読みたくなりました。
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現代で「真夏の夜の夢」のパック役を演じている少年ナットが、シェイクスピアの時代にタイムスリップ。16世紀のロンドンで、シェイクスピア自らが演じるオベロンを相手に、パック役を演じることになる。
心に深い傷を負っているナットと、シェイクスピアとの絆が胸を打つ。
読了後、シェイクスピアのソネットや「真夏の夜の夢」、「あらし」などを改めて読んでみたくなった。
「闇の戦い」シリーズなどで知られる、スーザン・クーパーの作品。
2015年4月 再読
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図書館で一回も借りられていなかった。悲しい。。現代で、シェイクスピアの真夏の夜の夢のパックを劇団で演じる主人公が朝おきるとシェイクスピアが生きている400年前のイギリスにタイムスリップしてしまう話。真夏の夜の夢は、ガラスの仮面の知識しかない位なので、内容をもっと知っていれば、想像が膨らんだかもしれない。色々な人物がでてきて、名前を書かれた割には一回しか出てこない人などもいるので、現代ではギルとアービー位覚えておけばさして支障はないと思う。子供の本のところにあるけど、子供には少し難しいかも。。
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シェイクスピアが1599年ロンドンに作ったグローブ座は31年後(1644年)取り壊された。
このお話は、グローブ座ができてから、約400年後。
1995年に建て直された新グローブ座で、「真夏の夜の夢」が上演されることになり、11歳の少年ナットが妖精パック役に選ばれた。
ところがある朝、ナットが目を覚ますと、そこは400年前16世紀のロンドン。ナットはその時代の同じパック役の男の子と入れ替わっていた。
ナットは、400年前の生活に戸惑いながらも、憧れのシェイクスピアと一緒に芝居ができ、夢のような時間をすごした。
「真夏の世の夢」の上演は大成功をおさめ、お忍びできていたエリザベス女王一世にお褒めの言葉も頂いた。
16世紀のその頃のロンドンの様子が生き生きと伝り、街の音や匂いまで感じらる。
もう一人の400年前のパックは、ペストにかかっていたのだが、現代の医療で一命を取り留める。そのパックがナット入れ替わったおかげで、今、私たちがシェイクスピアの芝居を楽しめることになったとは・・・。
歴史の if を自由に描くタイムファンタジーおもしろさを堪能した。
両親を亡くしたばかりの孤独を抱えていた少年が、パックを演じることで、自分の殻を破り自由になっていく解放の物語だった。
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幼い頃に母を亡くし、3年前に父が母を追って自殺をした孤独なナット・フィールド。
少年劇団から、シェークスピアの「真夏の夜の夢」のパック役に抜擢されたナットは、四世紀前のそのままに復元された劇場に立つことになっていた。しかし、リハーサルが行われた夜が明け、朝になると生きたウィル・シェークスピアがいる時代に居た。シェークスピアと共に過ごす内に、ナットの孤独な心を癒していく。
「まことの心の結婚に
さまたげをゆるすことなかれ。愛は愛といえぬ
変化あるときに、変化し
ものごとのうつろいのときに、うつろうのであれば
いな!それはつねにかわらぬしるしなり
嵐のきたるときも、ゆさぶられることなし
それはすべてのさまよう船のみちびきの星
そのかがやきは感ぜられても、まことの値は未知
愛は〈時)の道化にあらず、バラいろのくちびるやほおは
いずれ〈時)の大鎌に刈りとられても
愛はその短き月日とともにかわることなく
夜の終わる日まで、まがらえるべし
もし、このことがあやまりならば
われは書くまじ、だれにも愛は起こることなし」
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シェイクスピア劇の上演のためロンドンへと来たアメリカの少年ナットは、目覚めると16世紀のロンドンにいた。そこでナットはシェイクスピアの元で新しくできたグローブ座の舞台で妖精パックを演じるのだった。
タイムスリップものの面白さは、主人公とともにその時代を楽しむところでしょう。ここでも16世紀ロンドンの様子がこと細かに描写されています。生活や習俗の違いからからのショックをまず描き、その後過去世界に慣れていくにつれてその世界のよさも見えてくる。それはナットの目を通じて読者も同じように感じさせられ、世界に入っていきます。
そしてナットのタイムスリップはただナットが過去に飛んだというだけでなく、16世紀の少年と入れ違いになったことが示され、それが大きな意味を持ちます。
ナットとシェイクスピアとの出会い。それは歴史上の偉人に出会ったということ以上に、ナットに大きく影響します。憧れと安堵感。この人とと共にいたいという思い。それは父母を亡くしたナットの心に沁み入り隙間を埋めてくれるのです。
ナットのタイムスリップには歴史的な意味があったことが後に示されますが、それよりもナット自身がシェイクスピアに出会う必要があったのでしょう。だから出会いと別れ、そして別れた後も常に影響し合うことの大切さや素敵さが響きます。
これを読む前にもっとしっかりとシェイクスピア作品を読んでおけばよかったと思わされました。特に「真夏の夜の夢」は必読です。それによってより深く物語が楽しめるでしょう。